プジョー 308SW （ワゴン） 「個性的で秀逸なデザインながら完成度の高いフランス車」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

個性的で秀逸なデザインながら完成度の高いフランス車

2023.9.4

年式

2022年4月〜モデル

総評

イタフラ系は王道から逸れた「ワザと外した選択」とされることが多いが、近年のプジョーは万人にすすめることが出来るまとまった完成度。それはこの308SWでも同じだ。秀逸なデザインを持ちながら、実用性も兼ね備えていて乗り心地や静粛性などの快適性も高い。台数があまり出ていないため、定番の選択肢になるにはディーラー数などいろいろと課題はあるものの、他のブランドを愛用していたユーザーでも実際に乗ってみるとすんなり受け入れることができるはずだ。

満足している点

優れた乗り心地やディーゼルながら静粛性の高いパワーユニットなど、車内の快適性の満足度も高いが、何よりデザインだろう。全体的にシャープでエッジが効いており、個性的で素直にカッコイイ。インテリアも先進的ながら実用性も意識されており、乗っていて新鮮かつ落ち着く空間となっている。このインテリアが気になる人はぜひ一度座って体感してみてほしい。

不満な点

価格の高さと実質的なグレード選択の少なさだろう。1.5Lディーゼルの上級グレードが実質的な選択肢となるが、Cセグメントであることを考えると、500万円弱という金額は割高感を感じてしまう。クラスを1つ上げて他の選択肢を選ぼうかと考えてしまう値段だ。また、ステーションワゴンではあるが、リアシートの居住性はやや悪め。背の大きな男性であれば窮屈に感じるだろう。

デザイン

5

低く構えたシルエットはロー＆ワイドなスタンスで、第一印象から素直にカッコいいと思える。灯火類もLEDをうまく使用し、印象的でインパクトあるデザインとなっている。フロントマスクの爪をモチーフにしたデイタイムライトが目立つかもしれないが、テールライトも立体的な造形でカッコイイ。また、シャープでエッジの効いたキャラクターラインが入っているなど、各所に個性があふれているのが好印象だ。

走行性能

4

ディーゼルターボエンジンは低回転域からトルクフルで、扱いやすい。また、小径なステアリングに最初は戸惑いを感じる人もいるかもしれないが、ステアフィーリングはセンター付近がしっかりとしていて、5分も走れば慣れるだろう。小径ステアリングだから落ち着きがないという雰囲気は一切感じない。路面に対する追従性が良く、あらゆるシーンで収まりのいい自然なドライブを楽しむことが出来る。

乗り心地

4

全体的に角が取れていて柔らかく、プジョーらしい猫足を感じることが出来る。凝ったサスペンション形式とか、電子制御ダンパーなどが装着されていなくてこの乗り心地を実現できるのは好印象だ。またディーゼルも静粛性に優れ、横に乗っていても気が付かないレベル。ただ、停止直前や発進直後のトランスミッションのギクシャク感は気になる人がいるかもしれない。

積載性

3

サイズ感を考えればこのクラスのステーションワゴンとしては一般的なラゲッジスペース。ヨーロッパ車らしくフック類やネットが用意されているのも使い勝手が良いと感じる部分だ。リアシートが40:20:40に3分割で倒すことが出来るのも嬉しい便利ポイント。

燃費

4

サイズ感を考えれば、マイルドハイブリッドシステムなしでWLTCモード燃費21.6km/L（ディーゼル／ガソリンはハイオク仕様で17.9km/L）という燃費性能は良好だと感じる。実燃費で見ても、ガソリンと軽油の燃料代の差異を考えれば経済的なパワーユニットと言えるだろう。プラグインハイブリッドはカタログ値では上回っているものの、ハイオク指定であることと本体価格を考えるとディーゼルの方が現実的な選択肢だ。

価格

2

先進的な機能やデザインが魅力的ではあるものの、上級グレード主体の販売戦略であることを考えると、約470万円からというのは高いと感じる。Cセグメントワゴンであることを考えると、もう少し金額を抑えた価格設定にしないと取っつきやすさがない。