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「スバルのエンジン」何がすごい!? 他メーカーがマネしない「水平対向エンジン」が誕生したワケは? ただの「変態設計」ではない「必然性」とは

掲載 更新 144
「スバルのエンジン」何がすごい!? 他メーカーがマネしない「水平対向エンジン」が誕生したワケは? ただの「変態設計」ではない「必然性」とは

■スバルが誇る独自設計「水平対向エンジン」の秘密とは!?

SUBARUは1966年に発売した「スバル1000」以降、通常とは違うレイアウトを持つ「水平対向エンジン」を作り続けています。このような独特のエンジンにこだわるのは、なぜなのでしょうか。

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そもそも「水平対向エンジン」とはどういうものかからお話を始めましょう。

通常のエンジンは「ピストンが上下方向に動く」ものです。それに対して水平対向エンジンは「左右方向に動く」ものです。

まるでボクシングの選手がストレートパンチを繰り出すような動きにも見えることから「ボクサーエンジン」ともいわれています。

このエンジンのメリットは、重心を低くできる点です。ピストンが上下ではなく左右なので、エンジンの高さを抑えることができるのです。

また、前から見るとエンジンの表面積が大きくなるので、風のあたる面積が広くなります。特に空冷エンジンでは大きなメリットとなり、シトロエン2CVやフォルクスワーゲンタイプ1(ビートル)などにも搭載されていました。ちなみにビートルはリアエンジンですが、ルーフを伝ってきた空気を上手く取り入れていたのです。

さらに、低重心になることでハンドリングにも大きく貢献できています。振動をお互いに打ち消す効果もありました。

シリンダーを「互い違いに配置する」ことができるのもメリットです。例えば4気筒なら左右に2気筒ずつ、6気筒なら左右に3気筒ずつ並んでピストンを動かしているわけです。そのため、エンジン自体をコンパクトに作ることもできるのです。

メリットだらけに見える水平対向エンジンですが、他メーカーがあまり使わないのはなぜでしょう。

ひとつは、エンジンの幅広さはもともと空冷でメリットがあったものの、現代で主流の「水冷エンジン」では、空気の逃げ道を作りにくくなり、その対策が逆に大変になってしまうのです。現代のSUBARU車のボンネットを見ると、エアインテークなどが設けられているのは、それが理由です。

また、シリンダーを互い違いに配する場合、ガソリンや空気をシリンダーに取り入れて燃焼後のガスを排出する「ヘッドユニット」は、通常のエンジンの倍が必要となってしまいます。部品点数の増加とともに、コストも上がってしまうというわけです。

さらに横幅が広くなってしまうため、ピストンのストローク量が限られてしまいショートストロークエンジンになりがち、つまり高回転型のエンジンになるので、トルク不足や燃費の悪化につながりやすくなるのです。

■他のメーカーが真似しないのに「スバルがこだわり続ける」理由がすごかった!

それでもSUBARUがこのエンジンにこだわるのはなぜでしょう。そのヒントは歴史にあります。

SUBARUは自動車メーカーとして成長すべく、「P1」という1.5リッターのプロトタイプを作りました。その評価は高かったものの、製造コスト面などが莫大になることから生産には至りませんでした。

しかし、1954年の法改正で軽四輪規格変更と、通産省による国民車構想が発表。それに合わせて「360」の開発がスタートし、1958年に発表・発売されると、たちまち大ヒット作に。同様に「サンバー」もヒットして、SUBARUは軽自動車メーカーの基盤を固めていったのです。

さて、経済成長により自動車市場が急速に拡大していくなか、「小型車市場」への進出は喫緊の課題になりました。

後発となるSUBARUとしてはユーザーを惹き付ける個性が重要と考え、その最大のポイントを欧州では主流となりつつあるFF(フロントエンジン、前輪駆動)としたのです。

かつてのFR(フロントエンジン、後輪駆動)では、動力を後輪へ繋げる「プロペラシャフト」が必要となります。FFであればそれが不要となり、振動も減らせ、室内空間も確保できるというメリットがあったのです。

そこでこのレイアウトを実現する理想的なエンジンは何か。それが、エンジンをコンパクトにできる水平対向エンジンだったのです。まずはパッケージングの発想だったわけですね。

当然ながらコストが高くなり、採用するかは議論があったそうです。しかし、SUBARUの始祖でもある中島飛行機(ゼロ戦などの戦闘機を作った)の合理的な設計思想が、このエンジンを選択し、様々な困難(例えば排気ガス規制など)を乗り越え、改良を重ね続けてきました。

そうしていま、SUBARUはブランドとしても水平対向エンジンを守り続けています。

約60年にもわたる開発により、メリットとデメリットを見極めてきた結果といえるでしょう。先述の大ヒット作「360」はRR(リアエンジン、リア駆動)でしたが、その成功体験のあるレイアウトをそのまま採用しなかったのも、エンジニアの合理的な考えによるものでした。

この考えがあるからこそ、低重心によるハンドリングやノーズを低く出来るという水平対向エンジンのメリットを享受した「BRZ/86」が生まれ、ラリーなどでも活躍する「WRX」が誕生したのです。

■まだ進化するの!? スバルの「次世代水平対向エンジン」がついに登場

そして、SUBARUは先日、次世代「e-BOXER」を発表しました。

現況のe-BOXERは1モーターのパラレルハイブリッドを採用しています。これはアシスト量が10ps/65Nmと少ないため、燃費向上に関してあまりメリットはありませんでした。

そこで次世代e-BOXERの登場です。これは水平対向4気筒エンジンに発電用/駆動用のモーターとバッテリーを組み合わせた、シリーズパラレル式のハイブリッドです。トヨタハイブリッドシステム(THS II)がベースですが、SUBARU独自のAWDなどと組み合わせるなど「SUBARU専用設計」も数多く取り込まれていますので、これからもSUBARUの個性をアピールできる仕様といえるでしょう。

このようにSUBARUは内燃機関の開発を続けます。そこには必ず水平対向エンジンがあるのです。SUBARUにとってこの水平対向エンジンは、まさに守るべきSUBARUの技術だからです。

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みんなのコメント

144件
  • fls********
    コレ書いたヤツ勉強不足だ
    ホンダがゴールドウイング用に1800ccの水平対向6気筒を作り続けてる。
    あとポルシェ抜けてるしやり直し
  • kit********
    ランエボの方が重心低いのに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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