スバル クロストレック 「SUBARUのAWDにTHSの組み合わせ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
3
燃費
3
価格
3

SUBARUのAWDにTHSの組み合わせ

2024.11.26

年式
2024年9月〜モデル
総評
コンパクトハッチバック「インプレッサ」をベースにしたSUVモデルが「クロストレック」だ。2022年の発表(発売は2023年)から2年が経過したタイミングで初の一部改良を行った。最大のニュースはトヨタ印のTHSをベースにしたフルハイブリッドモデルの追加だ。SUBARUではこれを「ストロングハイブリッド」と呼んでいる。ここに定評あるSUBARUのAWD技術を組み合わせた。また、市場からのニーズに応えインフォテイメントシステムの拡充も図った。
満足している点
ストロングハイブリッドモデルの導入により、SUBARU各モデル最大の弱点とも言われた燃費性能が大きく向上したことだ。発表こそしたものの発売前とありカタログ記載のWLTC値は公表されていないが、公式サイトには「1回の給油で1000km以上の走行が可能」と謳われている。これは優れたハイブリッドシステムの採用に加え主要部品配置に工夫を凝らすことで燃料タンクを拡大したことも貢献している。
不満な点
限られた悪路シーンで、しかもプロトタイプの試乗のみからの評価になるが、SUBARUらしさ、具体的には楽しさの演出が走行性能で不足していると感じた。燃費性能の向上はTHSを用いたことで得られたわけだが、肝心のAWD技術との組み合わせは未知数のところが多い。悪路では満足度が高かったが、舗装路での乗り味や加速性能、実燃費性能については興味津々だ。
デザイン

3

一部改良ではストロングハイブリッドを差別化するにあたって、ストロングハイブリッド専用のe-BOXERオーナメント(エンブレム)をボディの左右とテールゲートに装着。さらに専用デザインの18インチアルミホイール(SUBARU初の5本スポークタイプ)を採用した。グレーカラーの専用ファブリシートを採用しつつ、本革シート(こちらも明るめのグレーカラー)もオプションで用意した。
走行性能

4

4点は試乗した悪路での値。既存のe-BOXERモデルではエンジン頼みで高回転域を多用する場面でも、ストロングハイブリッドはXモードを併用することで低い回転域のまま登り切る。舗装路では停止から60km/hまでのアクセル全開加速を試みたが、常用するエンジン回転域は低めながらe-BOXERよりも2ランク以上、加速度は力強い。新採用となるアイサイトXとのマッチングを含め、いずれ公道で試乗したい。
乗り心地

3

現行のe-BOXER(シングルモーター)に対してストロングハイブリッドは2モーター方式へ。エンジンも2.5L化されて増強された。結果、車両重量は50kg重くなっている。プロトタイプに試乗した限りでいえば、ダンパーとスプリングの設定を引き締め方向に見直したことでシッカリ感が増した。しかし、硬さを意識するほどではなく、より上質な方向へと変更された感が強い。
積載性

3

ストロングハイブリッドシステム化に伴うラゲッジルームの影響はごくわずかだ。現行型のe-BOXERと比較すると、荷室高は▲20mm、荷室開口部の最大幅と後輪左右間のフロア幅は同じ。後席を使用した際の荷室フロア長が▲6mmで、荷室容量が▲32Lの279Lで、床下サブトランク容量が▲3Lの1Lになった。ゴルフバックの積載は▲1個の2個だ。※▲=マイナス
燃費

3

現時点、公道での試乗が行えていないことや、カタログ数値が公表されていないが、1回の給油(燃料タンクは63L)で1000km以上を確保するという。すでに発表されている資料では、e-BOXERのWLTC値である16.4km/Lに対して約20%向上しているというから、単純計算で20.0km/Lの大台にのるかどうか。燃費数値では定評あるTHSなので実用燃費数値は高いと予想。
価格

3

e-BOXERの最上級グレードである「リミテッド」(税抜き313万5000円)に対して、ストロングハイブリッドの「プレミアム」はおよそ35.0万円アップのイメージ。そのプレミアムの上級グレードである「プレミアムEX」は、プレミアムから20.0万円アップのイメージだ。プレミアムがストロングハイブリッド代金で、プレミアムEXは運転支援技術群の「アイサイトX」とフル液晶メーターなどの代金であるとの説明がなされている。いずれにしろ、順当な価格帯だ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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