フランスでは6月にも新型が登場する予定のルノー「カングー」。その新型もスペースワゴンらしい機能性を持つなど、大いに注目されるところだが、カングーは歴代に渡って日本のユーザーにも親しまれてきたフランス車。
毎年多くのユーザーが集まるイベントが開催されるなど、ファンがとても多いことも特徴だ。しかし、なぜカングーはこんなに日本で愛されているのか?
実質的な輸入車ナンバーワン!! ベンツAクラスが売れている理由は?
ルノーカングーの魅力について、モータージャーナリストの島崎七生人氏は次のように考えているという。
文/島崎七生人 写真/Renault
【画像ギャラリー】Salut! フランスからやってきたキュートな実用車ルノー カングーを見る
■カングーのイベントで5000人が集まるほどの人気フランス車
日本全国からカングーが一堂に会して行われる『ルノーカングージャンボリー』の様子。昨年は中止、今年は延期で秋以降開催予定だが、このイベントの規模でも日本でのカングー人気がわかる
毎年5月、日本全国からカングーが一堂に会して行われる“ルノーカングージャンボリー”。残念ながらコロナ禍の影響で昨年はリアルではなくオンライン開催になり、今年も現在のところ、秋以降の延期が発表されている。
同ミーティングは2009年から始まったものだが、年々盛り上がりをみせ、2019年の山中湖での開催時には、何とカングー1714台(それ以外の車種を加えた総来場台数は2422台)、5000人超の来場者と、過去最高を記録。規模も人気も“世界一のカングーのイベント”と言われる。
マルシェあり、ミニコンサートありと、普通のクルマのイベントとはひと味もふた味も違うカジュアルでアットホームなムードは独特なもので、それだけに、オーナーの方々がまた笑顔で集まれる日がくることを願うばかりだ。
ところでそんなジャンボリーが象徴しているとおり、カングーはとにかく日本でも高い人気をもつ。本国では新型が登場していることもあり「現行モデルの国内の在庫はもうほとんどない状態かもしれない」(とある関係者の話)というほどらしい。
ではなぜそれほど広く愛されている存在なのか? それはとりもなおさず国産、輸入車をひっくるめて唯一無二の存在だからにほかならない。
■歴史やスペックはいらない、ただ感じればいい
カングーのご先祖ともいえるルノー エクスプレス。古くは……というような小難しいことは今回はやめておこう。カングーを愛する人たちには歴史やスペックはオマケ的な要素にすぎない
もともとカングーには“エクスプレス”なる先代があり、それは“フルゴネット”と呼ばれる乗用車に箱形の荷室を繋いでできた商用車の一形式で……と、通常ならクルマ好きの方にご納得いただけるように、そんな風に書き始めるところだ。
が、今回は編集部より“なぜカングーのファンは多く、日本で愛されているのか解明せよ”とのオーダーなので、ここは眉間にシワを寄せた自動車評論家風情ではなく、いちクルマ好き、いちカングー・ファンの立場になって考えてみることにした。
まずきわめてシンプルに、カングーのどこがいいのか? を、キーワード、キーフレーズにして考えてみた。
ランダムに挙げてみると、イエロー(=ハッピー)、カワイイ、シンプル、オシャレ、さっぱりしている、絵になる、とても実用的、乗っていて気持ちを豊かにしてくれる、フランス車っぽい合理性を感じる……。
まだまだある。ドゥン! と閉まるスライドドアが頼もしい感じ、日本車にはないダブルバックドアが便利、ものすごく実用的、トリコロールのドアミラーカバーを見かけたけどかわいかった……、といったところが思い浮かぶ。
おわかりだと思うが、決してトルク配分がどうのこうの……、といった話ではなく、まったく別次元の、たとえ奥様やお子様が相手でも通じる、誰にでも等身大の“要素”ばかりだと思う。
■パンの味やコーヒーの香りのように、感覚で楽しむクルマ
非日常にロマンを求めるタイプのクルマではなく、日常に溶け込みつつ、日々に少しだけ彩りを与えてくれるタイプのクルマだ
ついでながら、もしも筆者がカングーを買いたいと思ったら、家内には「『PAUL』は小麦や生地をフランスから直輸入して作っているんだって? だからあそこのクロワッサンはあんなに美味しいんだね。カングーって、まさにそういうクルマなんだ」とサラッと説明しながら了解をとりつけるのかもしれない。
カングーは、デロンギのエスプレッソマシンやダイソンの掃除機と同列の、ほかとは違うデザインや使い心地のよさを楽しみながら使う身近な道具(クルマ)だからだ。
一応、自動車雑誌のスタンスでも書いておけば、フルゴネットがルーツのクルマだけに、実用性の高さは申し分なく、特にボディが初代よりサイズアップした現行型ではゆとりが一層増した。
左/右=850/600mmと非対称サイズのダブルバックドアを開けた際の開口部は天地1100mm、幅1170mmと大きく、床面の高さは590mmと低いから、理屈抜きで使い勝手がいい。室内側も天井が高くゆったりしており、頭上(や床下)の物入れも実用的だ。
もちろんルノーらしいホッコリとした乗り心地、長距離ドライブでも疲れないシートや高速走行時の安定性などは、フランス車ならでは。走行中は決して静粛性が高い訳ではないが、それとて自動車が走っている感を伝える、自然で決して耳障りとは感じないエンジン音でありロードノイズだ。
要はヨーロッパの小型車らしくクルマ自体の実力にかけても申し分のないレベルの高さなのである。
■感覚的でありながら同時に実用的なプロユース感も魅力
フランスでは6月にも発売が開始される新型カングー。歴代カングー同様に愛されるクルマとなるだろうか
それと少し前にも書いたことがあったが、プロユースの道具感は、カングーならではの世界観だ。初代と現行モデルを較べると、室内がほとんどボディ色剥き出しだった初代に対し、現行モデルはピラー部分も樹脂トリムが施され、初代に較べかなり普通の乗用車風にはなった。
それでも日本のミニバンのように至れり尽くせり、ありとあらゆる装備が奢られているわけではない。が、もしも何か必要なら使いながらユーザー自身の創意工夫で対処していけばよく、そういう楽しみ、余地があるのがカングーの魅力だ。
買い物でいえば、デパートや洒落たブランドショップをシャナリシャナリと見て楽しむというよりも、倉庫のような店内を歩きながら欲しいものを見つけては大型カートにガシガシと放り込んでいくコストコ流といったところ。
自分の生活スタイルに合わせて、どんな使い方にも応じてくれるのがカングーのよさだ。
ちなみにルノーのデータによれば、現行モデルのボディカラーで1番人気は“ジョンアグリュム”と呼ぶ黄色とのこと。
初代でも“レモンイエロー”が人気色で、日本仕様で本国でドロップ後も特別に用意されたほどだったが、このこともハッピーなカーライフを楽しみたい……、そう考えるオーナーの気持ちの表れなのかもしれない。
またそう思わせてくれるカングーには、やはりただの実用車にはないキャッチーな魅力が備わっているということだろう。キャラの立った輸入車ならほかにもミニ、VWビートル、フィアット500などがある。
けれどカングーは、ファッションアイテムの範疇に留まらず、手ごろなボディサイズながら、普段使いはもちろん、アウトドアレジャーにもスポーツにもフル活用できる実用車であるところが大きなアドバンテージという訳だ。
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みんなのコメント
先進デバイスもついていないし、内装のデザインも素材も安っぽいのだけど、そのおかげで何の気も遣わず、道具として使い倒すことができる。最高です。
燃費もいいです。