絶え間ない努力で守られる「味」
初代NA型を11年乗り続けています。
当然新型には興味があるどころではなく、まだ開発段階のころから注目しており、
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2008.7.8
- 総評
- 絶え間ない努力で守られる「味」
初代NA型を11年乗り続けています。
当然新型には興味があるどころではなく、まだ開発段階のころから注目しており、
ファンミーティングに来訪したマツダの開発陣に何度となく意見を伝えてきました。
夜中3時まで飲みながら激論したこともあります。
私の提案し続けた部分が2箇所ほど実現しており、それを見つけた時はうれしかったです。
19年もの間、細々とではありながらもいまだに新たなファンを掴み、増やし続けているこの車。
従来車種の強化版、いわゆる「GTカー」ではない純なスポーツカーは現在の日本のマーケットから
ほとんど見捨てられたに近い状態にもかかわらず、根強い人気があるのはなぜでしょうか?
いまさらここに書くまでもありませんが、この車が生き残っている理由は単純明快。
「マーケットに振り回されず、ユーザーに媚びず、自分のキャラクターを貫いている」からだと
思います。
そのキャラクターを守るため、一方では新技術を取り入れ、もう一方では従来技術にこだわり、
積み重ねてきたものをブラッシュアップしていく。
何百年も続いている老舗というものは、時代に流されない頑固さとともに、時代を見据えた変化を
しっかり成し遂げるという、一見相反する要素をバランスさせて来たからこそ現代まで愛されて
生き残ってきたわけですが、この車はまさにそれに通じるものがあります。
さて、そんな新型NC型ですが、まだ自分の車とはしていません。
マツダは欧州車のように「モデル末期に近づくほど良い」という伝統?がありますので、それを
狙っているのですが、その前に今のNAがいかれてしまったらそこで買うことになるでしょう(笑)。
周囲の友人には既にオーナーが数名いるので、時々運転させてもらっています。
AT車オーナーしかいないので、AT車についての評価です。
- 満足している点
- ・事実上初めて刷新されたシャーシ、足回りの出来は期待を上回るもの。NA、NBとは格の違いを認めざるを得ない。3世代で同じカーブを同じように曲がっても、新型は本当に「何も起こらずに」スッと曲がってしまう。高速安定性は言うに及ばずの素晴らしい出来で、旧型での緊張は何だったんだと思ってしまうほど。
・足回りのセッティングが前2世代と明確に違う方向に振ってきており、とにかくリアのスタビリティが上がっている。マルチリンク化の功名か。高速安定性の向上もここにあると思われる。ミニサーキットで試したがこの違いは明らかで、そこそこいじってあるNAやNBが、タイヤも含めてフルノーマルのNCにあっさり2秒も離されてしまった。
・ひとつひとつのパーツをグラム単位で削るという執念の軽量化のおかげで、これほどの装備追加にもかかわらず現代の車としては非常に軽い。
・非力だったエンジンも排気量アップによる恩恵でトルクが豊富になり、クルージング時の余裕が増した。ボディの強化と相まって、高速を長時間走っても本当に疲れにくくなった。
・屋根を開けている時の風仕舞いが非常に良くなった。ベルトラインが少し上がったなどの要素はあるにしても、窓全閉、ウインドディフレクター起こし状態であれば100km/hでも巻き込み風がほとんどない。開放感を失わずにこうするのはかなり難しいので、よほどの努力をしたのだろうと思う。
・快適性の向上が著しい。腰周りの冷えに対応する吹出し口と吹出しモードの追加、視界確保のために内側をえぐってあるAピラーなど、細かいながらもよく改良されている点が多い。旧型から乗り換えの人ほどこの恩恵にいろいろと気づくはず。
・いまだに電子制御に頼らない車造りを実践しているところ。言い換えれば、電子制御でごまかすような必要がない基礎の造り込み。それだけ車の基礎にお金と技術が注ぎ込まれているということ。
しかし、何と言っても本当に素晴らしいのは
・旧型から乗り換えても、全く違和感の無い操縦感覚
だと思います。
もちろん不満点もありますが、大幅なスペック変更などで少なからず戸惑う旧型オーナーも、
走らせてみれば「ああそうそう、これこれ」と思わず口にしてしまう変わらないあの感覚。
誤解の無いようにもう一度言いますが、古色蒼然という意味ではありません。ブラッシュアップされた、変わらない感覚なのです。
- 不満な点
- ・この車以外でもそうだが、マツダの電子制御スロットルのセッティングは理解に苦しむ。この車に求められるのは反応の鋭さと共に「従順さ」であるはず。踏んだら踏んだ分だけの反応が欲しいのに、勝手にカットしたり増幅したり…おかげで頻繁にスロットルを開閉するような場面ではギクシャクして乗り辛く、神経を遣う。どうせスイッチで切り替えするぐらい簡単に出来るだろうから、燃費モードとリニアモードの切り替えが出来るような感じにしてもらいたい。この点だけで購入を決めかねていると言ってもいいくらい。
・6ATはシフトチェンジ時のショックが思いのほか大きい。今時油圧式かと一瞬思ってしまったほど。反応の早さは良い。
・車格がほとんど変わってないのに大きすぎるのではないかと思うタイヤ。オプションで18インチまであるあたりは理解に苦しむ。アメリカ市場からの要求と言われたが、そんなことはアフターパーツ屋に任せておけばいいことだと思う。実際、16インチで全く不満を感じない。
・デザイナーは何度も話をしてよく知っている人だけに文句が言いづらいが、インパネのデザインは何を狙っているのかいまいちわからない。おそらく現代の高級スポーツカーのようなところを狙ったのかと思うが、素材にプラスチックしか使っていない時点でそれは無理がある。さりとてスパルタン路線では外観とのギャップが少なからず出てくる…と、車のキャラクターとの兼ね合いも含めて難しいところにあるのは確か。ならば価格が上がってもきちんとお金をかけて見合う素材を使えばいいと思う。最近のマツダはあからさまに内装でコストダウンしていて、見た瞬間にがっかりしてしまう。
・トルクアップ以外は見るべきところの無いエンジン。ちょっと乗用車然とし過ぎている気が…。
・オフセットのきついペダル類。これは正直MTを選ぶのに躊躇してしまうほど。やむを得ない部分ではあるのですが…。
・ボディカラーが少ない、というか暗い色が多くて選ぶ楽しさがない。まだ開発段階の頃、マーケティング担当の人と話した時はカラーオーダープランの導入をかなり真剣に考えているようなことを聞いたのだが、残念ながら実現していない。納期は余計にかかってもよいし、マツダが現行車種で使っている色の範囲でかまわないから、カラーオーダープランはぜひ実現させて欲しい。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験