もくじ
ー アウディの電動化をになう重要モデル
ー ディスプレイを多用 カメラを用いたサイドミラーの設定も
ー 高い洗練性 充電ステーション設置で普及を狙う
アウディの電動化をになう重要モデル
このカモフラージュはディテールを隠すことが目的ではない。アウディの目的は確実に、この新しい電動SUVの写真を撮って、ソーシャルメディアに投稿してもらうことにある。アウディにとってかなり重要なモデルと言えるだけに、必死だ。
eトロンは手頃なサイズで、人気モデルのQ5とQ7の中間といったところだ。ベースには、将来のバッテリーを搭載した電気自動車のために新規開発されたプラットフォームが用いられる。製造はベルギーのアウディ専用ラインで行われ、英国での販売は2019年初頭からとなる。
95kWhのバッテリーには合計265kWを発揮するモーター2機が組み合わされ、高い運動性能と航続距離を両立している。ATセレクターでスポーツモードを選択すると、瞬間最大出力は300kWまで引き上げられ、0-97km/h加速は6秒以下、最高速は200km/hに達すると思われる。
他のアウディのモデルとも共通するドライブ・セレクト・システムを通して、他のドライブモードにも変更できる。興味深いのは、コンフォート、エフィシェンシー、インディビジュアルといった一般的なモードに加えて、オフロードモードやオールロードモードもある点だ。アウディはオフロードに対応した電動自動車作りに取り組んでいるのかもしれないが、ともかく今回の走行ルートに悪路が含まれていることはありえないだろう。
インディビジュアルモードでは、ドライブトレインを含むさまざまな設定を変更することができる。回生ブレーキの効きも調整できるので、高速域では巡航モードに設定し、回生度合いを低く、市街地では回生ブレーキを強く設定することで、ワンペダル走行が可能だ。ヒル・ディセントモードもあり、オフロードでもポテンシャルを引き出せるほか、エアサスペンションの高さを変更して、溝をまたぐ際には高く、通勤時には最低にして、燃費を高めることもできる。
ディスプレイを多用 カメラを用いたサイドミラーの設定も
399kmの航続距離には、優れたエアロダイナミクスも大いに関係している。Cd値は0.28で、これを実現するために、通常のドアミラーの代わりにカメラを設置している。ただしこれはオプションで、国によっては法規上認められないこともあるが、アウディは、この新技術が世界中で合法になるきっかけになれば良いと考えている。
ドアにはOLEDスクリーンが設置され、ブラインドスポット・ウォーニングなどを表示し、通常のミラーのように使うことができる。
このディスプレイを採用したことで、キャビンには5つものスクリーンが並ぶことになった。ドライバー前方にはデジタル計器類のバーチャル・コクピット、中央部には上下2段のタッチスクリーンが配置され、見た目、機能ともにA6やA7と近いものになっている。eトロン独自の装備も、このスクリーンのメニューから設定できる。
確かに、アウディが強調する洗練性に異議を唱えることは難しいが、助手席に乗る限り、タウンスピードでの静粛性は既に販売されているEVと大差なかった。
高い洗練性 充電ステーション設置で普及を狙う
一方で車内スペースは広い。大人4人が快適に過ごせるほか、600ℓのトランクスペースが確保されている。加えてボンネット下には、充電ケーブルを収納するための60ℓのスペースもある。
アウディによると、eトロンは150kWの高圧充電に対応しており、満充電までにかかる時間はわずか30分という。充電ステーションのネットワーク構築はまだまだこれからの段階だが、今後2年以内に欧州の主要な道路で200カ所、ステーションの設置が決定している。それぞれのステーションには6機のチャージャーが設置され、2020年までにステーション数は2倍になると見込んでいる。
自宅での充電には、汎用のハイパワー充電設備で8時間ほどかかる。
eトロンは来年初頭からデリバリーが開始され、アウディはそれに向けて、少しずつ情報を公開していく。今回はプロトタイプの助手席での試乗だったが、テスラやジャガー、メルセデス・ベンツから続々と新モデルが登場する中で、eトロンは間違いなくトップクラスの実力を持っている
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