ホンダ レジェンド 「ＳＨ－ＡＷＤ、この独創的で精緻な全輪駆動...」のユーザーレビュー

ＳＨ－ＡＷＤ、この独創的で精緻な全輪駆動...

2006.6.5

総評

ＳＨ－ＡＷＤ、この独創的で精緻な全輪駆動システムが初めて搭載された市販車ということで、車の技術史に残る車である。
　このシステムには二つの顔がある。一つはスポーティーカーとしての潜在力と旋回性能を拡大する積極的技術としてのＳＨ－ＡＷＤ。いまひとつは常用セダンの走行時安定性を大きく高める背景装置としてのＳＨ－ＡＷＤ。
　私が日常的に感じるＳＨ－ＡＷＤの恩恵は前者よりも後者の要素、すなわち悪天候や雪道などの悪条件を含んだ、多様な走行状況の中で発揮される圧倒的なスタビリティにあると思う。実際、これまでに雪道、アイスバーン、暴風雨の悪天候などさまざまな悪条件下での運転を経験したが、車自体の安定性に不安を感じさせられたことが一度もない。雪道のオーバースピードでそれなりにスリップすることも体験したが、これはドライバーの責任であって車の問題ではない。故意に無謀な運転をしない限り、この車の安定度と限界性能は大変高く、さながら難曲を演奏しているときのバックハウスのごとき余裕がある。
　体感速度は、以前に乗っていた某社セダン（２５００ｃｃ）に比べ、実際の速度より２０～３０ｋｍ／ｈ遅く感じる。スピードが出ているのにメーターを見なければわからないのが、強いていえばこの車の欠点である。
　東北道上り線から山形道に抜けるジャンクションで、９０ｋｍ／ｈに設定したオートクルーズのまま減速も何もなく通り抜けてしまったことがあった。同乗の妻にいわれて初めて気がついた。ＳＨ－ＡＷＤが見えないところで黒子のように働いていたに違いない。
　しかしＳＨ－ＡＷＤの真価はむしろ、コーナリング性能の限界を究めるための仕掛けである以上に、日常使用での走行条件変化が及ぼす種々の悪影響を、他のどの方式とも異なったやり方で低減し、類のない潜在的安定性と安心感をもたらしてくれるその働きの方にある。いわば”動的安全性へのゆとり”の方向に広がりをもった新しいコンセプトの具体化といえる。
　運動性能と安全性能の高度な両立を目指した技術屋たちの、夢とロマンがひしひしと伝わってくる仕上がりであり、乗れば乗るほどに運転の楽しさと味わい深さが滲み出てくるタイプの車である。試乗程度でこの車の隠れた値打ちはなかなか解らない。購入時は高い車だと感じていたが、数ヶ月乗ってみて７００万の値付けでもお買い得な車と今は思うようになった。ホン

満足している点

①運転のしやすさ　アクセル開度に応じたなめらかで過不足のないリニアな加速感とブレーキ容量の大きさ。1．８トンにも及ぶ車重とは思えない軽快さと回旋時の自然な感覚。路面状況がハンドルを通じ適度に伝わってきて、どんな悪条件下でも失われることのない常に地に足が張り付いたような安定感。
②疲労度の少なさ　運転することそれ自体が愉しく、これは今までの車にはなかった新体験。そのせいか、数百キロの運転も苦にならず、もっと運転していたい気持ちにさせられる。目的地が近いと、ばかばかしくもわざと遠回りしてしまうことしばしば・・いい年をして遠回り症候群の典型的患者になるとは購入前に想像もできなかった椿事。
③高速燃費の良さ　高速道路１００ｋｍ／ｈ巡航運転ではカタログ燃費を大きく上回る１２ｋｍ／ｌ以上まで楽に伸びてゆく。嬉しい誤算。
④内外装と塗装の良さ　デザインの善し悪しは好みが分かれるだろうが、私的にはこのクラスの車にありがちな押し出しの強さや豪華さ、高級感やらをいたずらに衒わない、さりげなく流れるようなスタイルと質感の高さ、どのような風景の中でも浮き上がることなく周囲にとけ込んでゆく落ちついた雰囲気が気に入っている。セレスティアルシルバー塗装の、光によって微妙に表情を変える粒度の大きな輝きは特にすばらしい。夜間のブルーライトイルミネーションもひかえめで押しつけがましさがなくとても良い。
⑤トラブルの少なさ　納車以来１２０００ｋｍあまり走っているが、これまでのところブレーキ鳴きの問題があっただけで、幸いそれ以外は全くノントラブルで経過。ディーラーの対応も迅速誠意に溢れ、非常に満足している。

不満な点

①過激さに乏しい　そもそもＭＴ設定がない。ゆえに一部のピュアスポーツカーが追求している、現実の制約をとことん突き破る悪夢のような激越さまでを期待するのは無理またはお門違い。レジェンドはたとえＳＨ－ＡＷＤをおごっていても、否、おごっているがゆえに走る楽しさは求めても過激さを求めてはいけないクルマ。
②街乗り燃費のイマイチ　信号待ちや渋滞条件によるが仙台市内の場合で５～８ｋｍ／ｌ程度。チョイ乗りばかりだとそれなりに高くつく。
③気筒休止システムの搭載が見送られたこと　ホンダにはそれなりの技術があり、インスパイアで実現しながらレジェンドで非搭載になったのは残念。ＳＨ－ＡＷＤとのマッチングに技術的な問題があったのだろうか。しかしエコランを推奨する企業姿勢に則り、次回作では是非両立を期待したい。
④ルーフキャリアの設定がない　トランクスルーはあるが小さく、ＳＵＶの使い勝手には及ばない。
⑤ａｕの携帯電話に対応していない　サードパーティの通信カードを購入した。

デザイン

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走行性能

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乗り心地

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積載性

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燃費

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価格

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故障経験