スバル レヴォーグ 「「あばたもエクボ」と感じられるなら…」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

「あばたもエクボ」と感じられるなら…

2023.11.30

年式

2020年10月〜モデル

総評

ほとんど唯一のスポーツワゴンという点では非常に価値のある1台と言えるものの、課題の多いモデルでもある。特に、長距離走行を得意とするスポーツワゴンであり、長時間の運転をサポートする最新の先進安全運転支援システムも搭載されているにもかかわらず、燃費性能が低いという点はチグハグさを感じてしまう。そのデザインも含めて、一部の人にはたまらないクルマであることは言うまでもないが、それは同時に多くの人におすすめできるクルマではないことも意味している。ちなみに、2023年10月には一部改良が行われており、グレード構成の見直しや新色の追加が行われている。

満足している点

かつて一世を風靡したスバル・レガシィ ツーリングワゴンやホンダ・オデッセイ、日産・ステージアなどの面影を残す数少ないモデルであるだけに、国産スポーツワゴンを求めるユーザーにとってはほとんど唯一の選択肢となる。単に懐古趣味のユーザーに向けたモデルというわけではなく、一定のラゲッジスペースは必要としながらも駐車場の環境などからSUVやミニバンを選べないケースなど、実は潜在的なニーズは少なくない。また、スポーティな走りに加えて、ハンズオフ機能を含む優れた先進安全運転支援システムが備わっているため、長距離移動にも適した1台である。

不満な点

パワートレインが1.8Lと2.4Lのガソリン車（マイルドハイブリッド車）しか用意されておらず、燃費性能は期待できない。また、スバルらしいと言えばスバルらしいが、その「メカ感」の強いエクステリアデザインは、洗練された都会的なイメージとは言い難く、好みが分かれるところではある。

デザイン

3

かつてのレガシィ ツーリングワゴンの流れを汲むそのデザインは、スポーツワゴンを求めているユーザーにとってはまさに「ストライクゾーンど真ん中」といったところだろう。良くも悪くも、輸入車ブランドのステーションワゴンのような雰囲気は感じられないのが、レヴォーグのエクステリアデザインの大きな特徴と言える。インテリアもエクステリア同様の印象で、機能性は特に問題ないため、単純にこのデザインを気に入るかどうかが重要なポイント。

走行性能

4

その印象通りのスポーティな走りはレヴォーグの大きな魅力。水平対向エンジンによる重心の低さを活かしたハンドリングも含めて、その走りはまさにスポーツカーと言っても過言ではないだろう。基本的には1.8Lの方でも過不足は感じられないが、近年ではめずらしくなったガソリンエンジンによるパワフルな走りを体験したいなら、2.4Lを選ぶのもアリ。ただ、電動パワートレインの走りに慣れたユーザーが乗ると、いかにもガソリンエンジンといった走りをわずらわしく感じることもあるかもしれない。

乗り心地

4

スポーティな走りとは裏腹に、意外にもその乗り心地は上々だ。特に、電子制御ダンパーを備えた「STIスポーツ」はドライブモードセレクトによって乗り心地を調整することができるため、よりスポーティ、もしくはよりコンフォートな走りとすることも可能となっている。もちろん、それ以外のグレードも全体がバランス良くまとめられているため、どのグレードを選んでも乗り心地に大きな不満は出ないだろう。

積載性

3

高さはないものの、セダンよりは大きなラゲッジスペースを持っていることは間違いない。ただ、SUVやミニバンと比べると決して大きくはなく、過度な期待はしないほうがよさそう。ハンズフリーオープンパワーリヤゲートがほぼ全グレードに備わっていたり、フロア下にサブトランクが用意されていたり、機能性は悪くない。全高が低い分、荷物の積み下ろしがしやすい点もうれしいポイントだ。

燃費

2

長距離走行を得意としながら、この燃費性能は致命的と言わざるを得ない。レヴォーグというクルマが好きなのであれば大きな問題ではないかもしれないが、単にステーションワゴンというボディタイプのクルマを必要としているだけなら、トヨタ・カローラ ツーリングのハイブリッドモデルなどを選んだほうがコストパフォーマンスはいい。

価格

2

エントリーグレードは363万に設定されてはいるものの、機能装備を考えると379万5000円の「GT-H EX」以上を選んでおきたいところ。スポーツワゴンとしてのレヴォーグを求めるなら「STIスポーツ」にしたいところだが、価格は434万5000円〜502万7000円と一気に跳ね上がる。減税措置もなく、燃費性能も低いことを考えると、正直言ってコストパフォーマンスはかなり悪い。