スズキ アルト 「軽ベーシックのエリートモデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

軽ベーシックのエリートモデル

2022.7.24

年式

2021年12月〜モデル

総評

インパネやシートなど高級感という言葉はやはり使えないところはあるものの、ひと昔前の軽ベーシックカーと比べると、パワフルかつなめらかな走り、静かさ、高速走行の安定感は、とても優秀です。普通に走っていても燃費がそこそこ出るし、収納や荷室の使い勝手もアップしています。なにより、物理的に実感しにくい安全装備をしっかり充実させているのは、スズキの良心を感じるところです。

満足している点

運転席に座って、まず感じるたっぷりとゆとりのある頭上空間がとても気持ちいいクルマです。Aピラーの傾斜がゆるくなったデザイン的な効果もあり、左右の視界が開けて見晴らしの良さを実感。ドア開口部も20mm拡大し、乗り降りがしやすくなっているところもいいですね。

不満な点

通常モデルに関してではないのですが、歴史あるアルトのスポーツモデル、アルトワークスが今回から作られないというのが、ファンとしては残念です。

デザイン

4

先代の時に大変身して登場したので、今回はその正常進化という雰囲気。でもよく見ると、ぷっくりと丸みを帯びたボディラインや、眠たげなようにも、睨みを効かせているようにも見えるヘッドライト、ボンネットに入る2本のラインなど、個性的なポイントがたくさんあると感じます。

走行性能

5

アルト初のマイルドハイブリッド搭載で、出足から元気でパワフル。まるでターボがついているのか疑ってしまうほど、低速から高速域まで余裕たっぷりに走れてビックリ。高速道路でのノイズは少々大きめな場面があるものの、追い越し加速も車線変更もストレスなし。ほどよい安定感があり、常にリラックスして運転できることにも感心しています。

乗り心地

5

もちろん路面の振動を完全には抑えきれないし、ノイズも入ってくるのですが、軽のベーシックカーとしての先入観は覆される快適性を実現していると思います。これは新プラットフォーム「ハーテクト」の第一弾だった先代から、他モデルで培ったノウハウをフィードバックして、この新型アルトで2巡目に入った効果もあるのだと聞いています。

積載性

4

開口部は下部と上部の幅が広く取られていて、真ん中あたりがちょっと狭くなっている形。横長で大きな荷物を積む際には気になるかもしれません。でも5人乗車でも奥行きが425mmあり、後席を倒せば1225mmに拡大するので、普段の買い物からレジャー用の大きな荷物まで積みやすくなっています。

燃費

5

マイルドハイブリッドを搭載したことで、減速時のエネルギーを利用して発電し、充電した電力で加速時にアシスト。軽快な走りと低燃費を両立して、WLTCモードで27.7km/Lを達成したのは素晴らしいですね。実際に、とても効率よくガソリンを消費してくれている感覚です。エネチャージ搭載グレードもあり、燃費はWLTCモード25.2km/Lとなっています。

価格

5

100万円を切る価格帯から選べる、希少なモデルの1つ。それでも、ほとんどの安全装備は標準装備だし、4WDは運転席シートヒーターも全車に標準装備という、すごい内容だと思います。ディスプレイオーディオの価格で、バックカメラも装着できるのが嬉しいところ。