ミニ MINI Countryman 「見た目も操縦性も刺激的!」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

一条 孝
一条 孝(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
4
燃費
3
価格
3

見た目も操縦性も刺激的!

2024.8.28

年式
2023年11月〜モデル
総評
ネーミングが変わり、内外装を一新した3代目は相変わらず刺激的なMINIである。なかでもジョンクーパーワークス(JCW)オール4の走りっぷりはゴーカートフィールが健在だ。それでいて快適性も高まり、スライド可能な後席居住空間、ラゲッジルームの積載性も向上している。走行性能についてはSオール4でも十分な速さが期待でき、上質な乗り味が確かめられる。ファミリーユースとしても使える実用性の高さにも進化が見出せる。
満足している点
JCWの走りっぷりは本格スポーツモデルと対等以上に渡り合えるほどのパフォーマンスを確保。スペックでは大差が付くものの、Sオール4でも動力性能にこれと言った不満は感じられない。先代では重めだったパワステが新型では丸くなった。重めに慣れていた先代ユーザーからすると違和感を覚えるかもしれないが、乗り慣れるとこれはこれで悪くない。遊び心あふれる内外装デザイン、円形の有機ELセンターディスプレイ、3本スポークに見えるステアリングホイールもMINIらしくて楽しい。
不満な点
シートは通気性がいまひとつで、特にベスキン(人工皮革)にはエアコンシートを採用してほしい。同価格帯の国産プレミアムクラスの多くはエアコンシートが備わり、夏場は快適なだけにMINIにも早急に対応してもらいたい。
デザイン

5

MINIはもはやブランド名であり、時代に合わせてサイズは大きくなっている。とくにカントリーマンは室内空間の広さを求めるユーザーに向けたMINIで、Cセグメントでも大型の部類に入る。6角形のヘッドライト、8角形のフロントグリルがアイコンとなり、ミニクーパー系と差別化されたフロントマスクを採用する。インテリアも斬新でドライバー正面にメーターはなく、直径240mmの円形センターディスプレイにメーターパネルとしての機能はもちろん、AR(拡張現実)機能を備えたナビゲーションシステム、メディア、エアコン、車両設定などのさまざまな機能が表示される。ディスプレイ下にはエンジンスタート/ストップ、その右側にシフトセレクター、左側にエクスペリエンスのスイッチがあり、アンビエントライトやサウンドなどを好みで選ぶことが可能。全体的にシンプルでありながら、メーター盤面の色合いや数字の書体、指針などのデザインが好みに応じて設定が可能となっている。
走行性能

4

JCWの足まわりは基本的に硬質。ワインディングではゴーカートモードで駆動系、足まわり、ステアリングの特性を細かく調整することでクイックかつ刺激的なゴーカートフィーリングが楽しめる。極太のステアリングホイールには4輪の接地感がしっかりと伝わり、ステアリングの操舵と同時にフロントがスッと向きを変える。ボディサイズが大きくなってもキビキビとした走りは健在だ。エンジンはシビックタイプRに迫るスペックを確保しており、2000〜4500回転で400Nmの最大トルクを発揮するおかげで実用域でも乗りやすい。Sオール4は上質な乗り味が基本ながら、ゴーカートモードを選べば一段と軽快かつスポーティな走りが楽しめる。
乗り心地

4

試乗したJCWは20インチの大径タイヤを装着。タイヤは硬いけれども高いボディ剛性のおかげで突き上げられるような乗り心地にはならない。Sオール4は一段と上質な乗り味が得られ、どちらかと言えばしなやかな乗り心地だ。後席の造りもよく、130mmのスライドとリクライニングも可能。4人乗車でも快適なドライブが楽しめる。
積載性

4

ラゲッジルームはライバルのCセグメントハッチバックよりも大きく、荷室容量は505〜1530Lを確保する。後席シートバックは4:2:4の分割可倒式を採用しており、4人乗車時でも長い荷物の積載が可能だ。フロア下のスペースも大きく、フロアボードを開けた状態で固定することもできる(脱着はできない)。
燃費

3

JCWのWLTCモード燃費は不明ながら、100km/h時のエンジン回転数は1600回転に抑えられているおかげで高速クルーズに徹すれば15km/L前後は期待出来そう。一方のSオール4はWLTCモード燃費13.1km/L。実用域でのトルクが充実しているおかげで乗りやすく、モード燃費に近い数値は期待出来るだろう。
価格

3

JCWは先代から30万円アップの667万円。欲しいオプションを加えると700万円をオーバーしそうだが、JCWのファンにとっては納得感のある設定と言えそうだ。一方のSオール4は566万円。高価だが、プレミアムブランドの小さな高級車を求める層にはリーズナブルな設定か!?
一条 孝
一条 孝
自動車ジャーナリスト
自動車専門誌の編集&ライターとして活動後、自動車ジャーナリストとして専門誌やWeb、タブロイド紙などに寄稿。運転する楽しさを追求するとともに、環境性能やパッケージングにもこだわりを持つ。これまで保有した車の大半はFRレイアウトのマニュアル車。日本自動車ジャーナリスト協会会員
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