BMW 4シリーズ クーペ 「見どころは顔つきだけじゃない」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

見どころは顔つきだけじゃない

2021.9.30

年式

2020年10月〜モデル

総評

美しいスタイリング、走りの愉しさ、そして実用性能バランスが素晴らしくよい。後席居住性も悪くないし、リアルスポーツカーと違って荷物もしっかり積めるのがいい。美しさに魅力を感じつつさらに高い実用性も欲しい人は、4ドアのグランクーペを選ぶのもアリだ。3シリーズより低くてワイドで、純粋にカッコいい。

満足している点

美しいデザインと、どこまでも走りたくなる運転の愉しさ。とくに6気筒エンジン搭載車のエモーショナル性能は素晴らしく、「M440i」は最上級の「M4」に比べると控えめとはいえ、運転がこんなに楽しいのかと再認識させられる。流麗なスタイルの割に後席は実用的で、時々使うくらいなら十分に事足りる。

不満な点

後席も実用的なスペースを備えるパッケージングだが、いっぽうでウィークポイントは2ドアだと乗り降りがしにくいこと（これは4シリーズに限った話ではないが）。運転の愉しさは文句なしだが、あまりの気持ちよさにアクセルを踏み込みすぎないように注意が必要。

デザイン

4

「4シリーズ」は、Dセグメントセダンである「3シリーズ」のクーペバージョン。「クーペ」ではドアが2枚に減るのと引き換えに手に入れた美しいシルエットが自慢だ。いっぽうで「グランクーペ」というモデルもあり、そちらは4ドアのまま美しいスタイルを実現。大きなグリルばかりが注目されるが、美しいプロポーションが最大のポイントだ。

走行性能

4

どのバリエーションを選んでもハンドリングは素晴らしい。動力性能的には4気筒エンジンでも十分だが、パワートレインからドライビングプレジャーを味わいたいのであれば6気筒エンジンに手を伸ばしたい。滑らかな回転と高回転の盛り上がり＆パンチ力には4気筒とは次元の異なる爽快感がある。

乗り心地

3

スポーツクーペながら極端な乗り心地の悪さなどはなく、快適に移動できる。6気筒モデルには電子制御サスペンションが組み込まれ、走行モードを「スポーツ」などにするとハンドリングのシャープさが増すのと引き換えに乗り心地は悪化するが、「コンフォート」にすると日常生活でも不快さがない水準へと瞬時に切り替わる2面性を持つ。

積載性

4

実用セダンの3シリーズと基本設計を共用するだけあって、トランクも十分な広さ。容量的には440Lと3シリーズセダンの480Lに比べると1割弱狭いが、スポーツクーペとしては十分すぎるほどの大容量。それでも収まらないとなれば、後席を倒すことで奥行きを拡大できるから実用的だ。リヤシートは左右6:4分割式。

燃費

3

4気筒エンジン車のWLTCモード燃費値は13.4km/Lと純粋なガソリン車としては良好で、あまり回転を上げなくてもしっかり走れるエンジンのおかげで、実燃費も一昔前のBMWからは想像できないほど良好だ。6気筒エンジンの値は12.4km/Lで、さすがに実燃費はそこまで伸びないものの、3.0Lという排気量、そして387psという最高出力を考えれば上出来。

価格

2

ターボ付きとはいえ排気量2Lの4気筒エンジンで584万円からという値段は身近とは言いにくい。美しいプレミアムクーペを買う、という強い心意気がないと選びにくいかもしれない。6気筒エンジン搭載モデルは1000万円を超えるが、こちらはサーキット走行にも対応する超高性能なスポーツカーと考えれば、ある意味納得できる。