皆さんこんにちは、ラリードライバーの川名です。今回はラリー・セヴェンヌ5日目、レキ2日目の模様をお伝えして参ります。
前回のお話ではざっくり今回のラリーのレキの流れをお話いたしましたので、本日はもう少しステージにについてお話していきたいと思います。
「川名賢のラリー・セヴェンヌ参戦記 05」レキは具体的にこのように行います。これがラリー本番に備える一番の重要な作業!
■ペースノートへの記し方
ちなみにレキ2日目は、SS8/12(23.3km)、SS9/13(14.4km)のペースノートを作ります。
今回のラリーはフランス南部のモンペリエから北に100kmほど移動したエリアでの開催となりましたが、このエリアのステージはとてもツイスティで、前回のラリーモンブランに比べるとかなりテクニカルな印象でした。もちろん道が細いのに5速全開でアクセルを踏み抜かなければならない、手に汗握る超ハイスピード区間も多く存在します(汗)。
また、路面が非常にバンピーで、マシンセットアップを外すとクルマが跳ねてしまって危なくて踏めないという、これまた未知の領域でのラリーになることが必須でした。
さて、これからレキトラベルに皆さんをお連れしたいと思います!
SSのスタートには小さく「DES」という看板が置かれています。ここから先がアクセル全開で走るステージです。
スタートすると、まずは紅葉の木々のトンネルを抜けていきます。
一番手前の左コーナーの内側はインカットするとパンクの危険性があるので、「3レフト ドントカット」とノートに記しました。
紅葉のトンネルを抜けると、まだ緑色の木々たちも顔を出します。奥の右側の白いポールまでアクセル全開で行けそうですね! 路面のうねりがとてもよくわかります。
石のガードレールは、きっとラリー好きなら誰しもが憧れるフランスラリーらしい光景です。まるでWRCのラリー・モンテカルロのようですね。この路面は見た感じざらついていて雨でもグリップしそうな雰囲気です。
だんだん人口建造物が顔を出します。短い橋のトンネルの下をS字に抜けていきます。雨が降るとトンネルの下だけ路面が乾かなかったりして、その先の左コーナーが滑るので要注意。トンネルの先は左コーナーのようですが、「クレスト」になっていて先が見えにくいレイアウトですね。ヨーロッパでは低速コーナーの処理もその先のストレートに大きく影響するので、丁寧にペースノートを作る必要があります。
■ヨーロッパラリーならではのステージ
ステージは次第に街へ近づいてきました。こんな民家の前や街のなかを全開で走れるのもヨーロッパならでは。家の軒先の花壇や玄関の階段の出っ張りに、クルマの側面をヒットしないように気を付けないといけません。ドライバーシートから死角を多く感じるシチュエーションです。レキの時点から街の人々がレキ車に手を振ってくれて声援をくれます。現地の人にとっては家の前をラリーカーが走るのは、名誉なことだとも聞いたことがあります。
いよいよステージは後半戦へ。お待ちかねの超高速ダウンヒルステージが待ち構えます。景色がいいステージは、時にドライバーの勇気を試してきます。恐怖に打ち勝ってアクセルを踏むには正確で丁寧なペースノートを作ることが必要不可欠です。
ダウンヒル区間が終わるとステージはいよいよ大詰め、ラリーカーは爆音を響かせながら超高速で畑の中を突っ走ります。路面のうねりとコースの内側のインカットを利用して、ちょっとでも多くアクセルを踏めるラインをレキで探します。前走者によりインカットされた場所は泥がコースに吐き出されるため、自分が走る頃にはコースが荒れてコースアウトの危険性があります。なので、インカットができるか否かはレキでのチェック必須項目となります。
一番奥の「クレスト」に向けて5速全開で走り抜けますが、その手前の少しきつそうな右コーナーで「左足ブレーキを小さじ一杯」ほど当ててあげるとマシンが安定してよりタイムが出そうですね!
皆さんレキトラベルはいかがでしたか?!
こんなふうに、実際のラリーではいろいろなことを考え、想像しながら法定速度でレキをしてペースノートを作ります。
2日間のレキも終わり、ラリーカーの車検も無事終わりました。
車検場にはご覧のようにさまざまなクルマたちが!
明日はいよいよラリースタートです!!
<文=川名 賢 Suguru Kawana>
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