横浜ゴムはスタッドレスタイヤのアイスガード7について、近年のトレンドモデルになっているEVやSUVモデルに装着した時の性能評価をする試乗会を開催した。
EVは車両重量がガソリン車に比べ重い傾向があり、雪上や氷上での性能は変わらないのか? またSUVモデルが主流になりつつあるマーケットでは、SUV専用を謳うタイヤもあり、その違いはどこなのか?といった疑問はある。そこで北海道旭川にあるヨコハマタイヤの試験施設TTCHでテストしてきた。
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インドアにテストコースがあるので、安定したテスト環境が手に入るまず、アイスガード7の特徴についておさらいすると、2021年に販売が開始し、今季で4シーズン目になるが、先代のアイスガード6と比較して、「氷に効く」性能では氷上制動では14%、発進加速は35%、旋回性能では7%向上しており、「雪に効く」雪上性能では制動性能が3%向上している。そして「永く効く」性能は4年後も維持することをPRしているスタッドレスタイヤということになる。
氷上と雪上では二律背反性能と言われており、その双方の性能を向上させていることがアイスガード7の特徴でもあるわけだ。技術の詳細は下端のリンクを参照してほしい。そして今回は市場に増えてきているEV、SUVでの性能はどうか?ということで、氷上、雪上でさまざまな角度からテストを行なってきた。
またヨコハマタイヤにはSUV用を謳うスタッドレス「アイスガードSUV G075」があり、アイスガード7とはどう違うのかというテストも同時に行なうことができたのでお伝えしよう。
アイスガード7SUV G075氷上旋回制動相対比較
最初にテストしたのは氷上の旋回性能だ。テストは室内にあるテスト環境で氷の状態を一定に保てる環境でのテスト。使用したタイヤはアイスガード7とアイスガードSUV G075。タイヤサイズは全く同じでテストカーはRAV4を使い、定常円旋回でのラップタイム比較を行なった。
その結果アイスガード7は18.3秒、SUV G075が20.4秒というタイム差が出た。車速にして24km/hでグリップ走行が可能なアイスガード7に対して23km/hが限界だったSUV G075という違いがあった。またハンドリングの官能評価では氷を掴んでいる感覚が伝わるアイスガード7とグリップ感を探りながら旋回するSUV G075という違いがあった。
氷上での定常円旋回テスト滑り出す瞬間に違いがある次に氷上での短制動テスト。こちらもテストタイヤは同じアイスガード7とSUV G075の比較で、テストカーはRAV4を使用した。氷上は冷媒システムを路面に持つコースで-3.6度で一定に保たれた環境だ。ここを30km/hから急ブレーキをかけ何メートルで止まれるかをテスト。ちなみにこの屋内テストコースの半分は自然に凍った路面と冷媒で凍らせた路面の2タイプを持っている。
3回のトライの平均値は、SUV G075は15.8mで停止し、アイスガード7が15.2mで停止した。そして官能評価ではブレーキを踏んだ瞬間のノーズダイブはアイスガード7で感じられ、その違いが制動距離にでていたということだ。
雪上ハンドリング相対比較
こちらはユニークなテストだった。テストタイヤはアイスガード7で、使用する車両はBMW X1とiX1。X1はディーゼルの8速ATで、iX1はBEVモデルだ。車両重量が約390kgもの違いがあり、果たしてその重量の違いでグリップ感の違いがあるのかという相対比較テストを行なった。
BMW X1とiX1とで雪上ハンドリング相対比較(こちらが X1)iX1車両の設定は双方VDC(横滑り防止)をONの状態で走行し、テストした。一部逆バンクになっている圧雪路やブラックアイスになっている箇所もあり、テスト環境としては実際に遭遇する路面に近い状況だ。ここを50km/h程度までの速度で走行したが、VDCの作動は時々あるもののどちらも安定して走行できた。
そこでVDCをOFFに設定変更をして車両の滑りの違いを試してみたところ、ディーゼルはBMWらしく滑ってもコントロールしやすく意のままに走ることができるが、BEVモデルは大トルクの扱いがシビアで、暴れる場面がある。このあたりは人間の制御能力より電子デバイスの威力を感じる場面でもあった。一方で、意図的に滑らせる操作をしない限り、その違いは感じられず安定したグリップ力は確保できることがわかった。
次は車両をRAV4に変更し、雪上の短制動とスラロームを走行。そしてタイヤはアイスガード7とSUV G075との相対比較テストを行なった。
雪上の短制動では停止距離の違いはほぼなく、同等の停止距離という結果だったが、ブレーキペダルを踏み込んだ瞬間のグリップ力はアイスガード7のほうがしっかりとしている印象。しかしその感触は数値には出てこないようだった。そしてスラローム走行でも似たような印象で、ハンドルの切り始めのグリップ感はアイスガード7のほうがSUV G075より手応えを感じ安心感があるという印象の違いがあった。
またスラロームテストではハイエースとフェアレディZのテストもできた。こちらはアイスガード7だけのテストで絶対評価になるが、フェアレディZに関してはVDCの設定をONにしておかないと大パワーにより、容易にスピンモードに入ってしまう。VDCがONであればFRのスポーツカーでも問題なく走行できる。
フェアレディZでもVDCをONにすれば問題なく走行可能ハイエースのテストはリヤにウエイトを搭載して行ったハイエースは積載前提の貨物なので、リヤにウエイトを搭載してのテストだったが、同様に滞りなく走行することができた。ただ、ハイエースの場合は上り坂の一旦停止からの再スタートが可能かというテストはやってみたかった。
最後はスポーツカーにアイスガード7はマッチするのか?というテストで、ポルシェマカンでテストした。その意味は、スポーツカーは幅広タイヤを装着しており、雪道は細いタイヤのほうがグリップするという認識を持つ人がいるため、その実際をテストしてみようというわけだ。
幅広タイヤを装着したスポーツカー、ポルシェマカンでもテストを行った細いスタッドレスがいいというのは、タイヤの接地圧力でグリップさせる手法で、幅広タイヤの場合は接地面積でグリップさせる手法を使っている。アイスガード7の氷に効く、雪に効くという二律背反を両立させている技術的背景には、接地面積の拡大というのがある。
下端の「アイスガード7の技術に迫る」記事を参考にしてほしいが、接地面積の拡大と溝面積の拡大(エッジ量の増大)という技術によってアイスガード7は開発されているので、スポーツカー用の幅広いスタッドレスは雪上、氷上での走破力はあるということになる。
実際は雪上だけのテストで、スラロームを含むハンドリングコースを走行したが、かなり力強いグリップを感じながら走行することができたことをお伝えしておく。
まとめ
テストの結果をまとめてみると、アイスガード7とSUV G075との違いでは氷上性能において差があり、氷上ではアイスガード7の性能が優っていた。また雪上では数値的な差はなかったものの、官能評価という点でアイスガード7の方がインフォーメーションが多く、安心感に繋がりやすいことが分かった。またSUVモデルにはどちらのタイプでも有効であり、自身の使用環境によって選ぶという理解で問題ない。
またアイスガード7の絶対評価としてハイエースなどの商用車、フェアレディZやポルシェマカンといったスポーツカーにも有効であり、幅広スタッドレスに抵抗感は不要であることを体験した。
あと1点、2タイプのスタッドレスの違いは価格差ということがある。オープンプライスとなっているため、アイスガード7とSUV G075の価格差は不明だが、当然アイスガード7のほうが高価であり、価格差が上記の性能の差と考えていいという結論に至った。
▼https://autoprove.net/supplier_news/yokohama/200017/
2021年 ヨコハマタイヤ 新アイスガード7を雪上・氷上でテスト試乗
▼https://autoprove.net/supplier_news/yokohama/211516/
2022年 横浜ゴム アイスガード7試乗記 相対比較テストでわかったこと
▼https://autoprove.net/supplier_news/yokohama/222694/
2023年 氷に雪に永く効く 横浜ゴム「アイスガード7」の技術に迫る
▼https://autoprove.net/supplier_news/yokohama/222744/
【スタッフ通信】横浜ゴム スタッドレスタイヤ勉強会・試乗会に初潜入!
The post ヨコハマタイヤ EV、SUVにスタッドレスタイヤのアイスガード7を履いた結果分かったこと first appeared on オートプルーブ - Auto Prove.
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