日産 アリア 「本命視されるe-4ORCEモデルを待ちたいという本音」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
5
走行性能
3
乗り心地
2
積載性
3
燃費
3
価格
3

本命視されるe-4ORCEモデルを待ちたいという本音

2022.12.21

年式
2021年6月〜モデル
総評
日産が勝負に出たというか、先進性を全面に押し出してきた雰囲気を強く感じるクルマ。そして中身もその雰囲気にしっかりと見合っていると感じる。ただ、そんな雰囲気があるだけに、本命とも思えるe-4ORCEモデルの登場を期待してしまいたい。個人的に今アリアの購入を検討しているのであれば、少し待ちたいと思ってしまうところ。
満足している点
日産は早くからリーフでBEVに取り組んでいたこともあって、その知見が生かされていると感じる点が良い。スペックが飛び抜けて優れているという訳ではないものの、完成度としてはBEVの中では高いと思う。また、進んだ運転支援システムが装備できるのも嬉しいポイントだ。BEVというと先進性が高いイメージがあるので、パワーユニット以外にもそのイメージに合った装備が用意されているのは、クルマのキャラクターを考えればぴったりと言える。
不満な点
乗り心地がハードなポイントが気になる点だ。バッテリーで車重が重たくなってしまうBEVだから仕方がないという声もあるかもしれないが、クルマのキャラクターを考えた場合、いささかハード過ぎると感じる。そのほか価格だったり積載性だったりと細かく上げれば色々と気になる点はあるが、どのポイントもBEV特有の問題とも言えるポイントだ。アリアで感じる不満はBEV全体の問題と言えるだろう。
デザイン

5

Vモーショングリルを取り入れながら、全体的に伸びやかなで大柄なシルエットは先進性を全面に押し出した印象となっていて、BEVにふさわしいデザインと感じられる。特にクーペライクなルーフからCピラーにかけてのラインは美しいし、シルバーのモールもこのラインをより際立たせている。サイドの造形もさりげなく色の明暗が出るようになっている他、より大径にタイヤ&ホイールが見えるようなデザイン処理も未来的なイメージを際立たせている。
走行性能

3

BEVとなると低回転からのトルクを際立たせたような尖ったキャラクターのモデルも存在するが、アリアは比較的自然な方向性に仕上げられた印象となっている。アクセル、ブレーキのペダルタッチも比較的自然なものに感じるし、パワステのセッティングも変な癖が無いように思える。ただ、e-4ORCE搭載グレードがまだ投入されていないことを考えると、アリアの本領はこれからといった具合なのではないだろうか? どんなドライブフィールなのか、その投入が非常に待ち遠しい。
乗り心地

2

正直乗り心地はハードな印象だ。BEVの場合、バッテリーで重量が大きくなりどうしてもサスペンションをハードな方向性にせざるを得ないため、仕方がない部分ではある。パフォーマンスを売りにしたBEVならばそれも仕方がないと思えるが、アリアはキャラクターやドライブフィール的には、パフォーマンスを全面にしていないBEVであると感じられる。そう考えると乗り心地はもう少しソフトな方向性に振った方が良いのではないかと思う。もしかするとこの辺りはe-4ORCEとの兼ね合いもあるかもしれないし、e-4ORCE導入時に改良が施されるかもしない。
積載性

3

バッテリーのスペースを確保しなければいけないBEVであるがゆえに、仕方がない部分ではあるものの、積載性はボディサイズを考えると優れているとは言えない。特にラゲッジスペースの高さは低いと感じるし、実際にラゲッジスペースを見てみると上げ底感がすごい。通常に使用する上では実用的なラゲッジスペースではあるものの、広々としたラゲッジスペースが期待できないというポイントはアリアだけでなくBEV全体的な課題の1つとも言えるポイントだ。
燃費

3

航続距離ベースで考えるとWLTCモードで470kmというスペックは、現在増えつつあるSUVのBEVモデルとしては平均的といった印象だ。500kmを超えて600km近くの数値となってくると「おっ、やるじゃん」といった具合。そう考えるとアリアはもう少し航続距離が欲しいところ。この点はライバルたちとこれから伸びていくポイントとも言えるし、今後より大きな容量のバッテリーを搭載したグレードも控えているというので、そちらにも期待したい。
価格

3

乗り出し価格で600万円以内という価格は、最近増えているSUVのBEVモデルのライバルたちと同じくらいといった印象で、上にも下にも飛び抜けてはいない。BEVの値段は利便性を考えると割高観があるのはどのモデルも否めないし、価格が高いのはバッテリーの値段と言ってもいい。一般的なユーザーには勧めることが出来ない価格設定であるのは間違いない。BEVという付加価値を気に入る人でなければ出せない金額だと感じる。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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