ホンダ ステップワゴン 「EV感覚のスムーズな走りが得られるe:HEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

EV感覚のスムーズな走りが得られるe:HEV

2022.11.25

年式

2022年5月〜モデル

総評

先代は販売面でライバルに水を開けられていたが、6代目は受注も順調のようだ。同時期にフルモデルチェンジしたノア/ヴォクシーと比べるとデザインに派手さはないものの、クリーンな造形が新鮮でもある。ミニバンとしての実力は互角以上に渡り合えるほど。居住空間にも余裕があり、3列目シートの座り心地もよくなった。ライバルよりも安価な価格設定も大きな魅力となっている。

満足している点

エアーは明るいグレーで内装をコーディネート。スパーダのブラック内装も引き締まっていいが、シンプルで明るい仕上がりがエアーの雰囲気にはまっている。e:HEVのスムーズで力強いモーターフィールあふれる走りも心地よい。ワイドで周囲が見渡せる広い視界もステップワゴンの美点と言える。

不満な点

エアーは言わば標準仕様であり、スパーダとは内外装が異なるモデルだ。個人的に残念なのは本革巻きステアリングが付かないこと。ウレタンタイプのステアリングではせっかくの上質感をスポイルするので、せめてオプション（本来は標準装備が望ましい）で用意してもらいたい。

デザイン

4

初代そして2代目のデザインを現代的にアレンジしたかのような6代目ステップワゴン。水平基調のクリーンかつシンプルな面構成とスクエアな箱型シェイプは好感が持てるもの。ボディサイズは拡大しており、全幅は先代の1695㎜から1750㎜となった。全長もノア/ヴォクシーを上まわる4800㎜と、ミドルクラスミニバンとしては大きさを感じさせるデザインだ。

走行性能

4

発進時はEV走行が主体でスムーズな伸びと力強い加速が印象的。エンジンが始動してもノイズが高まることもなく、とにかくスムーズな加速感だ。新たに設定されたBレンジはアクセルを戻した際の回生が強く、長い下り勾配や積極的に電力回生を行う際に利用する。e:HEVに組み合わされる2リッターエンジンは静粛性にすぐれるが、全体的に静かになった分、ロードノイズや風切り音が目立つこともある。

乗り心地

4

プラットフォームは先代の改良版。ダッシュボードが低く見切りが水平なおかげで視界はワイド。前方視界の広さはリヤシートからもしっかり味わえる。乗り心地は安心感のあるしっかりとした印象。視界の広さやロールを抑えたセッティングは乗り物酔いにも配慮した設定だ。シートは全面ファブリックで厚みを感じさせる座り心地。サードシートも先代に対して厚みを増して座り心地を向上させている。

積載性

5

先代の特徴となっていた「ワクワクゲート」が受け継がれなかったのは残念だが、リヤビューはクリーンでスッキリとしたデザインに。サードシートは先代と同じく6：4分割の床下格納式を採用。跳ね上げ機構と違い、自転車やバイクを積む際に跳ね上げたシートが邪魔にならないのが大きなメリット。格納しない時は大容量の荷物スペースとして使えるが、サードシートを収納する際に荷室フロアや床下に荷物があると一度取り出してから収納しなくてはならない。エアーにはパワーテールゲートは未設定。

燃費

4

エアーe:HEVのWLTCモード燃費は20.0km/Lとノア/ヴォクシーのハイブリッドにリードを許す。実際の試乗でも経済性よりも走りのよさを優先しているような印象も受ける。エンジン排気量やモーター出力も大きく、ノア/ヴォクシーよりも力強い走行フィールが確かめられる。

価格

4

e:HEVエアーはステップワゴンのハイブリッドシリーズではもっともリーズナブルな338万2500円。装備は必要にして十分といったものだが、スパーダに標準のトリプルゾーンコントロールフルオートエアコンやパワーテールゲート、USBチャージャー（全席）、ブラインドスポットインフォメーション、本革巻きステアリングはエアーでも選べるようにしてもらいたい。運転支援機能のホンダセンシングは標準装備だ。