トヨタ シエンタ 「ささやかな幸せをくれるミニバン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
5
燃費
5
価格
5

ささやかな幸せをくれるミニバン

2022.11.21

年式
2022年8月〜モデル
総評
全高以外の寸法は先代同等をキープし、最小回転半径が全車5.0mという取り回し性能の良さを持つ、3列シートが選べる新型シエンタ。ミニバンデビューのファミリーはもちろん、運転に不慣れで「コンパクトカーの延長として乗れるミニバン」を探している人には最強の1台。またプロアクティブドライビングアシストが全車標準装備されており、運転中のうっかりミスやヒヤリを減らしてくれるのが安心です。
満足している点
とにかく気の利いた収納スペースが多い新型シエンタ。運転席と助手席のカップホルダーは紙パック飲料も入る形状で、その横にはペットボトルのキャップを置いたり、アメやコインなど迷子になりがちなモノを置くのにピッタリの小物入れがあるのがナイスアイディア。また、スライドドアの開口部の高さが従来比6cmアップの120cmに拡大し、背の高い人でも乗り降りの際に頭をぶつけにくくなっています。
不満な点
3列目シートを床下格納してラゲッジのフロアを低くできるのがシエンタの強みですが、一度、2列目シートをタンブルし、その下に3列目シートを滑り込ませてから2列目シートを元に戻して完了、という構造となっているため、頻繁に操作をするのはなかなかの重労働。2列目シートの座面にチャイルドシートを装着していたり、大きな荷物を置いている場合には、それらを移動してからの操作になってしまうので、頻繁に3列目シートを使うライフスタイルではやや面倒かもしれません。
デザイン

5

スポーツバッグをイメージしていた先代から大変身して、新型はホンワカ癒し系のデザインに。コワい顔のミニバンばかりある中で、これはとても希少な存在です。フォルムも初代に近い箱型に回帰して、室内空間など実用性をアップする狙いもあるよう。斬新さや先進感ではなく、日常のちょっとしたことに幸せを感じるような暮らしにピタリと馴染む、絶妙なアットホーム感だと思います。
走行性能

4

シエンタ専用(一部、リヤは流用)のプラットフォームを採用し、ヤリスやアクアなどと同じ、ダイナミックフォースと呼ばれる新世代3気筒エンジンをベースとしたハイブリッドとガソリンを設定。従来よりEV走行の作動範囲が広がり、ゴツさはないけどしっかりとした安定感がある走りは、少しノイズが気になる場面はあるものの安心感がアップしたと感じます。ガソリンはとても軽快で、街乗りがキビキビしていてラク。
乗り心地

4

2列シート5人乗りと3列シート7人乗りがあり、7人乗りは2列目がロングスライド付きでゆったり。3列目はやや押し入れ的な感覚で座る印象ですが、子供はこういうタイトな空間が好きだったりするので、4〜5人家族でも十分に使いやすいでしょう。路面によって微振動が気になるところもありつつ、おおむね乗り心地は良好。カーブでの安定感も高めなので、長く乗っていても疲れにくいと思います。
積載性

5

先代同様、3列目シートが2列目シートの下にすっぽりと格納されるシートアレンジのおかげで、低い荷室フロアが確保できて荷物を有効に積むことができます。ただ、その格納操作はなかなかの重労働。27インチ自転車がラクに積めるという話でしたが、2列目シートを折りたたむと大きな段差ができるので、我が家の電動ママチャリを積もうとしたけれど断念。でも24インチ自転車はしっかり積めました。
燃費

5

先代より燃費は大幅に向上。ハイブリッドは最高28.5km/L(WLTCモード)、ガソリンは18.3km/L(WLTCモード)となっていて、ハイブリッドで250km程度走行したところ、外気温30度の暑い日でエアコンをしっかり効かせていても、実用燃費は22.0km/Lをマークしたので素晴らしいと思います。ガソリンモデルも、ダイレクトシフトCVTがいい仕事をしているのか、微妙な加減速のコントロールもしやすくエコドライブがしやすい印象です。
価格

5

5人乗りのガソリンモデルが最もリーズナブルで195万円。7人乗りは199万円から。ハイブリッドは5人乗りが238万円から、7人乗りが242万円からと約40万円アップです。燃費の差だけでは元は取れませんが、ハイブリッドを選ぶとオプションで1500Wのアクセサリーコンセントが付き、非常時給電システムが装備されていて、災害などの際にも電気が使えるようになるのがメリットです。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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