ヒョンデ コナ 「運転しやすく親しみやすいコンパクトSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

運転しやすく親しみやすいコンパクトSUV

2024.2.26

年式

2023年11月〜モデル

総評

アイオニック5よりコンパクトなSUVで、手頃な価格が魅力的。BEVビギナーにもわかりやすい操作性と、ラウンジのような心地よい室内空間を実現しています。余裕たっぷりのパワーと上質な乗り心地で、BEVならではの快適性が楽しめる走りですが、全体的にアイオニック5ほどの奇抜さや驚きは薄まり、幅広いユーザーにフレンドリーなBEVとなっていると思います。

満足している点

コナが進化したポイントの1つに、バッテリーの温度管理技術があります。アイオニック5の時は寒い時に温めるだけでしたが、コナでは冷やす機能も加わり、さらに適切な温度を保ちやすくなっています。ナビで目的地を設定すると、途中や目的地で充電する頃に適温になるよう自動調整。充電が最も効率よくできるようにしてくれるので、さらに無駄な時間消費のないドライブができるようになったところが魅力的です。

不満な点

ステアリングコラムに備わっているシフトセレクターは、指でつまんで手前に回すとD、後ろに回すとR。一般的なクルマのセレクターとは逆なので、最初は間違えそうになる人も多いのではないでしょうか。オーナーとなって慣れれば心配はないと思いますが、何台かのクルマを乗り換える場合や、家族などとシェアして乗る場合には注意が必要かもしれません。

デザイン

4

宇宙船のような、ちょっと奇抜ともいえるデザインのアイオニック5と比べると、ちょっとおとなしく感じるコナのデザイン。ヒョンデならではのピクセルグラフィックが前後バンパーに控えめに配され、サイドにはZ字を描くキャラクターラインが大胆に展開されており、タフさや緻密さを伝えてきますが、ヒョンデらしいモチーフは継承しつつも、街の風景にも馴染みやすく、身近に感じられるデザインだと思います。

走行性能

5

ドライブモードが「ノーマル」「エコ」「スノー」「スポーツ」と4つ用意され、ノーマル以外のセッティングは日本向けのチューニング。エコはよりスローに、スポーツはよりハードになっているということで、きめ細かな作り込みに感心しました。市街地ではまだまだ余裕たっぷりの悠々としたフィーリングで、いわゆるワンペダル風の操作ができる「i-PEDAL」が新しくなり、加減速のコントロールがしやすく感じます。停止までアクセルペダルのみで操作できるので、慣れればストップ＆ゴーの多い市街地での運転がラクになるのも嬉しいところです。

乗り心地

5

安定感が高く、乗り心地もフラットで快適です。速度域が上がっていっても、安定感となめらかさは変わらず、静かさもしっかりと保ってくれます。ディスプレイから「自然の音」を選択すると、鳥のさえずりや暖炉の炎が燃える音など、さまざまなヒーリングサウンドが流れてきて、いつしか心が穏やかに。エンジン音のしないBEVならではのドライブが楽しめます。

積載性

5

ラゲッジは5人乗車時で466Lと大容量を実現。BEVとしてはフロアが低めで、スッキリとしたフラットな形状です。後席が6:4分割で倒せるので、両方を倒すと容量は1300Lまで拡大します。フロントのボンネット内にも27Lの収納スペースがあり、小さなバッグなどを収納することができて使いやすくなっています。

燃費

5

カタログでの電費の数値も良いですが、実際に走ってみても効率の良さは実感できました。普通に走っていれば、バッテリーが予想以上に減ってしまうような場面はなく、ECOモードの制御が優秀。また、回生ブレーキの強さをステアリング左右のパドルシフトで0から3まで4段階に変更できるので、ドライブモードと組み合わせれば多彩なフィーリングと効率のよい回生が賢く使い分けられるようになっています。

価格

5

バッテリー容量が48.6kWhで400万円を切る「casual（カジュアル）」から、バッテリー容量64.8kWhの3グレードが489.5万円までラインアップするという、なかなかに悩ましい選択肢。でも、自治体によって異なる補助金の金額によって、選びやすい価格帯をそろえていると感じます。装備も充実しており、コスパが良い1台といえます。