■にわかに現実味を帯びてきた“自衛隊ランクル70系”
トヨタ「ランドクルーザー70」が継続販売として復活することでユーザーから注目が集まっています。
その一方で別の方面からも注目されているのが、陸上自衛隊での制式採用です。
その可能性はあるのでしょうか。
【画像】これは自衛隊ランクルになる? ゴツい仕様がコレです!(50枚以上)
ランドクルーザー70(以下70系)の詳細についてまったく発表されていないにも関わらず、トヨタ系販売店にはすでに多くの受注の問い合わせが入っていると言います。
ただし、日本向けの70系はごく少量生産と言われており、発売当初は各販売店系列で熾烈な取り合いになるのではと考える関係者が多いようです。
気になる価格ですが、30周年記念モデルではバンが360万円、ピックアップトラックが350万円でしたが、新型はこれを大きく上回る400万円台後半になるという話も聞かれます。
久しぶりの70系販売で盛り上げる中、70系の“もうひとつの市場”にも注目が集まっています。
それは陸上自衛隊での制式採用です。ランドクルーザーの歴史の中で、陸上自衛隊制式採用の話は切っても切れないものです。
原点である「トヨタジープBJ型」が警察予備隊の採用トライアルに破れ、再び40系が73式小型トラックのディーゼル化トライアルに破れています。
結果的にはどちらも、アメリカ・ウイリス社とのライセンス契約でジープを製造していた三菱が勝ち取り、現行型の1/2tトラックについても三菱が継続して製造するという結果になりました。
現行型の1/2tトラックは「V10パジェロ」という社内名称が付けられているように、2代目パジェロをベースにした車両です。
パジェロのショートボディのラダーフレームを若干延長して、後部に横向き2名シートを2個装備して、6名が乗車できるようなっています。
またソフトトップにすることで、車両後部に様々な火器が取り付けられるのも特徴です。
しかし、パジェロの生産が終了してからすでに24年の年月が経っており、メーカーとして生産や保守管理でコストが見合わない状況になっていると言われています。
筆者が自衛隊駐屯地内で聞いた話では、部品供給が必ずしも十分でないため、駐屯地内で程度のいい車両に他の車両から部品を回す、いわゆる「共食い整備」になっているとのことでした。
そんな状況の中で、質実剛健な70系が新しい自衛隊車両の次期候補として浮上しても不思議ではありません。
実はランクルはすでに自衛隊への納入実績があります。
主に物資等輸送に使われている、100系や120系プラドです。
火器が付けられるような戦闘車両ではありませんが、「1/4t 4×4」という制式名称が与えられています。
またトヨタは陸上自衛隊に73式中型トラックの納入実績がある上に、自衛隊内でのランクルの実績と信頼性もすでにあるため、70系の採用はあながち夢物語ではなさそうです。
■自衛隊採用にはボディ展開で問題がある? 可能性はどこにある?
ただし、自衛隊に採用されるにあたってはボディバリエーションという問題が残ります。
現在、70系がグローバルで展開するボディバリエーションは「ショートバン」「ショート幌」「ロングバン」「シングルキャブトラック」「ダブルキャブトラック」「10人乗りバン(トゥループキャリー)」があります。
一見すると、ショート幌が1/2tトラックに合いそうな気がしますが、後部に4名を載せるというスペースがないため、これは除外されるでしょう。
かつては後部スペース的にちょうどがいい「ミドル」がありましたが、これは廃番になって久しいバリエーション。
となると、やはりロングバンか10人乗りバンということになりそうです。
漏れ伝わってきた話によれば、ミドルバンのナローボディが有力のようですが、クローズドボディは火器搭載のバリエーションが難しいので、戦闘車両ではなく1/4t 4×4での採用になるのかもしれません。
ちなみに、これは自衛隊のみならず国内民生用としても販売される可能性があります。
今回販売される新型70系は、ミドルワゴンだけの1グレード設定。
しかも250系のプライス帯とかぶる車両価格になると可能性が大なので、ミドルバン・ナローボディが安価で販売されれば、諸手を挙げるユーザーも多いでしょう。
しかし、仮にミドルワゴンと同じ2.8リッターディーゼルエンジンを搭載するなら、1ナンバー登録に。
3ナンバーのワゴンと比べるとランニングコストが高くなりますので、どこまでニーズがあるかは不透明です。
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