大事なものを失いつつある?
現在車の買い替えを検討中で、いろいろな車に試乗しています。購入を検討しているのは207GTiなのですが、試乗車がなく207
2007.11.17
- 総評
- 大事なものを失いつつある?
現在車の買い替えを検討中で、いろいろな車に試乗しています。購入を検討しているのは207GTiなのですが、試乗車がなく207GTを試乗しました。
独特の個性と、向上したと言われる信頼性のおかげで世界的大ヒットとなったプジョー206の後継車ですが、206よりは一回り大きいサイズとなり、また内外装なども上級志向を強めています。
率直に言ってこの車は良くも悪くも日本車の乗り味に近く、かつドイツ車の影響も強く感じる車です。それゆえ206までは明らかに存在したプジョーらしさ、フランス車らしさはやや希薄で、なにか大事なものを見失ってきているように感じます。
先のフランス大統領選挙に象徴されるように、独自の文化を持っていたフランスが世界のグローバル化の波の中で揺れ動いていることが、フランスの大衆車であるプジョーにも表れてしまっているのかなあという印象です
以下、詳細を述べていきます。
- 満足している点
- ・安全装備の充実
安全装備の充実は非常に評価できます。サイド&カーテンエアバッグ、ESPなどBセグメントの車としては極めて充実していますし、それらの装備が最上級グレードだけでなくベースグレードまで全車標準装備というのが素晴らしいです。
・日本車的感覚で言う扱いやすさ
操作系に特殊な部分はなく、すぐに馴染めます。おしゃれなイメージに惹かれて日本車から買い換えても、戸惑うことは少ないと思います。
また雨滴感知式ワイパー、オートライト、バックソナー、マルチファンクションディスプレイなど装備も充実しています。
・オーディオの割り切り
1DINサイズの、アフターマーケットのもののようなオーディオが装着されています。確かに後付け感があるのですが、純正オーディオが壊れたときに、気軽に社外品に付け替えられるので、これはこれでよいのではないかと思います。
- 不満な点
- ・2速走行時のもたつき
渋滞中に2速でダラダラ走っている際、前が少し空いたのでアクセルを踏み込んで加速しようとすると、プラグがかぶっているようなかなり強いもたつきがあり非常に気になります。市街地で頻繁に使う速度域で起こるので、街中での運転にはかなり気を遣います。
・ブレーキタッチの悪さ
これはあちこちで言われていることですが、ブレーキのタッチは悪いです。効き自体は悪くないのですが、タッチがグニャッとした感じで気持ち悪いです。マスターシリンダーを運転席側に移設できないのでしょうか。プジョーはイギリスでも売れているはずですから、もう少し右ハンドル車を真剣に作っていただきたいものです。
・ペダル同士の間隔が狭い
これもよく言われることですが、ABCペダルの間隔が狭く、運転には慣れが必要です。ゴツいスニーカーでは運転しない方がよさそうです。
・クラッチペダルのストロークが長過ぎる
調整で解消できるかもしれませんが、試乗車はクラッチペダルのストロークが長く、かつミートポイントが手前で、クラッチをつなぐ際ややギクシャクしてしまいました。踏力は重くはないのですが、タッチに節度感がなくスポーティとは言えません。
・シフトフィールの悪さ
シフトのストロークが長く、またシフトのゲートが不明確でグニャグニャしたフィール、かつシフトレバーまでの距離がやや遠く(手足の長いヨーロッパ人に合わせてある?)上体を少し前にかがめるようにしてシフトしなければなりません。
・フランス車的な味が薄い
総評にも書いたのですが、外観こそ個性的なのですが、乗り味は日本車、内装はドイツ車に近いイメージで、いわゆる「フランス車らしさ」は希薄です。
昔シトロエン2CVやDS、CX、ルノー4を運転したことがあるのですが、それぞれに強烈な個性(個性というよりも思想とか哲学に近いもの)があり、「ああ、これがフランス車なんだ!」と非常に衝撃を受けたものです。
フランス車も昔のようにフランス国内(と旧フランス領各国)だけで売れればよいというのではなく、世界中に売って行きたいがゆえに無国籍的になってきているのでしょうが、一抹の寂しさを感じます。
もっとも、「おしゃれな車に乗りたい」ということで日本車から買い換えられる方などにとっては、敷居が低くなって歓迎すべきことなのかもしれません。
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