マツダ CX-60 「SUVらしからぬシャープなハンドリング」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
5
乗り心地
2
積載性
4
燃費
4
価格
4

SUVらしからぬシャープなハンドリング

2023.11.29

年式
2022年9月〜モデル
総評
「運転が楽しいSUV」を選びたければ候補に入れて欲しい1台だ。また、新規アーキテクチャを開発して、直列6気筒エンジン&FRレイアウトという意欲的な挑戦を行ったポイントも興味深い。その意欲的な挑戦はクルマ好きにとって面白い仕上がりにはなっているが、それが一般的に理解できるかといわれると難しい面がある。ファミリーカーとしてSUVを購入する場合、家族の意見も大切になってくると思うが、その点がどう家庭内で判断されるかが難しいモデルかもしれない。
満足している点
SUVピカイチの運転の楽しさが満足できるポイントだ。フロントノーズの入りのシャープさはFRレイアウトならではの仕上がりで、どこかロードスターを思わせる雰囲気もある。それくらい運転していて楽しいステアリングフィールとなっている。またブレーキフィールがかっちりと剛性感があるのも好印象だ。これだけ運転に夢中になれるSUVもあまりないだろう。
不満な点
やはり乗り心地がハードなことだろう。好みの部分があるから一概には言えないし、スポーツカーほどガチガチというわけでもないが、同乗者が乗ることも多いこのクラスであることを考えると、事前に試乗で確かめておきたいポイントだ。自身が満足するならば問題ないが、家族も踏まえたクルマ選びであるならば、家族で確認することをおすすめする。
デザイン

3

新開発のアーキテクチャを採用し「エンジン縦置き&FRベースレイアウト」となったCX-60。基本的なレイアウトが変わったため、これまでのマツダのSUVとは大きく異なるシルエットとなっている。ロングノーズを感じさせるボンネットの主張が、最も変更が表れた部分だ。しかし、これまでのマツダのSUVの変更と比べるとバランスが崩れた印象もある。FRレイアウトを採用しているヨーロッパのSUVもあるので、もう少しグリルの主張を抑えた平面的なデザインにすると、魂動デザインがより生きてくるのでは。
走行性能

5

ハンドリングの気持ちよさという点に関して言えばSUVトップクラスではないだろうか。ターンインをする際のノーズのシャープな印象はSUVであることを忘れるほどで、コーナリングがこれほど楽しいと思うSUVも少ない。直列6気筒のディーゼルエンジンは、低回転からのトルク感もありつつ、滑らかに回る印象でコチラも好印象。SUVでも走りの良さを感じたい人は一度体感してみて欲しい。
乗り心地

2

SUVとは思えないシャープなハンドリングが楽しめるものの、乗り心地に関して言えばこの手のSUVとしてはややハードな印象を受ける。室内の騒音や装備を見れば快適性も十分にあるが、単純に乗り心地だけを見ると価格と内外装の雰囲気的にもう少しコンフォート性が高く、ゆったりとした乗り心地を求める声があってもおかしくない。このあたりは年次改良でどのようになるか期待したいところだ。
積載性

4

ボディサイズを考えるとラゲッジスペースが広いのは当然だが、大きめのボディを見た後にラゲッジスペースを見てみると驚きはなく、「まぁ普通かな」といった印象。ラゲッジスペースの各種装備についても特出した飛び道具はなく、オーソドックスな仕上がりと言える。ただ、リアシートが4:2:4で可倒できるのは利便性の面で魅力的なポイントだ。
燃費

4

グレード構成などを考えると売れ筋となるのは中間のパワーユニットとなる3.3Lディーゼルとマイルドハイブリッドの組み合わせだが、非ハイブリッドの3.3Lディーゼルとの価格差と燃費性能を考えたら、マイルドハイブリッドを選ぶメリットはあまりない。カタログ値で19.8km/Lという燃費性能を実現している素のディーゼルが、価格に対する燃費性能は一番優れていて車重を考えても優秀と言える。
価格

4

サイズ感と新規のアーキテクチャの採用を考えると、満足の出来る3.3Lディーゼルの上位グレードでも約450万円という価格設定はややリーズナブルな印象だ。ただ一般的なニーズに対し、価格に見合ったわかりやすい価値があるかと言われると微妙。クルマ好きならば分かってくれる価値があるが、静粛性や燃費はストロングハイブリッドに劣るし、FRレイアウトに価値を感じる層は少ない。車種のクラス的にもその点をどう評価するかが難しい。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
マツダ CX-60 新型・現行モデル

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