マツダ ロードスター 「ロードスターはマツダのメートル原器。」のユーザーレビュー

ロードスターはマツダのメートル原器。

2015.9.30

総評

ロードスターとは、マツダのメートル原器であると思う。現行マツダ乗用車のなかで唯一のFRなのだが、この古典的な駆動レイアウトが持つ、所謂（あたしはFRを自然だと思ってない）ナチュラルな走り味をとことん突き詰めたのがロードスターであり、他のマツダFF車群はこのロードスターをメートル原器として走り味を磨いてきたことがよく解る。

そんなマツダ最新の基準は様々な意味でレベルの高いものに仕上がっている。走りもエコも妥協せず、クルマ任せにできてしまう最新の先進安全装備こそ満足のゆくレベルを備えていないながら、人を純粋に走りに集中させることによって安全を確保することをアシストするマツダの思想が貫かれている。

満足している点

微速からよく粘り、かつ回せば回すだけ楽しい1.5Lの自然吸気エンジンと人馬一体そのものと言っていい足回りの組み合わせによって、FRよりFFのほうを好むあたしのようなひねくれ者であってもロードスターはFRがいと感じさせてくれること。

手動式ではあるが、初見でもたった数秒で容易に開閉できる幌の実用性は史上最高の手動式幌と言っていいだろう。これなら質量のかさむ電動化は必要ない。

不満な点

ハイオクガソリンを要求すること。如何にスポーツカー乗りには指定されてなくてもハイオクを入れちゃう人が多いという傾向があろうとも、入門スポーツカーはハイオクを要求しちゃいけない。多分、レギュラーガソリン仕様110ps程度であっても低速からの粘りは実現可能だし、上まできっちり愉しめる仕上がりになったであろうことは同系エンジンを搭載するアクセラ1.5L車の経験から類推できる。

仕様選択の自由度が低い点。SではATを選べないことは兎も角、マツダコネクトを選べないことが強く不満だし、一方でスペシャルパッケージ以上のグレードではLSDやリアスタビライザー、あるいはマツダコネクトのレスオプションを選べない。正直なところ、SのリアスタビライザーもLSDもシャシー補強もない仕様で走り味に満足できるので、あとはマツコネさえつけば…。

先進安全装備の不足は多くの指摘があるところだが、ウィンドウ部にカメラセンサーを設置しにくいロードスターという車種の特性は考慮する必要があろう。

最後に、最近のマツダがソウルレッドを推してることはよく理解しているし、いい色であることも認めているが、ブリティッシュ・レーシング・グリーン、深緑の復活を心から望む。

デザイン

-

走行性能

-

アイドリング+α程度の極低回転からよく粘り、回せばフィーリングもゴキゲンな1.5Lガソリンエンジンは、ハイオクガソリンを要求すること以外非常に満足のゆくものであり、MT初心者であってもこのロードスターなら積極的にMTを選んで運転を愉しめる。

足回りはマツダが初代ユーノス･ロードスター以来25年一貫して拘り続ける「人馬一体」を体現するもので、雑味をまったく感じさせない純米大吟醸酒の味わい。

乗り心地

-

硬すぎず柔らかすぎず、人馬一体を体感させる走り味が乗り心地においても十分に表現され、運転している限り実に快適かつ不安も感じない。
個人的にマツダ車のシートで不快を感じたことがないこともあるが、ロードスターのシートも実に快適。スポーツカーらしくタイト気味だが、この場合はそれがいい。

積載性

-

実用車のラゲージと較べるべくもないが、しかし二人分のスーツケースは十分収容できるレベルのトランクを備えており、かつ小物入れのたぐいも最低限のレベルは満たしているから、ロードスターでデートに出かけることも問題ない。

燃費

-

燃費については今回の試乗で全くチェックをしていないが、1t内外の車体を1.5L自然吸気、しかも微速からよく粘ってくれる優れたエンジンで走らせるロードスターの燃費が悪かろうはずもないだろう。MTでは6速が直結となる低いギアリングとなっているが、ほどよく愉しみながら走らせてもリッター15前後は行けるのであるまいか。

価格

-

故障経験