ミニスイフト的な車を期待したが…
先代アルトは徹底的な低コスト車でした。ペラペラの内外装、ぐにゃぐにゃのシートや足回りなど、ハッキリ言って我慢して乗る
2010.1.1
- 総評
- ミニスイフト的な車を期待したが…
先代アルトは徹底的な低コスト車でした。ペラペラの内外装、ぐにゃぐにゃのシートや足回りなど、ハッキリ言って我慢して乗る車、仕方なしに乗る車でした。
しかし、先代アルト登場以降発売されたスズキの車は、スイフト・SX4・パレット・キザシなど普通車・軽問わず、従来の安っぽかったスズキのイメージを完全に覆す素晴らしい車が多く、新型アルトは軽の枠を超えた質の高いベーシックカーになるのでは…と期待したのですが、残念ながら期待ほどではなかったなというのが率直な印象です。
もちろん先代よりも走りや内外装の質は上がっているのですが、ライバルであるダイハツミラに比べると、やっとミラのレベルに追いついたなという印象です。それどころか、室内空間の広さなど依然としてミラに劣っている部分もあり、ちょっとガッカリです。
スズキの軽の販売台数はワゴンRが突出していますが、ダイハツはムーヴ、タント、ミラどれもコンスタントによく売れています。これはミラのベーシックな出来の良さが市場に評価されているのだと思いますが、スズキはアルトでちょっと力を抜いてしまっているので、今後の販売がちょっと心配ですね。
ともあれ、上記の通り先代からの進化は感じます。コストとの兼ね合いの中ではよく出来た方でしょう。普通の人が普通の生活の中では何の不満もないでしょうし、ワゴンR・ムーヴなど背高系は車重が重く燃費が悪いし不必要という方にはオススメの車です。
ちなみに燃費は燃費計表示値で15.3km/Lでした。市街地と山道半々程度であまり燃費を気にせずに走ったにしてはまずまずでしょう。
- 満足している点
- ・品質感の向上
スズキの軽といえば一昔前まで安かろう悪かろうの代名詞でしたが、パレットや現行ワゴンR登場以降急速に品質感を向上させています。新型アルトも先代よりも走りや内外装品質の向上の努力が見られます。塊感のあるスタイル、ラパンを思わせるツートーンのシート、優しい丸をモチーフにしたダッシュボードなど、安っぽかった先代アルトよりも魅力アップしています。
・軽快な走り
車重が730kgと軽いため、背高系の軽に比べて軽快な走りです。試乗コースは7~8%程度の勾配もあったのですが、ワゴンRなどが音ばかりでなかなか加速しないような状況であっても、スイスイと加速していきます。
同じ54PSのK6Aエンジンを積むスズキ各車と比較すると…
アルト(Fグレード・AT・FF) :730kg
ワゴンR(FXグレード・AT・FF):810kg
パレット(Gグレード・AT・FF):900kg
と、アルトは圧倒的に軽量で、その数値上の優位がそのまま走りに現れています。
また、背高系に比べて相対的に全高が低くてコーナーでの走りにもアンダーステアが少なく、上屋がグラッと傾がず不安感が少ないです。ちなみにコーナーリングが安定しているので、スタビが入っているのかなと思ってみてみたのですが、前後とも入っていませんでした。
車にとって車重が軽いことは、走り・制動性能・燃費・耐久性などに有利です。最近は軽といえばアルト・ミラのようなセダンタイプよりも、ワゴンR・タント・パレットのような背が高く重量がかさむモデルが販売の主流ですが、軽快なセダンタイプがもっと見直されてもいいのではないでしょうか。
・広い室内空間
先代よりもホイールベースが40mm延長されていることもあり、室内、特に後席空間が広いです。後席に座った際の、膝と前席シートバックとの間に握りこぶし二つ分以上入りますし、1,535mmの高い全高や切り立ったサイド・リヤウインドウのおかげで、頭上・側頭部にも圧迫感はありません。空間的なゆとりはスイフトよりも上です。
・ATが下級グレードまで4速
4ナンバーバンまで含めた全グレードが4速オートマチックを採用しており(上位グレードはCVT)、燃費・走り・快適性の点で優れています。ライバルのダイハツミラは下級グレードやバンは3速オートマチックなので、この点はアルトが優位ですね。
- 不満な点
- ・従来の安っぽいスズキのイメージを完全には脱却できていない
スズキの、というより日本車のロワーレンジに位置する車なので「安い」ことは必然なのですが、「安っぽい」の範疇から脱却できていないように思います。内外装の質感や作り、乗り心地、振動・騒音、走り味など、あくまでも普通の軽自動車という印象で、同じスズキのパレットが軽であることを感じさせない力作だったのに比べると数段落ちるように思います。試乗車はオーナードライバー仕様としては最低グレードになると思われるFグレードで、他グレードより遮音材などが省かれているのかもしれませんが…
また普通車のスイフトが、安い価格で優れた内外装デザイン、楽しい走りを実現を実現しているのに比べても、アルトは志が低いです。
ベーシックな中にもミニスイフト的な仕上がりを期待したのですが…
・シートのサイズが小さい
フロントシートのサイズが小さく、身長175センチの私が座ると、ヘッドレストを最上位置にしても後頭部の適切な位置に届きません。女性や高齢者がメインターゲットとはいえ、この車は営業車としての需要も多く、成人男性が乗ることも多いと思いますが…
・リアシートのヘッドレストは欲しい
最上級のXグレード以外リアシートのヘッドレストが備わっていませんが、これは贅沢装備ではなく安全装備なので、全車に標準であるべきだと思います。
・ミラに似てしまった外観
先代アルトは良くも悪くも一目でアルトと分かる個性的なデザインで、他車との差別化を図っていました。しかし新型は、サイドウインドウのグラフィック、後ろに向かって切れ上がるウエストライン、なだらかなカーブを描くルーフラインなど、ライバルのミラに非常に似てしまいました。直接のライバルにこうまで似せてしまうのはいかがなものでしょうか…
- デザイン
-
-
- 走行性能
-
-
- 乗り心地
-
-
- 積載性
-
-
- 燃費
-
-
- 価格
-
-
- 故障経験