この記事をまとめると
■インバウンド客によるレンタカーのトラブルがあとを絶たない
外国人旅行者によるレンタカーの「路上乗り捨て」まで発生! これまでの常識は通用しないいま「交通マナー」への寛容性も重要になる
■レンタカー会社から車両を借りてまた貸しして儲けるという事例が横行した
■自家用車として登録した車両をインバウンドに貸し出す「闇レンタカー」も存在している
購入したクルマを無許可でインバウンドに貸し出す闇レンタカー
以前、インバウンド(訪日外国人観光客)が空港駐車場などにレンタカーを乗り捨て、そのまま帰国したり、レンタカーを滞在中に「もう使わない」などとして、街なかの駐車場に放置するといった事案に触れたことがある。最近は別の角度からのインバウンドのレンタカー事情といった話を聞いたのでお伝えする。
「インバウンド、つまり観光客による『迷惑行為』ともいえる事象のほかに、日本に住んでいる外国人が日本の大手レンタカー会社でクルマを借り、それをインバウンドなどに『また貸し』するという事案も発生しています。レンタカーの借主と『また借り』する外国人との間の金銭のやり取りは日本以外の本国で電子決済していますので、疑わしいと思っても『家族が運転している』などととぼけられるそうです。また、借りる人の免許証だけをもってきて、『この人も運転する』などと伝えたりするので、また借りの事実を確認するのも困難だったということです」とは事情通。
レンタカー会社から1カ月単位などで車両を借り、また貸しして儲けるといったパターンが目立ったので、いまでは主要レンタカー会社のなかには、日本人であっても長期のレンタカー貸し出しを原則行わないようにしているとのことである。
日本のレンタカー会社で貸し出しが厳しくなってくると、今度は自分たちでレンタカー会社を設立してインバウンドに貸し出すようになったとのことである。
「5台用意できれば意外なほど簡単にレンタカー会社の設立は可能です。監督官庁の監査といったチェックが入る前、設立から1年の間に稼ぐだけ稼ぎまくって会社を閉じてドロンというパターンも目立っているとのことです。車両購入などはすべて現金決済となりますので、会社を閉じるときには使っていた車両も売り飛ばしてしまうそうです。自分たちで会社を設立するパターンのほかには、経営が行き詰まっている日本人経営の整備工場などにレンタカー会社設立をもちかけることもあるそうです。月々一定額の手数料のようなものをオーナーとなる日本人に払い。利用客勧誘などのオペレーションはすべて自分たちで行うので手間いらずと勧めてくるそうです」(事情通)。
このような「外国人系レンタカー会社」の先に、自家用車として登録した車両をインバウンドに貸し出す「闇レンタカー」というものが、「闇ライドシェア」などと同様に存在するとのことである。
貸切バス業界でも同様の動きが目立ってきているとのことである。
「最近では新型コロナウイルス感染拡大以前の勢いまでに貸切バス需要も戻ってきています。そのなか、とくに某国系のエージェントがかなり安い料金でバスのチャーターを試みてくるそうですが、ほかに好条件の仕事が多くなっているので、日本人経営の貸切バス業者にはなかなか仕事を請けてもらえないので、『それじゃ会社作るか』ということになっているようです」(事情通)。
許認可申請の行政コスト増は日本国民が負担している
貸切バスでは大型などのサイズにかかわらず中古車両が使われるとのこと。
「中古バス販売関係者に話を聞くと、とにかく最近は聞いたことのないバス会社からの問い合わせが多いようです。そしていざ購入のため訪れると、その場で2000万円とか現金を積み上げて買っていくそうです。なかなか見かけることのない大金が積まれて驚くばかりだとのことです」(事情通)。
日本人向けに営業することはないとはいえ、とにかく動けばいいといった状態のバスを使っているとのことであった。そして、レンタカー同様にこの先に自家用ナンバーで違法営業する、「闇貸切バス業者」が存在するとのことである。
事情通は「(日本の)国家転覆やテロなどを目論んでいるとは思えないのですが、外国人による新規のレンタカー業者や貸切バス業者としての認可申請が殺到し、運輸支局の当該窓口はパンク状態になっているそうです。ホテルなどを住所として中国人の運転免許の書き換えにより運転免許センターがパンクしているのと同じようなことが起こっているのです」。
思惑は別としてもいまどきの日本では行政窓口の麻痺状態は随所で発生しているようである。
すでにキャパシティオーバーともいえる申請件数をこなしているので、担当者の増員などを行うのだが、それは日本国民の税金で賄われことになり、「コスト増は国民が負担している」こととなるので、どこかモヤモヤした気もちになる人も多いことだろう。
政府はインバウンドが増えれば日本経済が潤うようなことをいっているが、ここまで紹介したレンタカーや貸切バスの話は「闇業者」も含めすべて現地決済されているので、日本経済が潤うという表現までは日本に十分なお金が落ちていないのが現状といえる。それなのに、許認可申請の行政コスト増は日本国民が負担しているのは変わらない。このような業者では、日本国内での売り上げが「ゼロ(現地決済となるので)」としているところも目立つようなので、納税がきちんと行われているのかも極めて怪しい状況にあるといえよう。
外国人が外国人向けに行っているので、一見われわれ日本国民には関係のないようなことにも見えるが、レンタカー、貸切バスともに事故などのトラブルに巻き込まれれば十分な補償はまず受けられないだろう(会社をたたんで雲隠れということも否定できない)。当局も取り締まりを強化しているようであるが、闇業者レベルでは保険未加入状態で営業しているところも多いだろうし、そのような車両との事故を見越して、我々が加入している任意保険や自賠責保険料の引き上げなども起きかねない。
「重大事案が発生してからでは遅すぎる」、関係者が異口同音にそれを危惧している。
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