三菱 eKクロス EV 「日常にちょうどいいEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
3

日常にちょうどいいEV

2022.11.21

年式
2022年5月〜モデル
総評
外観ではEVなのかガソリンモデルなのか、あまり大きな違いが感じられないのですが、その分、乗ってみてからの驚きが大きい1台。軽自動車とは思えないパワフルでなめらかな加速フィールや、しっかりとした接地感と安定感のある上質な乗り味は、街中のチョイ乗りだけではもったいないと思ってしまうほど。後席の乗り心地もよく、ゲストを迎えることの多い人にもピッタリの軽自動車です。
満足している点
近年は災害時への備えを兼ねて電動化車両の購入を検討する人も多いですが、eKクロス EVは軽自動車でも、停電時などに家庭に電力を供給できるV2Hに対応しています。一般家庭1日分程度の電力が使用可能で、アウトドアレジャー、キャンプなどで電気を使いたい人は、V2L機器を通じて電化製品を使うこともできます。自宅にソーラーパネルを設置して、蓄電池代わりに使う人も増えているとのこと。
不満な点
よくeKクロス EVの記事で見るライトグレーのレザー×ファブリックの上質なインテリアは、プレミアムインテリアパッケージという5万5000円のオプション設定。標準装備はブラックのファブリックのみで、ちょっと地味な雰囲気の室内になってしまうので、購入時には要チェックです。
デザイン

3

クロスオーバー軽SUVとして個性的なデザインで一目置かれている、eKクロスの最上級モデルという位置付けのため、デザインはほぼガソリンモデルと変わらず。ですが、よく見るとサイドのキャラクターラインの延長線上に置かれたEVエンブレムと、緻密な新デザインが与えられた15インチアルミホイール(「P」に標準装備)が違うところ。ボディカラーもEV専用色を設定し、見る人が見ればわかる特別感、さりげない自己主張があって、さらりとEVを乗りこなせるデザインです。
走行性能

4

スタートボタンを押すと静かに目覚める、アクセルを踏み込むと同時にスーッとなめらかに動き出し、適度な重厚感をともなってシッカリと余裕のある加速をしていきます。走行モードはエコ、ノーマル、スポーツがあり、それぞれキャラクターの異なる走り。アクセルペダルの操作で減速をコントロールできる「イノベーティブペダルオペレーションモード」も採用され、スポーツはとくに回生を強くして、ワインディングなどでメリハリのある走りも楽しめます。4WDが欲しくなるところですが、12%の坂道まで作動するグリップコントロールもついており、多少の不整地や雪道でも頼もしそうです。
乗り心地

4

サクラと比べるとほんの少し風切り音が大きめだったり、路面によって微振動が伝わりやすいところもあるのですが、ガソリンの軽自動車と比べたら驚くべき上質感。走っているうちにだんだん、軽自動車に乗っていることを感じなくなってくるほどで、後席の足元スペースも広く、快適です。アームレストがあるともっとロングドライブでのリラックス感もアップしそう。
積載性

4

eKクロス EVは2WDで、ガソリンモデルの2WDは荷室容量が174L(床下収納54Lを含む)ですが、eKクロス EVはガソリンモデルの4WDと同等となる、131L(床下収納11Lを含む)となっています。ただ、床上の空間そのものの容量は2WDも4WDも変わらないため、日常の使い勝手は良好。eKクロスはもともと、ガソリンモデルの開発時にEVモデルを想定した作り込みをしていたため、現代の軽自動車として満足度の高い使い勝手を実現することができています。
燃費

4

EVは一般的に、冬場にヒーターを使うことがいちばんバッテリーを消耗すると言われていますが、eKクロス EVはエアコン効率を最大限アップするなど、航続距離と快適性の両立にも気を配っているとのこと。電池の耐久性に関しても、エアコン冷媒を用いた冷却システムを採用して温度上昇を制御することで、電池の劣化を早めると言われている高速走行と急速充電の繰り返しをしたとしても、高い充電量を維持できるようになっているというのも頼もしいところです。
価格

3

ベーシックなGが239万8000円、ハイグレードなPが293万2600円と60万円近い価格差。見た目からして、GはアルミホイールがなかったりライトがLEDにならなかったりと、実用性重視となっています。補助金が多い地域ならガソリンのターボモデルと同じくらいの価格で購入可能になるのでPがおすすめ。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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