トヨタ スープラ 「硬派のための6速MT」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

硬派のための6速MT

2024.9.26

年式

2022年10月〜モデル

総評

2022年の一部改良時に追加されたのがRZの6速MT。スポーツカーファンにとっては待望のマニュアル車であり、自分なりの走りを楽しむにはまさにうってつけのモデルだ。同時に行われた仕様変更では操縦性や乗り心地の改善も行われ、走行性能に一段と磨きがかけられている。やや重めのクラッチに慣れることが出来れば、いい相棒となってくれるはずだ。

満足している点

もともとスープラはスポーツカーとしては拍子抜けするほどの快適性を確保しており、RZはグランドツーリング的な乗り味が印象的だった。22年に操縦性と乗り心地の改善を受けたことで完成度はさらに向上し、マニュアルトランスミッションを得たことで実用域でもダイレクトな走りが楽しめる、「ファントゥードライブ」のモデルに仕上がった。球体のシフトノブは握りやすく、スムーズな操作フィールが心地よい。

不満な点

MTには付きもののクラッチペダルが意外と重め。渋滞時などで頻繁にシフト操作を必要とする際には左足の疲労度は確実に増す。ATから乗り換える場合は特に注意しておきたい。

デザイン

4

デビュー当初からスタイリングに変化はない。ロングノーズにタイトなキャビン、大きく張り出したフェンダーアーチなど、曲面構成のボディパネルは個性的。22年の一部改良でRZには新デザインの鍛造19インチアルミホイールが採用されて足元が引き締められている。

走行性能

5

ダンパーの減衰特性チューニング、スタビライザーブッシュの特性変更、AVS、電動パワーステアリング、VSCなどの見直しによってロールバランスや乗り心地、ステアリング操舵時のレスポンスが向上。初期モデルに対して洗練された印象もあり、限界域でのコントロール性も高められている。340馬力から387馬力に引き上げられた3リッターターボエンジンは力強い吹き上がりが得られ、直6ならではの滑らかな回転フィールが心地よい。

乗り心地

4

スポーツカーだから乗り心地が悪いと思い込む人も多いだろうが、実際に乗ると拍子抜けするほどの快適さ。静粛性も納得出来るレベルにあり、改良されたJBLサウンドシステムの臨場感ある音質を楽しむことが可能だ。

積載性

2

ラゲッジルームは290Lの容量があり、機内持ち込み可能なスーツケースならば2つは収納できそうだ。開口部が高く、開口面積も広くないので重くかさばる荷物の積み込みはしづらい。

燃費

3

6速MTのWLTCモード燃費は11.0km/L。RZの8速AT（12.1km/L）よりもやや悪い数値となっているが、MTで効率のいい回転域を多用すると、実測燃費ではATよりも良好な数値が得られることもある。

価格

3

6速MTのRZは731万3000円。8速ATと同価格でナビゲーションシステムや12スピーカーのJBLプレミアムサウンドシステムは標準装備となる。タンもしくはブラックの本革シートが唯一のメーカーオプションだ。ベースとなったBMW Z4や同クラスの輸入スポーツと比べれば安価に思えるが、フェアレディZバージョンSTよりも高価。高い、安いではなく、スポーツカーは好みで選ぶのが正解だ。