日産 エルグランド 「日産のフラッグシップミニバンとして牽引」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

日産のフラッグシップミニバンとして牽引

2022.1.17

年式

2010年8月〜モデル

総評

フルサイズのミニバンを定着させた功績は大きかった。また、走行性能においても現行の3代目では大きく進化させ、ストレスのない運転環境を手に入れている。FF化でキャビンも拡大された。ただ、競合車が次々に魅力を高めるなか、小変更では無理が利かなくなってきた。次期型ではe-POWERを搭載して強烈な巻き返しを期待したい。

満足している点

1997年の初代エルグランドは堂々としたボディとゆったりとした乗り味が特徴だったが、3代目では定評あるキャビンをFF化でさらに大型化した。ここが良かった。過去2代のFRモデルで課題だったフロア高も低くなり乗降性能が格段に上がっている。値は張るがVIPグレードの専用装備品はすばらしく、なかでも4人乗りは最高のショーファードリブンだ。

不満な点

小変更を繰り返しながら約12年、販売を継続する。マイナーチェンジでは先進安全技術の標準装備化を進めたが、乗り心地や燃費数値で競合各車に劣ってしまう。それでいて価格も高めであることから、現状では選択する理由が少ない。VIPモデルは存在価値がとても高いが、競合車の同様グレードと比較すると、快適性は少し劣る。

デザイン

3

2010年に登場した現行エルグランド（3代目）。2代目まではベースを後輪駆動方式としていたが、3代目では前輪駆動方式をベースに4WDモデルを揃える。マイナーチェンジモデルではトレードマークの上下2段式のグリルから大型メッシュタイプへと変更し、競合各車に対して対抗する。

走行性能

3

V型6気筒3.5Lと、直列4気筒2.5L、いずれもガソリンエンジンで6速マニュアルモード付CVTを組み合わせる。常時、定員乗車（7／8名）でなければ2.5Lで十分な走行性能。CVTのファイナルギヤ特性から高回転域を常用するものの、静粛性が高いためさほど気にならない。3.5Lはパワフルだが前軸が重めで回頭性能も2.5Lに劣る。

乗り心地

2

本来であれば大型ミニバンらしいおおらかな乗り味を期待したいのだが、操縦安定性に振った特性のため、2列／3列目とも乗り心地にはやや硬さを感じる。路面が悪くなった際には上下動も大きくなるため3列目ではクルマ酔いを誘発しやすい。ただ、静粛性はどの席でも高く、フロアの振動もよく抑えられている。

積載性

4

さすがにボディが大きいことから積載性は優秀だ。3列シートは550mmスライドするためゴルフバックなら6個立てて収納できる。1〜3列目にかけけて人数分＋αのカップホルダーを備え、7人乗りモデルでは2列目のシート間にカップホルダー付シートサイドテーブルも付く。テールゲートは大きいが、電動開閉式のテールゲート機構があり使いやすい。

燃費

2

3.5Lは8.7km/L、2.5Lでも10.0km/L（いずれもFFモデルのWLTC値）と、マイルドハイブリッド方式でもない大型ボディの割には良好だが、現代の基準ではマイナス点。走行性能には満足できるが前世代のパワーユニットであることから仕方がない。次期型ではe-POWERとなるとの噂もあり、環境性能を第1に踏まえるのなら待ったほうがいい。

価格

2

"3,694,900円〜7,890,300円と幅広いが、トップモデルは「VIP」グレードで装備品が異なる。VIPの2列目シートモデル（4人乗り）では飛行機のビジネスクラスのような広々とした空間を味わえる。ただ、現時点でのオススメは2.5Lボトムグレード「250Highway STAR S／7人乗り」の4WD（3,991,900円）だ。"