同じフランス車でも、ルノーとプジョーではだいぶ特徴が異なりますか？

Question

車種にも拠るでしょうが、メーカーごとの特徴がありましたらご教示ください。
また、ドイツ車＝精巧、精密といった特長があるとしたら、
フランス車全体のそれをあえて言うとしたら、どのようなものでしょうか？

Answer 1

長文です。

一般的な話として、フランス車は乗り心地が良いと言われます。フランスの道路はローマ時代から続く石畳みの舗装路があり、整備状態が悪いため凸凹していて、そんな道を結構な速度を出して走るために、サスペンションがよく動き、シートの作りが良いと。
基本は実用車、生活の足だと思います。最近、フランス車が日本で少し上向きですが、フランスと日本の道路の速度域が似ていることから、フランス車の良さを味わいやすいと思います。

私は長年シトロエンの小型車に乗り、ルノーもプジョーも、それぞれ数えられるくらいの車種数しか乗ったことが無かったのですが、昨年プジョー208に乗り換えました。
で、ルーテシアとの差が気になるのですが、雑誌などの評論を読むと、ルーテシアの方がサスペンションの設定が硬いようです。旧型ルーテシアは友人が所有しており、かなり硬い足回りでロールさせない設定と感じますが、新型でも同様のようです。
一方プジョー208は、荷重移動を許容する感じでしょうかね。
最近のプジョーは足回りがソフトに猫足の方へ戻りつつあるようで、ルノーの方がスポーツ志向でサスペンションの設定もハード、ドイツ車に近いように思います。

フランス車と言うと、基本は実用車で、過度な高級感とは無縁でした。
デザインは個性的だけど、内装のプラスチックの質感が安っぽい、とか言われたものです。ところが、最近はプジョーもルノーも、内装の質感にこだわり、高級な仕上げを施すようになりました。


フランスの自動車会社のうち、第二次世界大戦後から50年ほど国営企業だったルノーは、社会主義国フランスの指導者階級である公務員のための車、プジョーはフランスの庶民階級である農民のための車、量産メーカもう一社のシトロエンは主流から外れた変わり者・芸術家のための車、と言われていました。
フランスは第二次世界大戦でドイツに蹂躙され、戦後は復興政策として庶民の経済活動の活性化を重視しました。小型で小排気量の車を優遇し、大排気量車には重税を課した結果、戦前にあったフランスの高性能車・高級車メーカは息途絶え、主に量産車メーカ3社が生き残りました。

◯ルノーについて
・自動車の創成期から続くメーカ
・フロントエンジン・リア駆動方式を発明
・20世紀初頭からレースに参加、創業者の兄は1903年にレースで死亡
・FR車の後、大戦後にVWビートルを模倣したRR車、シトロエン2CVに対抗したFF車、リアルスポーツカーのMR車と、あらゆる駆動方式を手がけた。4WDは無いかも
・国営企業だった1970年代にルマン勝利と欧州F-2制覇→F-1挑戦し、ラリーを含め継続してモータースポーツに関わる
・市販車で5ターボ、5ターボII（これらはラリーのホモロゲ用）、スポール・スピダーといったMR車を販売
・現在もニュルブルクリンクの市販車ラップタイムでシビックType-Rとルノー・メガーヌがFF車トップを競う、モータースポーツが好き
・2000年頃はヨーロッパ域内で販売台数が最大のメーカ
・今でも、クリオ（日本名ルーテシア）は、ヨーロッパ域内の販売台数でゴルフ、ポロとトップを争う

ルノーが保有するブランド・アルピーヌは元々は独立したスポーツカー・メーカでしたが、1970年代にルノーの所有するブランドになり、数年前、久しぶりにスポーツカーA110を発売しました。A110は意外にも、日本での売り上げ割合が高いです。今後は、メガーヌやルーテシアのホット・バージョンをアルピーヌ・ブランドにするらしいです。F-1も、今年からはアルピーヌ・ブランドに切り替えるんでしたっけ。
ルノーは日産、三菱とアライアンスを組みますが、他に子会社としてルーマニアのダチア、ロシアのアフトヴァース、韓国のルノーサムスンを持ちます。メルセデス・ベンツとは技術提携があり、エンジンやトゥインゴ／スマートの共同開発をしています。

◯プジョーについて
・ルノーより古く世界最古参の量産自動車メーカの一つ、あとはメルセデスか
・かつては技術的にオーソドックス、FF車を発売したのは1960年代
・ラリー、ラリーレイド、プロトタイプカーなどでチャンピオンを取ったが、モータースポーツに本腰を入れたのは1980年代からと遅め
・市販車のホット・バージョンも、ルノーのようにキレたものは無かったような、唯一、グループBカーのホモロゲを取るために、205T16を市販したくらい
・足回りのこだわりが強く、一時期はダンパーを内製化し、前輪ダブルウィッシュボーン・後輪マルチリンクのDセグメント・セダン407を製造していた。現在の508は、ダンパーは外部調達、前輪はストラットに戻る
・小型車用ディーゼルエンジンでは世界でもトップの技術力・商品力、フォルクスワーゲン等のドイツメーカが起こしたディーゼル不正事件で巻き添えになり、ディーゼル車の販売が陰る
・しばらく前は三菱のRVRやi-MiEVのOEM供給を受けていた
・一時期はBMWとエンジンの共同開発を行い、プジョーのエンジンブロックにBMWのヘッドを載せたものがMINIなどに積まれていた
・トヨタと共同で、チェコで小型車トヨタ・アイゴ／プジョー108／シトロエンC1の生産をしている

プジョーを含むPSAグループは、最近エンジンのダウンサイジング化を進め、CO2排出規制のユーロCAFEでは罰金を払うものの、ハイブリッド車主体のトヨタに次いで排出量が少ないメーカになります。
最近まで、プジョーとシトロエンの2社が持株会社PSAプジョー・シトロエンの下にありましたが、ラグジュアリーブランドのDSを作り、GMからオペル／ボクスホールを買収、FCAフィアット・クライスラーと合併してステランティスに成りました。

質問者からのお礼コメント

詳細なご回答ありがとうございました！
特にプジョーとルノーのメーカーとしての違いは
大変参考になりました。

Answer 2

昔はプジョーは猫足、空飛ぶ絨毯はシトロエン、ルノーは椅子が座り心地が良い、というのを聞いたことがあります。最近は足回りもドイツ車っぽくなってきて、故障も少なくなってきています。オススメは、ルノートゥインゴです。エンジンが後方にあり、最初回転半径が軽自動車並みの4.3mです。