「日本には、レガシィがある。」
数少ない骨太の車だと思う。アイサイトはもうCMでおなじみだし、万が一ぶつかっても自動車アセスメントグランプリ受賞の衝突
2011.12.17
- 総評
- 「日本には、レガシィがある。」
数少ない骨太の車だと思う。アイサイトはもうCMでおなじみだし、万が一ぶつかっても自動車アセスメントグランプリ受賞の衝突安全性がある。平凡な人を、ある日突然交通刑務所送りにしてしまう危険が潜む日常にあって、そのリスクを各段に下げ、いざというときに大切な家族を守ってくれる安心感は何物にも代えがたい。それがボルボやメルセデスの半額で手に入るというのだから、日本人は幸せだ。
しかも定評のあるAWD付き。ライバル不在。よほどの大家族でなければ、指名買いだろう。
- 満足している点
- AWDのくせに、その辺のFRやFFより燃費がいい。スイスやノルウェーなど、自然環境が過酷で自国に大手メーカーを持たない自動車産業中立国でのレガシィ率を見れば、フェアに見てどれくらいコストパフォーマンスに優れ、信頼されているのかがわかる。
日本の自動車評論家にはドイツ車信仰者が多く、よく手放しで褒めちぎっているが、たまには長期のトラブルリポートでも連載してはどうだろう。米国で大きな影響力を持つと言われるコンシューマーリポート(会員130万台分のアンケート集計)の結果を見れば、あのドイツ車御三家だって信頼性の点ではアメ車と同等かそれ以下だ(トップ10は依然として日本メーカーの独壇場)。この円高のご時世、最も信頼性の高い車を関税抜きで買えるのだから、やっぱり日本人は幸せだ。
- 不満な点
- 確かに大きさはネックだと思う。もうここでも語りつくされた感があるが、やはりちょっとメタボだ。しかも太り方がよくない。主に北米市場からの要請やミニバンユーザーを取り込むために全高を上げた。日本市場も無視できないから、車幅を抑えた。商売としては正解だったかもしれないが、そのために「レガシィ」が失ったものは大きいと思う。
興味深いデータがある。米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)では試験車両の横転のしやすさについても格付けをしているが、一時その指標となるstatic stability factor (SSF)という数値もホームページ上で公表されていた。SSFとはトレッド幅の半分を重心高で割った値で、つまりタイヤの間隔が広く重心が低いワイド&ローな車ほどSSFは高い(=横転の確率は低い)。車の重心高がバレるので、メーカーの要請で掲載を止めたのだろうか。
スバルが謳う「水平対向エンジンは低重心」、これを裏付けるように、歴代のスバル車のSSFは同じセグメントの中では頭一つ抜き出ていた。しかし、残念なことに現行レガシィの値は意外と平凡だ。
1.49 アテンザ
1.48 インスパイア
1.46 アウディA4
1.45 スカイライン
1.45 レクサスIS
1.45 レガシィBM
1.44 BMW3シリーズ
1.43 ベンツCクラス
1.42 カムリ
数値自体は決して悪くはないのだが、トレッド幅を抑え、全高を上げた弊害がここに出てしまっている。今後、EVやHVが増えてくれば、バッテリーの搭載位置などで重量配分の自由度は格段に増す。現時点のSSFで優位性を保てないなら別に水平対向エンジンじゃなくてもいいじゃんって話だ。願わくば日本市場は新しいインプレッサに任せて、レガシィには思いっきりその羽(車幅)を伸ばして、世界を相手に思う存分戦って欲しい。
86やBRZの登場で、スバルはシンメトリカルAWDレイアウトを自ら否定してしまった側面もあると思う。量販車に期待するのは酷かもしれないが、フェラーリFFみたいに、前輪の駆動力をエンジン前面でクランクシャフトから直接取り出すなり、フロントデフを前だしするくらいのウルトラCに期待したい。
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