現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > その名も「サイボーグ」 ターボのイメージを牽引した三菱ミラージュの実力と功績

ここから本文です

その名も「サイボーグ」 ターボのイメージを牽引した三菱ミラージュの実力と功績

掲載 更新 8
その名も「サイボーグ」 ターボのイメージを牽引した三菱ミラージュの実力と功績

初代「ミラージュ」が登場したのは、1978年のこと。一時期途絶えながらも、コンパクトハッチバックとして、いまも活躍するミラージュだが、カテゴリーを牽引するヤリスフィットと比べるとやや地味な存在。しかし、かつてのミラージュには、いまのミラージュのイメージからは想像もできない超刺激的なグレードが存在した。

「サイボーグ」というSFチックな名前をもったそのグレードは、名前から受ける衝撃のとおり、強烈な走りをもち、「ホットハッチ」を語るのに欠かせない存在だった。

【車名当てクイズ】この名車、迷車、珍車、ご存じですか? 第17回

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:MITSUBISHI、TOYOTA、NISSAN、HONDA、SUZUKI、MAZDA、DAIHATSU、ベストカー編集部

[gallink]

豪快なパワーをねじ伏せて走るのが楽しかった

初代、そして2代目は、直線的ですっきりとシンプルなデザインでモダンカジュアル路線だったミラージュだが、1987年に登場した3代目で大きく路線を変更。同時期に登場した6代目ギャランのエクステリアと共通性の感じられる、マッシブでスポーティなフォルムで登場した。

この3代目ミラージュで初めて設定されたのが、テンロクホットハッチ(排気量1.6Lエンジンのスポーティなハッチバック)の「サイボーグ」だ。

サイボーグに搭載されたエンジンは1.6L 直4DOHCのガソリンNAとターボで、ターボの最高出力は145ps、最大トルクは21.0kgm、車重は1000kg。1989年のマイナーチェンジでは、最高出力160ps/6000rpm、最大トルク22.5kgm/2,500rpmにまで引き上げられ、車重1130kg の4WDモデルも追加された。

80年代の「テンロクホットハッチ」といえば、シビックカローラFXといった自然吸気のDOHCエンジンが主流であり、ターボはもっと排気量の少ないクラスのもの、というイメージだったが、ミラージュサイボーグは、そこに新風を吹き込んだ。

アクセルを踏み込むと、乱暴と表現するのがぴったりなぐらい強烈な加速を味わえる。あまりの強烈なエンジンパワーに、タイヤとサスペンションがついてきていない、と感じるほどだった。

とはいえ、ショートストロークのエンジンは、どの回転域からもスムーズに回り、街乗りからスポーツ走行まで、どこを走っていても速かった。3代目ミラージュサイボーグは、豪快なパワーをねじ伏せながら楽しく走れるクルマだった。

ちなみに、3代目ミラージュにはほかにも、ベーシックな「Swift(スイフト)」、女性オーナーを狙った「Fabio(ファビオ)」、リアサイドウィンドウをパネル化した2シーターの「XYVYX(ザイビクス)」という4つのグレードが存在するという、個性的なラインアップだった。

6代目ギャランのエクステリアと共通性の感じられる、マッシブでスポーティなフォルムで登場した、3代目ミラージュ。そのスポーツモデルがミラージュサイボーグだ

3代目ほどのインパクトがなかった4代目

その後ミラージュは、1991年に4代目へとフルモデルチェンジ。4代目ではラグジュアリー路線となり、デザインは丸みを帯びた優しい曲線のボディとなった。メカニズムも超低燃費を実現したMVV(リーンバーン)エンジンや純度の高い走りを生み出すリアマルチリンクサスペンション、安全装備の積極採用といった、機能性や快適性の追求が目立った。

サイボーグはというと、当初は設定されなかったものの、1992年の一部改良で可変バルブタイミング・リフト機構を持つMIVECエンジンを搭載して登場。NAながら175psと出力を向上させたものの、優しいデザインと機能性のイメージが先行して、3代目サイボーグほどのインパクトはなかった。

4代目ミラージュは丸みを帯びた優しいデザイン。途中で追加されたサイボーグはMIVECエンジン搭載で175psとなる

三菱らしさを取り戻した5代目、しかしサイボーグに刺激は与えられず

5代目ミラージュは1995年に登場、4代目からのキープコンセプトながら、新世代のベーシックカーを目指してクリーンでメカニカルなイメージのデザインが与えられた。4代目の柔らかい表情を残しつつも、くっきりと入ったサイドのプレスラインによってシャープな印象となっていた。環境性能と動力性能を両立させた新開発の1.5L DOHCエンジンが採用されたことが、5代目ミラージュの大きなトピックだ。

サイボーグはというと、4代目のMIVECが継承され、NAのまま。車重が1020kgと軽量であるため走りは十分スポーティだったが、5代目ミラージュにはセダンの「VR-X」グレードがあり、1.8L 直4DOHCターボで最高出力は205psと、こちらの方がサイボーグより刺激的であった。

当時は、ラリーでランエボが大活躍していた時代。ランエボ2(1994年)、ランエボ3(1995年)と、WRC参戦のためのベースマシンが、毎年のように改良していく陰に隠れ、「ミラージュ」の名がほとんど広がらなかった流れは仕方のないことだった。

5代目ミラージュハッチバック。販売不振で商業的には失敗だったが、走りはスポーティだった

「ターボの三菱」のイメージを築いた

4代目、5代目のサイボーグにはターボが設定されず、ミラージュは2000年の5代目終了のタイミングでいったん消滅、12年の空白ののち復活した現行型は、タイで生産されるAセグメントコンパクトへと生まれ変わっている。ターボを搭載した刺激的なホットハッチは、3代目ミラージュのサイボーグが最初で最後だった。

若者が自分の愛車を持てるようになった時代に登場した、3代目ミラージュサイボーグ。兄貴分のギャランとともに「ターボの三菱」のイメージを築き上げたその功績は大きい。

(編集部注/2012年に国内販売が復活した現行ミラージュは、マイチェンを繰り返して進化を続けており、約10年たった現在もフロントマスクに三菱らしいダイナミックシールドを採用して販売している。

いま日本販売市場の主役となっているトヨタヤリスや日産ノート、ホンダフィットのさらにひとつ小さいクラスで、1.2Lの純ガソリン仕様のみ。車両本体価格1432,200円~と、なかなかリーズナブルな価格設定で、アメリカの自動車データ分析会社から(セダン版である「ミラージュG4」が)「アメリカで最も中古車価値の高いサブコンパクトカー」に認定されていたりする(2021年11月選出)。

よいクルマなのだが、いかんせん知名度が低く地味なのが切ない。ここはひとつ(無茶は承知で)アライアンスを利用して日産からe-POWER機構を譲り受けて現行ミラージュへ搭載し、「サイボーグ」グレードを復活させると、往年のファンは大歓喜するのではないでしょうか。)

[gallink]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【衝撃】要人警護レベル!! もはや映画の世界……アメリカの配車アプリがスゴい
【衝撃】要人警護レベル!! もはや映画の世界……アメリカの配車アプリがスゴい
ベストカーWeb
【詳細レポート】角田裕毅、予選想定アタックまとめられず最下位。2日目もマクラーレンのスピードは健在か|F1バーレーンGP FP3
【詳細レポート】角田裕毅、予選想定アタックまとめられず最下位。2日目もマクラーレンのスピードは健在か|F1バーレーンGP FP3
motorsport.com 日本版
M.マルケスが4連続ポール獲得。小椋がトップでQ2進出/第4戦カタールGP 
M.マルケスが4連続ポール獲得。小椋がトップでQ2進出/第4戦カタールGP 
AUTOSPORT web

みんなのコメント

8件
  • C73A乗ってました。セダン、4WD ターボが装備され VR-4は買えなかったけど、こっちは手が届いた。細かいこと上げればいろいろあるけど、買える値段で十分な性能もってました。
  • サイボーグの他に、
    SWIFTスイフト、FABIOファビオ、XYVYXザイビクスがあった記憶が。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

149 . 1万円 164 . 5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9 . 4万円 259 . 0万円

中古車を検索
三菱 ミラージュの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

149 . 1万円 164 . 5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9 . 4万円 259 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村

あなたの愛車今いくら?