ヒョンデ コナ 「ヒョンデが提案する多様性のあるBEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ヒョンデが提案する多様性のあるBEV

2024.5.28

年式

2023年11月〜モデル

総評

2023年11月より販売を開始したヒョンデのBEV（電気自動車）だ。前輪駆動のみの導入で、ボディタイプは5ドアハッチバック。グレードにより、48.6kWhと64.8kWhの二次バッテリー容量にわかれる。AC／DC充電に対応し、充電一回あたりのWLTC値は456〜625kmを記録する。本国では前衛的なデザインへの評価も高い。

満足している点

扱いやすいボディサイズ（全長4335mm、全幅1825mm、全高1590mm）と、400万円を切った販売価格。国や地域からの補助金を差し引けば300万円台中盤で入手できる。加えて電費性能にも優れている。たとえばボトムグレードのCasualでは最高出力99kWの駆動モーターを持つが、定格出力を33kWに抑えて電費を延ばした。

不満な点

強いて上げるなら日本ではブランド力が弱いところ。試乗してみるとわかるが、乗り味、質感は日本のBEVと遜色なく、むしろポップな色使いは一歩上をゆく。ただ、内外装やスイッチの類いは、見た目こそ優れているが使い勝手の点で独特だ。慣れが必要という言い方が正しいかもしれない。外観はスタイリッシュだが性能としては平凡と評される。

デザイン

4

はっきりとアクが強く、好き嫌いが分かれるデザインだ。ボディ前端部に設けられた切れ長のLEDランプと、左右に配置されたヘッドライト＆ターンランプにより、1825mmの全幅とは思えないほどワイド感が演出されている。ボディ後部も同じデザインテイストでまとめられており、ボディ形状こそいわゆるハッチバックだが、個性が強く市街地でも目立つ。

走行性能

3

試乗したのはLoungeグレード。64.8kWhの二次バッテリーに、150kW／255N・mの駆動モーターを組み合わせ、前輪を駆動する。定格出力は50kW（総電圧358V）なので、市街地を流している分には他のBEV同様に滑らかだが特徴はない。ただ、アクセルペダルを深く踏み込んだ際の加速は力強い。はっきりとした二面性がある。

乗り心地

4

前ストラット式、後マルチリンク式のサスペンションを採用し、235/45R19の大径タイヤを履かせた。車両重量は1790kgと、大容量の二次バッテリー64.8kWhを搭載している割には軽量に仕上げられた。大径タイヤをうまくはきこなしているようで、市街地を流れに合わせて走らせている分には良好な乗り味。後席でも突き上げは少なかった。

積載性

5

評価は絶対的な容量ではなく、使いやすさを主眼とした。6:4の分割可倒式リヤシートを倒すと、フラットなラゲッジフロアが顔を出す。リヤシートのクッションが厚めなのでシート可倒部は傾斜がつくが、それでも左右の張り出しが少なく、またフロアも低い。ボンネット部分には、27Lの収納スペースも設けられた。この使い勝手はとてもいい。

燃費

4

BEVなので電費性能で評価する。Voyageグレードの値は市街地モードで10.16km/kWhと競合を20％程度、上回る。スタイリッシュだがバネ下が重くなる19インチではなく、215/60 R17へのダウングレードが好影響の要因。悪化傾向になる高速道路モード値でも8.01km/kWh。前面投影面積が小さく、空気抵抗係数が低いこともポイント。

価格

4

販売店数が少ない点が気になるが、ボトムグレードのCasualで399万3000円と、補助金などを含まない純粋な価格で400万円を切ってきた。充実装備なので初めてBEVを購入する人にも手が届きやすい。上位のVoyageが452万1000円、最上位のLoungeが489万5000円、トップグレードのLounge Two-toneが489万5000円。