2012年に「RX-8」が生産終了して以降、多くのファンが復活を待ち望んでいる、マツダのロータリーエンジン。マツダは、以前からロータリーを発電エンジンとして使うレンジエクステンダーの開発を発表しており、その登場を待ち望んでいる方も多いことでしょう。
軽量コンパクトであることから、発電用に向いている、とされているロータリーエンジン。ロータリーエンジンとレンジエクステンダーの特徴を整理し、マツダの電動化戦略の中でどのように活用されるのか、考察してみました。
なぜe-POWER型!? ロッキー&ライズの新HVで軽自動車の電動化が加速する決定的理由
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:MAZDA、BMW、ベストカー編集部 イラスト:著者作成
[gallink]
マツダが世界で初めて本格的な量産化に成功した、ロータリーエンジン
1959年にドイツのNSU社が世界で初めて開発に成功した、ロータリーエンジン。一般的なレシプロ(ピストン往復)エンジンとは異なる、画期的なエンジンとして世界中から大きな注目を浴びました。
一般的なレシプロエンジンが、シリンダー内をピストンが2往復(エンジンが2回転)する間に、吸気、圧縮、燃焼、排気行程の4行程を行うのに対し、ロータリーエンジンは、三角おむすび型のローターがトロイド曲線を持つ繭(まゆ)型のハウジング内部を回転。
回転とともに、ローターとハウジングで形成される燃焼室が移動しながら、吸気、圧縮、燃焼、排気行程の4行程を繰り返します。
ローター1回転で、レシプロエンジンのクランクシャフトに相当するエキセントリックシャフトが3回転するので、吸気、圧縮、燃焼、排気行程の4行程はエンジンで3回転(4ストロークエンジンでは2回転)に相当します。ローターは3辺(3つの燃焼室)あるので、結果として燃焼行程は1回転で1回発生します。2回転に1回の燃焼行程のレシプロエンジンに対して、トルクは理論上2倍となります。
ロータリーエンジンのメリットとデメリットを簡単に整理しました。
ロータリーエンジンのメリット
・高出力、高トルクが得やすい
・ピストンや動弁系(吸排気弁など)が不要なため軽量コンパクト
・ピストンの往復運動がなく、モーターのように直接回転運動として出力が取り出せるので回転がスムーズで騒音振動に優れる
ロータリーエンジンのデメリット
・吸排気弁がないため、吸排気効率(排ガス、燃費)が悪い
・表面積の大きい特殊な燃焼室形状なので熱損失が大きく熱効率(燃費)が悪い
・混合気のシール面積が大きいいのでオイル消費が多い
ロータリーエンジンの本格的な量産化に、世界で初めて成功したのがマツダです。1967年に「コスモスポーツ」に搭載して以降、多くのスポーツモデルで採用。しかし、環境問題がクローズアップされるようになった2000年以降は、燃費の悪さがネックとなり、2003年発売の「RX-8」を最後に市場から消えてしまいます。
ロータリーエンジンは、ピストンの往復運動がなく、モーターのように直接回転運動として出力を取り出せるのが特徴(イラスト:著者作成)
そもそも「レンジエクステンダー」とは!?
レンジエクステンダーとは、バッテリーEVの航続距離の延長を目的に、バッテリーEVに小型の発電機用エンジンを搭載したシステムのこと。バッテリー容量が少なくなったら、小型エンジンで発電してバッテリーを充電、その電気エネルギーでモーター走行します。
ロータリーエンジンは、軽量コンパクトで静かであることから、このレンジエクステンダーの発電用エンジンに向いているのです。
2013年に発売されたレンジエクステンダーBMW「i3」。EVの航続距離は約200km、発電用に0.65Lの2気筒エンジンを搭載したレンジエクステンダーモデルの航続距離は約300km
プラグインハイブリッドもバッテリーEVの航続距離の延長を目的にエンジンを搭載していますが、こちらは、バッテリーの容量が少なくなると、エンジンで走行します(発電も可能)。基本的にはモーター走行ですが、エンジンでも走行でき、両者を組み合わせたハイブリッド走行もできます。
そのため、一般的な出力のエンジンと大容量のバッテリーが必要で、制御も複雑です。
日産「e-POWER」やホンダe:HEVなどのシリーズハイブリッドも類似のシステムですが、こちらは、運転条件や電池残量に応じてエンジンを起動させて電池を充電し、その電気エネルギーを作ってモーター走行します。外部充電機能の代わりにエンジンで発電するので、燃料さえあれば電池切れになることはなく、航続距離に対する不安がないのが特徴です。
レンジエクステンダーは、搭載エンジンが小型でよいが、その分メリットも小さい(イラスト:著者作成)
いまとなっては役割が不明確、あるとしてもスポット投入では
2021年6月にマツダが発表した「中期技術・商品方針2021」の電動化計画によると、5種類のハイブリッド車 、5種類のプラグインハイブリッド車、3種類のバッテリーEVを、日本、欧州、米国、中国などに2022年から2025年にかけて投入するとしていますが、ロータリー搭載のレンジエクステンダーというキーワードは使われていません。
中期計画で明確にしていないために、さまざまな憶測を呼んでいますが、中期計画で示している間にレンジエクステンダーの投入があるとしたら、レンジエクステンダーが5車種のプラグインハイブリッド車の中に含まれるということになります。しかし、筆者は、レンジエクステンダーの投入について、やや懐疑的な見解を持っています。
バッテリー性能が向上し、航続距離400km以上のバッテリーEVが投入される中で、バッテリーEVに緊急用エンジンを搭載することのメリットは小さいのではないでしょうか。
例え、航続距離が256kmと比較的短い「MX-30」をレンジエクステンダー化したとしても、定期的に充電すれば緊急用エンジンが起動することはほとんどなく、使わないのに無駄にエンジンという重い荷物を積んで走行することになってしまいます。
航続距離が200km以下と短かった時には、レンジエクステンダーの役割はあったとしても、電池性能が改良されつつある今、その存在意義は小さいのではないでしょうか。エンジンを搭載するくらいなら、バッテリーを搭載したらと思ってしまいます。
したがって、この10年ぐらい発表されてきたロータリーエンジンのレンジエクステンダーの出現の可能性は低いと考えます。ただし、マツダはレンジエクステンダーの開発は行っていると明言しているので、あるとしても主役ではなく、スポット的な投入ではないでしょうか。
◆ ◆ ◆
マツダの電動化戦略によると、2022年~2025年の間にロータリーエンジンが復活しそうです。ロータリーエンジンには、メリットがある一方でデメリットもあるので、どのように活用してくるのか、楽しみです。
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みんなのコメント
当時の記憶では、マツダの考えはREXではなくてe-POWERだった。 常時連続運転をさせると言っていた。
エンジン特性からすると、多少多めにバッテリーを搭載して、発電量が少ない発電機用エンジンを常時回して常に充電させる方式だったと記憶している。
それなら定速低負荷だからロータリーエンジンの特性上おいしい回転域だけを使うのだなと理解した。
アウトランダーPHEVはREXとして使うことが多いが、600万以下で収まったのは、REX仕様だから、最大航続距離をバッテリーで全てまかなえば1000万級になるだろう。
現状はREXかe-POWERが正解だろう。
当時マツダはロータリーエンジン発電機パックを外販もすると言っていた。トヨタに実質的に傘下になってそれは消えたかも。
まあそこだよな。
エンジンだけで走行できるわけじゃなく、充電して航続距離を延ばすのにわざわざエンジンいるか?って話。
なんとなくこれも発想が一周遅れになってる気がするな。