トヨタ ノア 「あらゆるシーンに使えるファミリーカー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

一条 孝
一条 孝(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
5
燃費
4
価格
3

あらゆるシーンに使えるファミリーカー

2022.11.25

年式
2022年1月〜モデル
総評
キープコンセプトでありながら、あらゆる面で進化が見える。プラットフォームの一新によってドライビングポジションもよくなり、操縦安定性と乗り心地のレベルアップも確かめられる。先代では物足りなかった先進安全装備の充実ぶりも目覚ましく、より安心・安全なモデルとなっている。ガソリン車でもパワフルな走りが期待出来、高速クルーズでの燃費も良好だ。
満足している点
エンジンを一新したことで走行フィールが向上し、ダイレクトシフトCVTとの組み合わせで発進性がよくなり、加速フィールもスムーズ。それでいてまわせば伸びのある加速も得られるので、家族が一緒ではない時には運転を楽しむことも出来そう。操縦性も向上しており、運転をさりげなくアシストするPDA(プロドライビングアシスト)とともに安心感のある走りに貢献する。
不満な点
ファミリーユースのミニバンとしては高価な印象を受ける。クルマの性能向上とともに先進安全装備の内容もどんどん進化していく中である意味しょうがないと思える面もあるが、値上げ幅はもう少し抑えて欲しかった。メーカーオプションやパッケージオプションも“充実”していて、全部盛りにしたらいくらになるのか。ステップワゴンのプレミアムラインは約346万円でナビゲーションシステムを除く装備が標準とリーズナブル。ノアにもそんな仕様が欲しいところ。
デザイン

4

先代は5ナンバーボディをベースとしたモデルだったが、4代目は全車が1730㎜の全幅となり、3ナンバー車となった。エアロ系は開口部の大きなフロントグリルにメッキを配した太いバーが備わる。ヘッドライトやボンネットはノア/ヴォクシーそれぞれ専用デザインとなる。また、リヤコンビランプもヴォクシーとは差別化されてワイド感が強調されている。
走行性能

4

ガソリン車にはM20AーFKS型「ダイナミックフォースエンジン」が搭載される。もちろんレギュラー仕様で170馬力/20.6kgmの性能を持つ。先代のバルブマチックエンジンに対して18馬力/0.9kgmの向上により、吹き上がりがシャープになると同時に、実用域での扱いやすさも向上している。組み合わされるダイレクトシフトCVTはスムーズな走りに貢献し、積極的な走りでは10速疑似マニュアルシフトのステップ変速制御によりスポーティな走りも楽しめる。
乗り心地

4

2850㎜のホイールベースは先代と共通でも、プラットフォームは先代から一新されており、カローラシリーズなどと共通のGA-Cが用いられている。ボディ剛性を高め、サスジオメトリーの改善などにより操縦安定性と乗り心地をより高いレベルで向上させている。実際に乗り心地はしなやかで快適。路面の段差を越えた際のショックもうまく抑えられている。ロードノイズも先代よりも低く感じられる。
積載性

5

跳ね上げ式のリヤゲートは任意の位置で止めることが可能なフリーストップ方式を全車に標準装備。S-Zにはハンズフリー機能を備えたパワーバックドアがオプションで用意される。開口部の荷室フロアは地面からほぼ500㎜。3列目を折り畳まなくても普段の買い物の荷物程度は十分に収納することが可能。跳ね上げ式のサードシートは先代からクオーターウインドー部に収納することができたが、シートがさらに薄くなって荷室の使い勝手が向上した。シートを固定するストラップがなく、跳ね上げる際の力も不要で簡単に収納できるのがいい。
燃費

4

ガソリン車が苦手とするのは一般道。ゴーストップを繰り返す渋滞路や混雑した場面ではハイブリッドがモーター走行を積極的に活用するのですぐれた経済性が得られるが、ガソリン車は負荷の掛かる領域でもエンジンで走行をしなくてはならない。反面、エンジンが掛かりっぱなしになる高速では効率がよく、ハイブリッドに迫る経済性も期待できる。一般的な高速走行での燃費は15〜17km/Lといったところだ。
価格

3

ベースグレードのXで267万円、最上級グレードのS-Z で332万円(いずれもFF)。Xは内外装が実用本位となり、ディスプレイオーディオもオプション。ADAS(先進運転支援システム)ではトヨタセーフティセンスが標準装備。スポーティなスタイル、装備の充実度で選ぶならやはりS-Z。ハイブリッドに対して35万円安くなるが、普段使いでの経済性やモーターフィールの心地よさを考慮するとハイブリッドを選んだほうがよさそう。ただ、欲しいオプションを加えていくと相当高価になるので、少しでも価格を抑えたいのであればガソリン車の選択肢もあり。
一条 孝
一条 孝
自動車ジャーナリスト
自動車専門誌の編集&ライターとして活動後、自動車ジャーナリストとして専門誌やWeb、タブロイド紙などに寄稿。運転する楽しさを追求するとともに、環境性能やパッケージングにもこだわりを持つ。これまで保有した車の大半はFRレイアウトのマニュアル車。日本自動車ジャーナリスト協会会員
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