マニュアルミッションは切り捨てる?
すでに日本の伝統芸能とも言うべきランサーエボリューションがモデルチェンジし10世代目となりました。
Ⅸまでのスポ
2007.10.5
- 総評
- マニュアルミッションは切り捨てる?
すでに日本の伝統芸能とも言うべきランサーエボリューションがモデルチェンジし10世代目となりました。
Ⅸまでのスポーツ一辺倒から路線変更し、大人が乗れるプレミアムスポーツへの道を歩みだしたように思えます。
今回はあくまでも街中での試乗だったので、この車の持てる本当のポテンシャルをほとんど発揮していないと思いますが、この車は基本的に実用的な4ドアセダンであり、通勤、あるいは家族を乗せたりなどデイリーユースでも使用されることを想定していると思いますので、市街地での取り回しを中心に、感じたことを記していきたいと思います。
- 満足している点
- ・高性能にもかかわらず、高い実用性
先代までのランエボも街中での取り扱いに苦労することはありませんでしたが、Ⅹもその伝統を受け継ぎ、街中で取り扱いが容易な車です。
クラッチがやや重めですが、性能を考えれば十分納得できるレベルです。低速トルクが豊かなエンジンと相まって、渋滞時でも発進や微速での走行に神経質な部分は全く感じられませんでした。
また、1.8mを越える全幅にもかかわらず、狭い道でのすれ違いなどにはあまり気を遣うことはありません。これなら通勤や買い物にも全く問題なく使えると思います。
ただし、これもランエボの伝統ですが、回転半径は大きいです。(5.9m)
(車幅が1,770mm→1,810mm、タイヤ幅が235/45-17→245/40-18とそれぞれ増加しているにもかかわらず最小回転半径は据え置きなので、褒めるべきかもしれませんが…)
・ツインクラッチSST
Ⅹの目玉のツインクラッチSSTは11月下旬発売予定ということで、残念ながら試乗できませんでしたが、昔ながらの3ペダルMTに固執することなく、新しい技術をこのようなトップクラスの高性能車に導入したことは評価できると思います。
・官能性を演出しようとする努力が見られる。
以前エボⅨでちょっと飛ばして走ってみたことがあるのですが、確かにスピードはすごく出るし扱いやすいのですが、エンジンは回っていればいいといわんばかりのフィーリングで抑揚がなく、運転していてまったく面白くないと感じました。
その点エボⅩは官能性を演出しようとする努力が見られます。
一例を挙げると、エンジンを回したときの排気音が、Ⅸまでよりも明らかに気持ちのいい音で、絶対的なスピードを出さなくても、その過程を楽しませる努力をしようとしていると感じました。
- 不満な点
- ・重い車重
Ⅸよりも110kg(GSR)も車重が重くなってしまっていますが、実際、加速開始時に一瞬「よっこらしょ」という感じのタメを感じてしまいます。
(絶対的には素晴らしい加速性能なのですが…)
衝突安全性の向上のため、車重増はある程度やむを得ませんが、軽量化の努力は怠らないようお願いしたいものです。
・内装が地味で安っぽい
ランエボは代々内装が地味ですが、新型もこの伝統(?)を受け継いでいます。
確かにレカロシートが装着されており、レザーコンビネーションインテリアという本皮や人工皮革を用いた内装が設定されてはいますが、レカロだから、革だから、高級だ、スポーティーだ、というのはちょっと違うのではないでしょうか。
ベースのフォルティスとの2倍近い価格差を考えると、もっと差別化を図ってプレミアムスポーツらしさを強調していただきたいと思うのですが…
率直に言って内装のプラスチック部分の質感は、eKワゴンとあまり変わりません。
・5速マニュアルミッション
ツインクラッチSSTではない通常のMTが、なぜか5速のみです。性能上特に問題はないのでしょうが、記号性というかスペックの点では6速よりも見劣りがしてしまいます。
実際に乗った印象では、このミッションは(下ろしたての新車だったせいもありますが)シフトフィールがあまり良くなく、少し渋くガシャガシャした感じです。シビックやインテグラのタイプRなどと比べるとシフトの気持ちよさはかなり劣っていると感じました。
試乗させていただいたディーラーのセールス氏いわく、従来のMTには余り力を入れず、今後はTC-SSTをメインとするそうです。MTは切り捨てられてしまうのでしょうか…
・側方・後方の見切りが悪い
ウエストラインがやや高めのうえ、ウエッジシェイプのデザインのため、特に側方の見切りが悪く、左折の際縁石や低い塀、ガードレールがないか、確認に気を遣います。
これは以前フォルティスに乗ったときにも感じたのですが、フォルティスよりもエボの方がシート座面が低いため、余計に見切りが悪く感じられます。思わずシートの横に手を入れてシートリフターを探してしまいました(笑)。
以上短所を中心にいろいろ書きましたが、正直私はランエボという車が大好きです。日本の誇りであるランエボが、より魅力ある車に進化していただきたく、あえて苦言を呈しました。
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