CR-Vにみるブランドしてのホンダ
かつてのホンダのクルマは、“ホンダのびっくり箱”といわれ、その斬新な機能やデザインが持ち上げられた。しかし、グロー
2012.10.12
- 総評
- CR-Vにみるブランドしてのホンダ
かつてのホンダのクルマは、“ホンダのびっくり箱”といわれ、その斬新な機能やデザインが持ち上げられた。しかし、グローバル企業としてのホンダは、いつまでも一点ものモデルに頼っていられない。3代目CR-Vは、シビック系からアコード系(オデッセイ)に基本的なコンポーネンツが変更され、グローバル戦略車としてホンダの埼玉製作所で生産された。自動車産業は、国内ではビラミッド型の社会的分業構造をなすといわれているが、いまや国内外に連なる山脈としての形成過程にある。
自動車産業の成熟化に伴い、もはやある車種がヒットしてマーケットを切り開くことは難しい。専用設計が盛り込まれ、優れたセダンと評された日産プリメーラがそのよく知られた事例である。その後の日産はゴーンさんの招聘を待たなければならなかった。また、世界規模で競争するためには、専用設計の車種にヒットを託すより、トヨタの初代ヴィッツ、ホンダフィットの前身ロゴでみられたように、開発リードタイムの短縮、基本コンポーネンツの共有化はもとより、さらに現代では世界のそれぞれの地域に合わせたモデルの同時展開(開発―生産―販売)をはかる必要がある。
月産1,000台の優れた自動車を開発するのと、月産20,000台のそれとは全く世界が違う。企業の持続的成長を考えるとき、専用設計で優れた車種を1モデル開発するより、世界のマーケットに合わせて生産規模を拡充する方が難しい。生産設備を並べそのスイッチを押すだけでは自動車は生産できない。グローバル企業の問題意識は、開発―生産―販売をどこまで世界戦略として統合的に展開できるかどうかということである。
したがって、ブランドと言い換えてもよいが、総合的にCR-Vの品質は優れているといえる。(以下に続く)
- 満足している点
- 実は、ホンダが海外生産を展開する際、瞬く間に部品の現地調達率を90%にまであげることが知られている。他方、埼玉製作所で組みつけられた部品にも海外製(アジア)が随所にみられる。しかし、かつての下位メーカーのように安く買ってきてコストを下げているだけではない。品質向上が高い次元でなされている。開発―生産の見直しや作り込みは、統合的な技術戦略として地味ではあるがその時々の車種にもみてとれる。たとえば、サイドシルの作り方は初代フィット以降全車種で大きく変更された。また、先代アコード(同オデッセイ)で5ATの生産技術が強化されている。等々・・・。
VTECエンジン、また優れたパッケージングなどのようにカタログには書かれていないが、3代目CR-Vはそうしたホンダの“技術の足腰”が集約されている。翻って、こうした自動車生産の立ち姿が信頼のおけるブランドとしてのホンダの優位性を物語る。そして、それが間違いのないクルマ選びだと私は考える。
3代目と4代目は、基本コンポーネンツがほぼ同じである。大きな違いは、エクステリアデザイン、後席・荷室のしつらえに過ぎない。いずれにしても都市部でAWDに乗りたい人向けである。ドライブバイワイヤ及び横滑り防止装置の標準装備、5ATもスムーズで、独自の4輪駆動システムも2代目より反応が早く力強い。私は積雪寒冷の札幌でこのクルマを所有し通算5万キロ乗りましたが、四季、天候を問わず気持ちよくドライブできることを申し添えたい。
- 不満な点
- ただし、生産規模の都合からホンダのグレード展開は下手である。カタログと実車でよく確認しながら、“当たり”のグレードを探すことが良い買い物をするコツである。メーカーオプションのナビ、レザーシートを選択必須とすると他のメーカーに比べてZXは安い。またMCで改良されたが、前期モデルはキャビンに入ってくる雑音が抑え込まれておらず、感応的に上質とは言い難い。上級タイヤに履き替えるのも手である。しかし、だからといって他では新車価格300万円では買えない。
欲を言えば、欧州向けディーゼルに乗りたかった。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験