試乗車などで実際に駐車して確認するのが安心
昭和の、それもバブル期以前に設計・作られた家では車庫が小型車サイズ(5ナンバーサイズ)を基準としていることも珍しくなかった。そうでなくても、日本車のボディサイズは大きくなっていて、Cセグメント級であれば全幅が1700mmを超えた3ナンバーサイズとなっているクルマが増えている。
【今さら聞けない】カタログにある「ブレンボ」や「ビルシュタイン」って何?
そうした登録車におけるボディサイズの成長が、規格によってコンパクトボディを守っている軽自動車へのニーズを生み出しているという面もあるだろう。それはさておき、仮に5ナンバーのクルマにピッタリサイズで作られた駐車場であれば、カタログで全長4.7m・全幅1.7m・全高2.0m未満のクルマを選べば問題なく収まると思うだろう。
しかし、そうとは限らない。まず昭和58年(1983年)3月以前の国産車にはドアミラーが認められていなかった。つまり、ミラーtoミラー(左右ドアミラーの距離)は現在のドアミラー車より圧倒的に狭かったのだ。そもそも、国産車のカタログにはミラーtoミラーの数値は載っていない。同じ全幅のドアミラーのクルマを比べても、ミラーtoミラーの数値が同じとは限らない。
実際、5ナンバーサイズのミニバンを比べてもミラーtoミラーのスペックは何cmも異なっていたりする。その逆に、ボディサイズが変わっていてもミラーtoミラーの数値が同じモデルもある。ミラーを開いた状態での全幅が影響するような駐車場レイアウトでは、カタログ値だけでは使い勝手の良し悪しは判断できない。
もっとも、そこまでギリギリだとドアを開くスペースもなく乗り降りが困難だろうから、やはり軽自動車のような圧倒的にコンパクトなクルマを選ぶことになるだろう。それ以外にも注意すべき、記載されていないスペックはある。たとえばパレット式の駐車場では全幅の制限内に収まっていることは絶対条件だが、左右のタイヤの距離というのも無視できない。
ここで問題になるのはカタログスペックのトレッド値ではない。トレッド値というのはタイヤの中心間距離だが、駐車パレットに乗るかどうかで問題になるのは左右タイヤのアウトサイド間の距離。同じトレッド値でもタイヤ幅が異なれば、この数値は異なってくる。
たとえば195幅のタイヤであれば楽に収まっていたのに、225幅になるとパレットのギリギリになってしまうということもあり得るのだ。トレッド値にタイヤ幅ぶんをプラスすればアウトサイドの距離が概算できるので、パレットのサイズが気になる駐車場であれば、クルマ選びの際に気を付けるようにしておきたい。
また、居住スペースを拡大するために、同じ車種であってもフルモデルチェンジを機にホイールベースを長くする傾向にある。フロントタイヤの切れ角を増やすことなどにより最小回転半径は同程度に抑えることはできるが、タイトな駐車場のアプローチなどでは内輪差によって駐車のしづらさが変わってくるケースもあるだろう。とくにセダンからミニバンに乗り換える際などは全長が短くなっていてホイールベースが伸びていることもあるので気を付けたい。
いずれにしても、実際にクルマを買い替える際には、可能であれば実際に使う駐車スペースに停めてみて確認したいものだ。いくら寸法上は収まるからといって、日々の駐車がしづらいのはストレスになってしまうだろうから。
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