ポルシェ ボクスター （オープン） 「クルマ道楽の終着点」のユーザーレビュー

クルマ道楽の終着点

2021.2.14

総評

専用オープンシャシーのミッドシップに、超低重心なフラット6を載せるという、贅沢極まりない車が、たった700万ぐらいで手に入るのは、世界中のエンスーにビジネスができるポルシェじゃなきゃ出来ない仕事。
911とフロント周りを共有して、お金はカイエンとマカンに稼がせて作るというウルトラCで生み出されてる末っ子だけど、本当によく出来てる。

満足している点

色々な車に乗ってきて、たどり着いたのは結局ここ。
また乗りたい！と思ったのはボクスターでした。
長年スポーツカーを作り続けるポルシェが生み出すオープンは、車の楽しさに溢れている。
これより何かを望めば、きっと何かを失うはず。
一通りクルマをやり切って、全てを分かりきった人が、この車を調律しているのが、手に取るように分かる。
スポーツカーって、このぐらいが良いよね、を楽しむクルマ。

不満な点

特になし！

…とは言うものの、アウトバーンを重視したギアレシオは日本の峠だとギアが離れすぎなのと、ミッドシップフロントラジエターなのでなかなか暖房が効かないのは仕方ないか…

デザイン

5

3代目の981からは突然イケメン風に路線変更。
遠くから見ればスーパーカーな佇まい。
近づくとちょっと小柄。
開けても閉めてもそこそこカッコイイプロポーション。

走行性能

5

十分な剛性を持つシャシーに、低重心なフラット6。
2.7LのNAで絶対的なパワーはそれほど無いけど、回せば快音を響かせながら、グングン走る。空力がよほど良いのかスピードが乗ってからの方が、速度の上がりが早いような気がするほど。265馬力で最高速が264キロ越えはなかなか。シャシダイ載せても実測255馬力！と、ほぼリッター100馬力がきちっと出てる。
旋回速度は恐ろしく速く、公道ではなかなか試す機会のないパフォーマンスを持ち合わせてる。程よく固められた足回り、昨今にしては軽い車重(1310kg)など、人馬一体感は圧倒的に高い。
走行性能より愉しさを取ったセッティングだけど、攻めても十分に速い上に、ありとあらゆる挙動一つ一つに違和感が全くないのは感動モノ。

強いて、日本国内で楽しむとすれば、もう少しギアレシオが低速よりだと、もっと楽しかったかもしれない。国内の峠だと大体2速で事が足りてしまう。

オプションでスポーツシャシー、PTV(トルクベクタリング＋機械式LSD)、スポーツエグゾーストを追加。こんなオプションがあるのも、ポルシェらしいところ。もちろん、走行性能に関わるものは入れれば入れるほど『速く』なるし、『高く』なる…

乗り心地

4

スポーツシャシーを入れているので、標準サスやPASMより固いものの、それでも十分に許容範囲。
本籍を峠にするならピッタリ。サーキットだとちょっと柔らかい(ロールを許す)けど、ここから固めたら今度はピーキーになるだろうなと言う絶妙な落とし所。

積載性

4

全く期待できない出立ちでありながら、実はフロントの他にリアもトランクがあるのは、フラット6故の曲芸。
形が決まってしまっているモノは、フロントに入らなければ載らず、あとは助手席側に押し込む事以外不可能だけど、形が比較的自由になるなら、トータルの容量はなかなかなモノ。長尺物は屋根開けると言う最終手段もあるにはある。
しかし、フロントトランクとリアトランク共に熱くなるのが玉に瑕。冷たいモノは室内へ。

燃費

5

街中でだと、気持ちよく回してリッター6km〜
高速だと気持ちよく走ってもリッター10kmは軽く叩き出す。うまく走れば13km〜は簡単に出る。
空力の良さと車重の軽さから、比較的高速は燃費が良く、街中はエンジンサウンドを楽しんでしまうため、絶望的。

価格

5

ポルシェのオプション地獄はなかなかなもので、果てしなく深い。ユーザーが欲しいものをそのまま届けてくれるので、仕方ないところはあるけど、それにしても高い。
昨今はだいぶ改善されたけど、この当時は、何もオプション入れないと、ハロゲンライト、ドアミラー手動、マニュアルエアコン、ウインドディフレクター無しなど、軽でもありえない仕様が届く事になるので、必然的に軽自動車1台分ぐらい入れたところで、オプション入れた感じが全くないのは痛いところ。
とは言え、良好な下取り価格を考慮すれば、結果的に安い。

故障経験

無し。
しかしながら、981だとPADMの故障、ダイレクトイグニッションが比較的早期に熱害で壊れる模様。
PADMはスポーツクロノを入れなかったので関係ないが、ダイレクトイグニッションは仕方ない状況。991にはヒートシールドが設定されているので、流用するとちょっとは延命できるかも？