スバル ソルテラ 「スバルっぽさもしっかりある」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

スバルっぽさもしっかりある

2022.8.23

年式

2022年5月〜モデル

総評

これからはどんどんEVが増えていくことでしょう。しかし、まだ普通の人がガソリン車と同じ感覚で普通に乗れる水準とはいえないように思います。いっぽうで、これまでのガソリン車と同様に扱えなくても、それがEVの個性だと受け入れられるのであれば所有する魅力があるのもまた事実で、それはたとえばガソリン車とは全く異なるスムーズな加速感や静かさといったところです。

満足している点

スバル初の量産EVという未来先取り感。期待を裏切らない走りの心地よさ。もしスバリストなら、フロントシートヒーターの発熱エリアの広さ、後席にもシートヒーターが用意されていること、ドライブモード切り替えがスバルの高性能車らしく3モード（トヨタ版のbZ4Xは2モード）になっていること、アクセルを離した際の減速度をコントロールするパドルが備わること（bZ4Xには非採用）など、スバルらしい仕立ても満足度を高めてくれるはず。

不満な点

バッテリーが大型で外出先の急速充電に頼ろうとすると充電時間がかかること、航続距離の制約などガソリン車と同じ感覚で使える使い勝手ではないこと、そして価格が高めなこと。それらを乗り越えられる人のみが、このクルマを所有する資格があるのだと思います。

デザイン

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デザインはあくまで主観的なものですが、間違いなく言えるのは「これまでのスバル車とは異なる雰囲気がある」ということ。たとえばフロントは、スバルの定番である6角形の「ヘキサゴングリル」（正確にいえばソルテラの場合は“グリル”ではないですね…）を用いながらも、独特の構成。トヨタ版の「bZ4X」と好みで選べばいいのではと思います。

走行性能

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EVのなかには「力強い加速」をウリにしている車種もありますが、ソルテラのポイントはそこではありません。いうなれば“扱いやすさ”と“ガソリン車から乗り換えたときの違和感のなさ”です。アクセル操作に対する加速の反応がただただ素直で、パフォーマンス系のEVにありがちな唐突感がないのがグッドポイントと感じました。ただ、心地よさでいえば日産「アリア」のほうが少し上かもしれません。もちろん、加速力は必要にして十分です。ハンドリングは、4WDモデルの場合トヨタbZ4Xに対してサスペンションの味付けを変更していて、やや硬めの設定。おかげでハンドル操作に対する反応がシャープかつ、旋回中のロールの安定感も増しています。

乗り心地

3

路面の凹凸を超えたときの突き上げ感といった、EVにありがちなウィークポイントもしっかりと解決してあり、イヤな部分はまったくありません。たしかに4WDモデルは、トヨタbZ4Xに対してサスペンションを締め上げてあるのでやや路面の凹凸による入力がダイレクトな感じはありますが、不快に感じるほどではありませんでした。もし乗り心地を最重視するならFFを選ぶ、もしくはbZ4Xを選ぶのがベターかも（ハンドリングはbZ4Xのほうがいいですが）。

積載性

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積載性において「EVだから」という言い訳は不要。荷室の床が高いということもなく、奥行きも970mmと大型セダンに匹敵するほどです。シートアレンジも同様で、左右独立で後席を倒せ、倒した際の床に段差を生じないといったスバルのこだわりもしっかり継承。前輪を外したマウンテンバイクが2台積めます。床が広いわりに容量が410〜420Lとやや少なめな理由は、クーペスタイルSUVで天地高に制約があるから。

燃費

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カタログに記載されているWLTCモード値から換算すると、電費は6.8〜7.9km/kWhで1充電での航続距離は487〜567km。実際にそこまで届くように走るのは難しいですが、ロングドライブもこなせる実力です。ただ、リアルワールドでの話をすると、外出先での充電器利用時は思ったほど充電速度が上がらず（高出力の急速充電器は意外と少ない）、充電時間が思った以上にかかる印象。ただし、これはソルテラのせいではなくインフラの問題ですが……。

価格

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594万円から682万円という価格は、補助金（2022年実績で85万円）を受けたとしても同じクラスのガソリン車に比べると高いのは否めません。それをどう判断するか……という話になるのですが、個人的には補助金なしでもガソリン車と比較できるくらいになってからがEV時代の本番かな……という気がします。