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プジョーの思い描く未来 ステランティス・グループ日本販売1/4を占める同社の展望

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プジョーの思い描く未来 ステランティス・グループ日本販売1/4を占める同社の展望

プジョーの未来を同社社長に聞く

世界選手権のパドックだけに、WEC(世界耐久選手権)富士6時間は多士済済。フランス本国より3年前にプジョー本社社長に就任したリンダ・ジャクソンが来日し、ステランティス・グループにおける同社の現状をプレス向けに説明した。前職はシトロエン本社の社長だった彼女はコロナ禍以降、プジョー・スポールのレースの機会ある度に世界各地を飛び回っており、富士スピードウェイに足を運ぶのは初となる。

【画像】プジョーの思い描く未来 WEC(世界耐久選手権)富士6時間の様子を見る 全120枚

まずプジョーが現在、重要視する価値観のポイントとは3つ。分けても最重要キーワードとなるのが「アリュール(Allure)」で、力強くエキサイティングな内外装のデザインに要約されるという。今「フランス語のアリュール」とは何ぞやを、世界各国の市場で訳出しつつ、事ある毎にそのニュアンスを補っているという。

確かにフランス語のそれは、同じ綴りでも英語の「アリュア」オーラやカリスマ性とも少し異なり、動きや振舞いに本来的に備わる強さの一方で、自然に身にまとっているような軽さをも感じさせるところがある「猫科」の続きといったところだ。

ふたつ目は「エモーション(EMOTION)」で、これもプジョーが長らくキーに掲げる概念。視覚と触覚の上で反応に優れたi-コクピットのようなインターフェイス、あるいはプライベートなコクーン体験を約束するインテリアが相当する。

みっつ目は卓越したクオリティ。静的にも動的にもいえるところで、加えてプジョーはテクノロジー面でも先進的でイノベーティブなブランドとして認識されることを目指すという。

これらの価値観を実現するためジャクソン社長が、直近の未来に対するプジョーのアイデアとテクノロジーのショーケースと呼ぶのが、年初にCESで発表された「インセプション」だ。ちなみに今回の会見は「E-3008」が発表に先立つ2日直前に行われた。

ステランティス・グループの日本販売における25%はプジョーである

インセプションのプラットフォームはEV専用に開発された「ステラBEVバイ・デザイン」と呼ばれる4つのEV専用プラットフォームのひとつ「STLAラージ」に基づき、ワンコート塗装のような環境負荷の低い技術を用いる。

一方で次世代コクピットとして、長方形に4つのタッチボタンを配したようなステアリングコントローラー「ハイパースクエア」を採用し、近未来的というより未来そのもののインターフェイスを特徴とする。ちなみにE-3008は、これら新世代プラットフォームのサイズ的に上から2番目「STLAミディアム」をベースとする。

ジャクソン社長いわく、このハイパースクエアは2026~27年には市販車に搭載予定で、これを操るのはゲームのようにファンタスティックな経験という。プジョーは2024年までにメインストリームブランドとしてもっともワイドなEVラインナップ揃え、2030年には足元の欧州での販売を100%BEVに移行するという。

日本市場は欧州とインフラは異なるものの、変わると決めたら早く動くだろうと注視しているとか。実際、ステランティス・グループの日本販売における25%がプジョーで、都会的でレジャーとのバランスに敏感な市場であるため、市場の拡大ぺースより早く、シェアを伸ばしたいと野心を見せる。

そしてモータースポーツ活動、とくにWECプログラムはブランド・アンバサダーと捉えており、今年100周年を迎えたル・マン24時間は、フットボールでいうワールドカップ、アメリカのスーパーボウルに相当するスポーツイベントであるという。そこに、デザイン・キューがプジョーそのもので、ウイングレスかつi-コクピットを備えた競技車両である9X8を、他メーカーとまったく異なるテクノロジーかつデザインで走らせることに、大きな意味があるというのだ。

プジョーの思い描くパワートレイン選択肢とは?

2019年にはシトロエン100周年時のトップという大役を果たした数年後、すっかりスマートながらもアグレッシブで肉食を旨とするプジョーのトップが板についたジャクソン社長。プジョーの現行の電動ラインナップを見渡すと、Bセグではe-208やe-2008といったピュアBEVを擁し、C/DセグメントではPHEVや欧州ではリリース済みのMHEVがある。

足元のフランスでは、政府補助金が適用されないにも関わらず、ルノーのEテック勢やトヨタ・ヤリスクロスといったノン・リチャージャブルのHVが伸長している背景がある。

そこでプジョーとして、ストロング・ハイブリッドをパワートレイン選択肢に加える見込みはないのか? 尋ねてみた。彼女の回答は「セグメントのサイズに関わらず、1回充電あたりのレンジは広げる方向で、市場の志向に応じて電動車のレンジは拡大すべきもの。現状のMHEVとPHEV、そして今後強化されていくBEVで、多様な需要をカバーできると考えている」というものだった。

というわけで、ノン・プラグインのストロング・ハイブリッドが、プジョーの直近で思い描く青地図にないことは、意外を通り越して残念ですらある。ちなみに2日後に発表されたE-3008は、230ps/2WD仕様なら航続距離700kmものロングレンジを、320ps/AWDもしくは210ps/2WDの両仕様は525kmを謳っている。

まずBEVという拡大市場でシェアを取ることが戦略要綱で、日本市場で根強いハイブリッド需要より力を入れるべきところなのだろう。

ただしEMP2エボ3でもCMPでも、旧PSAのプラットフォームは頭ひとつ抜けて軽いため、ベルトスターターモーターによるMHEVでも、セグメントB/Cぐらいの車格なら、かなりストロングに走る可能性は無きにしも非ず。

そこが、元より重量級揃いのドイツ車との大きな違いであることは確かで、同じアイシン製AT8速にMHEVを組み合わせたボルボが妙に電気モーターで元気よかったことは印象に残っている。

とはいえ富士6時間のコース上で、プジョー・スポールと9X8は前戦モンツァに続いてラップタイムではトップグループに伍する速さは見せたものの、安定感や細かな信頼性の面でまだ譲るところが目立った。

ドライなら135km/h以上からモーター駆動が認められるなど、BoPにも助けられる側だったが、タイヤの摩耗や燃費など、ハイブリッドはバランスとりに必要な要素が多々あり、それだけまだ煮詰める余地があるのろう。いずれ直近の市販モデルの力点は、より新しい世代のテクノロジーとされるピュアBEV、つまりEV専用プラットフォームを得たE-3008に集中させたいようだ。

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