ルノー・日産・三菱が8年先までの電動化ロードマップを発表
現時点で、世界的な電動化ムーブメントに対してもっとも豊富な知見を持っているといえるのがルノー・日産・三菱自動車のアライアンスでしょう。日産とルノーが電気自動車(EV)の量産で先行してきたのは事実ですし、プラグインハイブリッドについても三菱自動車が長い量産経験を持っています。
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そんなルノー・日産・三菱自動車アライアンスが、2030年の電動化に向けたロードマップを発表しました。中でも以下の3点が気になる要素でしょう。
1:2030年までに5つのEV専用共通プラットフォームをベースに35車種の新型EVを投入
2:日産はCMF-BEVプラットフォームをベースにした欧州で販売する「マイクラ」の後継となる新型EVを発表。フランス北部のルノー・エレクトリシティでの生産を予定
3:日産は、全固体電池の技術開発をリードし、アライアンスでそのメリットを享受
2030年までにトヨタ陣営を上回る35車種の新型EVを発売
この発表がいかに意欲的かというのは、あと8年のうちに35車種もの新型EVを出すと宣言していることからも明らかです。3社アライアンスの合計ですから、ルノー・日産・三菱自動車の各ブランドで兄弟車・姉妹車的な新型モデルを出すという風にも理解できますが、それにしても毎年4車種以上の新型EVが、同アライアンスからローンチされるという発表はインパクトがあります。
さらに日産がリーダーとして研究している全固体電池については、2028年半ばの量産開始という目標を掲げました。この全固体電池は従来型リチウムイオン電池の1/3の時間で充電可能というメリットがあります。タイミング的には2030年までに発売を予定している、いくつかのEVには日産の全固体電池が搭載されることでしょう。
第1弾EVは「マイクラ」の後継BEVと「ルノー R5」
さて、35車種の第1弾と言えそうなのが、CMF-BEVプラットフォームをベースにした「日産 マイクラ」の後継車となるコンパクトEVです。こちらは「ルノー R5」の兄弟車で、ルノーがメカニズム開発を担当し、生産もルノーが行ないます。日産はデザインを担当。電動化ニーズが高まっている欧州向け商品と捉えるのが妥当です。
マイクラといえば、もともとは「マーチ」の欧州仕様といえるモデル。現行マイクラは日本のマーチとは異なる欧州ニーズを満たすコンパクトカーに進化していますが、アライアンスのロードマップを眺めていると、このCMF-BEVプラットフォームが日本にも上陸する可能性はなきにしもあらずと感じます。
BセグメントのBEVトップの航続距離400kmを目指す
EVに変身するマイクラ後継車の性能はかなり期待できそうです。発表によると、CMF-BEVプラットフォームが目指しているのは「世界でもっとも競争力にあるEV用プラットフォーム」。そしてEVの競争力といえば、航続距離と価格(コスト)です。
少なくとも航続距離は一充電で最大400kmと、コンパクトクラスとしては世界トップクラスとなりそうで、プラットフォームも空力性能を考慮したものとなっているほか、電動パワートレインも10%以上の消費電力改善を目指しているそうです。
先代マーチ風のキュートなルックスや価格にも期待
とはいえ、日産が発表したスケッチを見る限り、これ見よがしに空力最優先のスタイルになっているわけではなく、むしろ日本でいうところの先代「マーチ」(K12型)のような丸っこい愛嬌のあるスタイルのEVが登場しそうです。このルックスで航続距離400kmを実現しているとなれば、日本導入を期待する声も大きくなりそうです。
さらに注目したいのは、CMF-BEVプラットフォームが従来のEVに対して33%もコストダウンを実現するということ。単純にいえば300万円だったEVが200万円になるわけで、トップクラスの競争力を持つEVになるのは間違いないでしょう。
マイクラ後継車の発売時期は2024年とアナウンスされました。今後は順次、コンセプトカーやプロトタイプが公開されていくはずです!
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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