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フィリピン市場で34%成長! 「三菱自動車」がタイやインドネシアでも勝ち抜くための成功要因とは

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フィリピン市場で34%成長! 「三菱自動車」がタイやインドネシアでも勝ち抜くための成功要因とは

三菱自動車の東南アジア市場への進出

 近年、三菱自動車は東南アジア市場で着実にシェアを拡大している。例えば、インドネシア市場では大規模な投資を行い、生産能力を大幅に向上。2023年には現地工場の生産能力を年間8万台から24万台に増やす計画を発表し、今後もさらに成長が期待されている。

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 また、フィリピン市場でも2023年度の小売り販売台数が前年から34%増加し、2017年以来の最高記録を更新。これにより、フィリピンでの存在感を一層強めた。

 さらに、三菱自動車はタイやベトナムでも好調な販売を続けており、東南アジア市場で大きな注目を集めている。この記事では、三菱自動車が東南アジアでシェアを拡大し続けている理由を考察する。

三菱自動車の人気車種と戦略

 まず、三菱自動車は東南アジア市場で、多様な製品ラインアップによってシェアを拡大している。特に「エクスパンダー」や「トライトン」といった人気車種がその中心だ。これらの車は、現地の道路状況やユーザーのニーズに合わせて設計されており、強力なオフロード性能や優れた燃費性能が評価されている。

 例えば、「エクスパンダー」は東南アジアの家庭向けに作られ、広々とした室内と快適な乗り心地が特徴。「トライトン」は商業用車としての需要が高く、特にタイやベトナムでの売れ行きが好調だ。三菱自動車の2023年度の報告では、東南アジア市場での販売比率は31%を占めており、タイ、フィリピン、ベトナムの三大市場で堅実に成長している。

 また、国ごとに展開する戦略も功を奏している。東南アジア最大の自動車市場であるインドネシアは、三菱自動車にとって重要な市場であり、この市場への投資により現地生産を強化し、需要に迅速に対応できる体制を整えている。

 さらに、インドネシア政府は自動車産業の発展を支援する政策を進めており、三菱自動車の投資もこの政策と一致している。その結果、現地での雇用創出や経済発展にも貢献することが期待されている。

 フィリピン市場では、「ミラージュ」や「モンテロスポーツ(パジェロスポーツ)」など、現地のニーズに合った車種が人気を集めている。加えて、アフターサービスの充実や販売ネットワークの拡大も、消費者からの信頼を高める要因になっている。こうした包括的な戦略によって、フィリピン市場での三菱自動車のシェアはさらに拡大している。

環境規制への対応と技術開発

 三菱自動車が東南アジア市場でシェアを拡大している背景には、環境規制への迅速な対応が大きな要因になっている。特に、東南アジア各国で進む環境規制の強化に対して、ハイブリッド車や電動商用車の開発を積極的に進めている。

 インドネシア政府は2030年までに国内自動車市場での電動車普及率を大幅に引き上げる目標を掲げており、この政策により電動車の需要が急速に増加している。インドネシアの電動モビリティエコシステム協会(AEML)と地元ベンチャーキャピタルのACベンチャーズが発表したリポートによると、インドネシアの電動モビリティ市場は2030年までに年平均成長率58.5%で、市場規模が200億ドルを超える可能性があると予測されている。

 この動きを捉えて、三菱自動車はインドネシア市場向けの電動商用車の開発を強化し、供給体制を整えている。電動商用車のラインアップを拡充し、現地の市場ニーズに対応することで、シェア拡大を狙っている。また、インドネシア国内での生産体制も強化し、現地生産比率を高めることでコスト競争力も確保している。

 さらに、三菱自動車は2024年にタイ市場向け「エクスパンダー」や「エクスパンダー クロス」にハイブリッドEV(HEV)モデルを追加し、タイ工場での生産を進めている。このモデルは従来のエンジンに加え最新の電動技術を搭載し、タイの環境規制にも対応している。

 これにより、同市場での競争力をさらに高めることを目指している。タイでは、環境に配慮した車両への関心が高まり、特に都市部で電動車の需要が増加している。三菱自動車はこうした市場動向に合わせて技術開発を進め、環境に優しい車両を提供することで、タイ市場でのシェア拡大を図っている。

成長の鍵は現地市場への投資とパートナーシップ

 三菱自動車にとって現地への投資は成長に欠かせない重要な役割を果たしている。例えば、タイやインドネシアなど東南アジアの主要市場で、工場建設や設備拡充に数百億円規模の投資をしてきた。これにより、現地での生産体制が強化され、コスト削減や迅速な供給が可能になった。また、現地の消費者ニーズに合わせた車種の開発や製品のカスタマイズがしやすくなり、競争力も向上した。

 さらに、三菱自動車は現地企業との戦略的パートナーシップも積極的に進めている。インドネシアでは、現地の大手財閥と合弁会社「ミツビシ・モーターズ・クラマ・ユダ・インドネシア(MMKI)」を設立し、販売網の拡大やアフターサービスの向上に取り組んでいる。また、各国政府との協力を強化し、現地経済への貢献を通じて地域社会からの信頼も得ている。これにより、政府からの優遇措置や税制優遇などを受け、競争優位性を確保している。

 実際、三菱自動車の東南アジア諸国連合(ASEAN)全体での市場シェアは約9%に達しており、東南アジア市場での地位は堅固なものとなっている。インドネシアでは2022年の販売台数が15万台を超えるなど、同国での成長も著しい。このような実績から、現地市場への適切な投資やパートナーシップが成功をもたらしていることがわかる。

 しかし、東南アジア市場は他の自動車メーカーも注力しており、競争が激化している。トヨタやホンダなど日本のメーカーだけでなく、韓国のヒュンダイや中国の比亜迪(BYD)もシェアを拡大している。

 さらに、為替レートの変動や半導体不足、物流の問題などで、三菱自動車もここ数年で苦戦している。実際、2023年4~12月期の連結決算では、ASEAN地域での販売台数が前年同期比8%減の18万1000台となり、売り上げが減少した。特にタイ市場では、販売台数が前年の3万6000台から2万2000台に減少し、38%もの落ち込みを見せた。

 それでも三菱自動車は、東南アジア市場で競争力を維持するために、さらなる投資と技術開発を進めている。今後、どのような施策でシェア拡大を目指すのか、三菱自動車の動向に注目したい。

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