日産 キックス e-POWER 「小さくてもアクティブなSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
4
積載性
5
燃費
4
価格
4

小さくてもアクティブなSUV

2022.7.24

年式
2020年6月〜モデル
総評
小さくても予想以上に荷物が積めるし、最低地上高は170mm確保してあるし(2WD)、アクティブな趣味を持つ人の相棒としてもイケてるコンパクトSUV。モーター走行の旨味は手に入れつつ、これまでと同じようにガソリンで走れるという、いいとこ取りの1台です。
満足している点
SモードとECOモードを選択している時に使える「チャージモード」と「マナーモード」。「EV」と書かれたスイッチを長押しすると、チャージモードになりますが、これはその名の通り、走行中に優先的にエンジンを回して発電をすることができるモード。バッテリーが減ってしまったけど、あとで電気だけで走りたいシーンがある、なんて時に、あらかじめチャージモードにして蓄電しておけます。そしてマナーモードはなるべくエンジンを回さず、電気だけで静かに走行できるモードです。深夜や早朝に出かけたり帰宅する際に、ご近所に迷惑をかけたくない時や、キャンプ場など自然の中で周囲に音を響かせたくない、なんて時に便利。ドライバーの都合に合わせたエネルギーマネジメントができる賢さは大きな魅力です。
不満な点
アクセルペダルのみで加速・減速・停止まで操作できるワンペダル感覚の「e-POWER Drive」。新型ノートでは完全停止できなくなり、減速感もやや穏やかに感じるので、初めての人でも馴染みやすいですが、キックスは丁寧に運転しないと、同乗者が不快に感じることもあるので要注意。いちいちブレーキペダルに踏み換える“ロスタイム”がなくなり、よりキビキビとした運転ができるようになるのはいいのですが、自分だけ楽しまないようにしたいですね。
デザイン

4

最初はちょっとオリエンタルな雰囲気が強めに感じたのですが、よくよく見ると未来的でエッジの効いた、新世代の日産らしいデザインだと感じるようになりました。とくに、ツートーンインテリアエディションはコンパクトSUV随一のインパクト。オレンジのレザーが鮮やかで、テンションが上がるインテリアです。
走行性能

5

1.2Lのコンパクトなエンジンを発電専用に搭載し、そこで作った電気を使って100%モーターで走るe-POWER。そのパワフルさとなめらかな加速フィールにも感心したのですが、タイヤへの駆動力の伝わり方が安定しているので、雪道の発進がとてもいいことにもビックリ。ハンドルから伝わる路面の手応えがしっかりあり、走行モードによってキャラクターが変わるのも面白いところ。エンジンで発電が開始された時も、以前より音が静かになったと感じました。
乗り心地

4

SUVというと、小柄な女性は運転ポジションが合うかどうかが心配なところですが、キックスにはシートの前後&高さ調整や、ハンドルの位置を調節できるチルト&テレスコピックも付いているので、どんな体型でもぴったり。「ゼログラビティシート」と言って、疲れにくさを追求しているというシートも、ふっくらとしたクッションのフィット感が心地よく、座面や背もたれの大きさもゆったりしています。多少の微振動はあるものの、おおむね快適な乗り心地です。
積載性

5

以前、キックスに大人3人乗ってキャンプに行くという企画をやったことがあり、大きなテント、テーブル、イス、コンロ、寝袋といった3人分の道具が荷室にすっぽり積めたことに感心。後席を倒さなくても、レジャーでしっかり使えます。
燃費

4

リーフや先代ノート、セレナe-POWERに搭載されてきたシステムの使い方、長所と短所をしっかり検証して、制御などを仕上げられているのがキックスのe-POWERです。なので、市街地や山道などでも効率よく、燃費も期待できる印象。ただ、高速道路で80km/h以上で走行するとモーター走行では効率が悪くなってしまうと言われ、飛ばし過ぎは燃費悪化のもとです。
価格

4

キックスだけでなくe-POWERはどうしても割高感があるのですが、ツートーンインテリアが装備されるトップグレードなら、出す価値があると思います。個性的だし、プロパイロットも標準装備だし、満足度がかなりアップするはず。ただ、インテリジェントアラウンドビューモニターがパッケージオプションなので、予算は多めにみておいた方がいいでしょう。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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