トヨタ FJクルーザー 「レトロモダンな個性派オフローダー」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

レトロモダンな個性派オフローダー

2021.9.30

年式

2010年11月〜モデル

総評

好きになったら手に入れてとことん楽しんでほしい。多くの人に推奨できるクルマではないが、こういう個性派は人生を豊かにしてくれること間違いなしだ。個人的にも、広いガレージがあったら手元に置いておきたいとすら思える。

満足している点

スタイリングがもたらす個性的な雰囲気。ランドクルーザーに準じる悪路走破性。内容の割に（新車時は）リーズナブルな価格。快適性や燃費の面などで万人向けとは言えないが、とことん好きな人を生むクルマだ。古くなっても古さを感じないデザインもいい。

不満な点

燃費が良くないし、設計が古いので衝突被害軽減ブレーキなど先進安全装備の採用もないこと。またインテリアの仕立ては上質とは言い難い。しかしそのシンプルさがこのクルマの味という考え方もできる。観音開きドアは後席アクセスを得意とせず、また後席はスペース的には充分だが窓が小さく閉塞感がある。

デザイン

5

ハッキリと好き嫌いが分かれそうなレトロモダンデザインは、丸形ヘッドランプやそれを囲むグリル、そして直立したフロントウインドウなど、1960年から1984年にかけて販売していた「FJ40型ランドクルーザー」がモチーフ。さらに観音開きの側面ドアを採用するなど個性と遊び心が盛り込まれている。高級とはベクトルの異なるデザインだが、控えめにいってオシャレだ。

走行性能

4

エンジンは排気量4.0LのV6ガソリンで最高出力279ps、最大トルク380Nmを誇る。大排気量らしいトルクフルな走りが魅力だ。ランクルプラドなどと共通のラダーフレームやサスペンションを使った構造で、悪路走破性も本格派。駆動方式はMT車がフルタイム4WD、AT車はパートタイム4WDだ。

乗り心地

3

オフロード走破性を高める車体構造とし、走行性能もそのステージを視野に入れたもの。そのため都会派SUVのような繊細な乗り心地ではなく、路面状況などにより細かい突き上げが気になる時がある。しかし、車体の上下動は少なく大きな衝撃をしっかりと緩和するので、決して不快ではない。

積載性

4

このクラスのSUVとしては一般的な水準。床は高めだが、天井も高いので天地高が十分に確保されているのが印象的。奥行きも約860mmあるから積載性は充分だ。後席格納はダブルフォールディング式となっている。また、床面が撥水素材なので汚れても掃除しやすいのも美点。

燃費

2

ATモデルのJC08モード燃費値は8.4km/L。2トン近いボディに大排気量エンジンを積んでいるので燃費性能は期待すべきではない。使用燃料はレギュラーである。ついでに加えれば、大排気量エンジンゆえに毎年の自動車税も高め（6万6500円〜）。

価格

5

2018年に新車の日本販売を終了しているが、今にして思えば激安だ。発売時のエントリー価格は315万円。装備を追加した最終モデルでも349万円で、先進安全装備など一切なかったとはいえ、これはV6エンジンを積む本格オフローダーとしては破格。いっぽうで中古車は需要と供給のバランスから高値安定で、なかには新車価格を超える個体もある。