日産 エクストレイル 「まるで別人となった先進SUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるで別人となった先進SUV

2022.11.21

年式

2022年7月〜モデル

総評

新世代プラットフォームになり、先代比で約2倍の吸音材や遮音ガラスの採用といった徹底した騒音対策を行ったり、3気筒とは思えない性能を発揮するVCターボエンジンを搭載したり、前後2基の高出力モーターと左右のブレーキの統合制御をうまく使って、雪道や山道だけでなく普段の街中での走りを楽しくする4WD「e-4ORCE」を開発するなど、新型エクストレイルはまさに未来を見据えた全方位型SUVとして進化したと思います。

満足している点

既存のe-POWERモデルでどうしても気になってしまう、「え、ここで？」といういきなりのエンジン始動や、アクセルを踏み込むと急にエンジン音がうるさくなる、といった弱点とも言える点を、すっかり払拭してくれたVCターボエンジン。振動が少なく静かで、なめらかでパワフルと、このエンジンだけでも垂涎ものだという人がいるのも納得です。

不満な点

日産の先進安全運転支援システムとして浸透している「プロパイロット」ですが、この新型エクストレイルでは新たに、ナビリンク機能が追加されています。地図データをもとに、制限速度に応じて設定速度の切り替えやカーブに応じた減速支援などが入るもので、もちろん安全運転のためには必要な機能だと思います。が、調子良く走っている時にはたまにおせっかいに感じる場面も。本当に運転初心者だったり、不慣れな場所を走る時にはいいのかもしれません。

デザイン

4

初代の元気いっぱいでワイルドな雰囲気が好きだった身としては、新型はずいぶんとプレミアム感が増し、都会的になってもはや別のクルマという印象。ただ、テールランプに日本の切子パターンからインスピレーションを得た加工が施されていたり、2階建構造のヘッドランプを採用したり、日産ならではの個性あふれるデザインは魅力的。インテリアのセンスの良さも相変わらずです。

走行性能

5

世界で初めて量産化に成功した可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電用に搭載し、高出力モーターを組み合わせた第2世代のe-POWERの走りは、とにかく出足からすべるような滑らかさと、グイグイ湧き出すような力強さで新次元を実感。SUVらしい無骨さはどこにもなく、制御によってどの操作もまるで自分の運転が上手くなったかのよう。高速道路の安定感にも感心しました。

乗り心地

5

プラットフォームは日産・三菱・ルノーのアライアンスで開発したCMF-C／Dを採用しており、高剛性で足まわりのチューニングも柔軟性がありながらガッチリとした安定感もあります。新しい概念で誕生したe-4ORCEの恩恵もあり、乗り心地はとても上質。静粛性も高く、SUVに乗っていることを忘れてしまうほど。後席の頭上や足もとスペースもゆったりしています。

積載性

5

開口部がガバッと大きく、フラットで奥行きがあります。2列シート車で容量575LというのはこのクラスのSUVとしてかなり立派。ゴルフバッグが横積みで4つ可能なのも納得です。フロア手前の左右に小さなくぼみがあり、そこに細かい荷物が収納できるので整理整頓しやすそう。荷室左側に、1500Wまでのコンセントがあり、アース付きなので電子レンジなどの家電もOKというのがいいですね。

燃費

4

フルハイブリッド車だと20.0km/Lオーバーなので、最高19.7km/Lという数値は少し物足りなく感じるかもしれませんが、この滑らかさとパワフルさに納得して買う人なら十分な燃費だと思います。ECOモードがあり、e-PedaL Stepをオンにすればさらに回生も強くなるので、頭を使ってより効率よく運転することができれば、燃費も向上するというのが面白いクルマです。

価格

4

エントリー価格は319万8800円。外観から受けるプレミアム感を思えば、予想以上にリーズナブルに感じる人も多いと思います。今回の目玉技術となるe-4ORCEのモデルは347万9300円で、もちろん装備は最小限になりますが、SUVとしてアクティブにガンガン走りたいという人であればコスパもいいと感じます。ただ、豪華なインテリアや電動化された快適装備を求めると、450万円オーバーに。