1933年にイギリスで誕生した『メットーイ』
1933年にイギリス・ノーザンプトンで誕生した『メットーイ(Mettoy)』をご存知でしょうか? ユダヤ系ドイツ人のフィリップ・ウルマンが、ナチスの迫害を逃れイギリスに移住。同じくユダヤ系ドイツ人のアーサー・カッツとともに立ち上げた玩具メーカーです。
【画像】筆者が個人的に思い入れの強い、1960年代コーギー製ミニカー 全14枚
社名はメタルとトーイを合わせた造語で、ブリキのクルマや汽車などの金属製玩具を手掛けたことから付けられました。もともとフィリップ・ウルマンとアーサー・カッツは、ニュールンベルクの玩具メーカー、ティップ社で長年働いていた上司と部下という関係。世界情勢や政情の変化によってそれまでの仕事を続けられない状況に陥るということは、現代を生きる我々にとっても他人ごとではありませんね。
さて、新天地イギリスで新たな玩具メーカーとしてスタートしたメットーイですが、第二次世界大戦が終わるとブリキのクルマに代わる新たな玩具の製造に乗り出します。それがダイキャスト製法によって製造される亜鉛合金製のミニチュアモデルカー、いわゆるダイキャストミニカーでした。
ちなみに昨今では模型専門誌などでも『ダイキャスト製ミニカー』という表記が見受けられますが、ダイキャストといえば製法であって素材ではないので厳密にいえばこれは間違いですね。
ともあれ、メットーイは新たな基幹製品をスタートさせるにあたり、それに新たなブランド名を与えることとしました。それが『コーギー(CORGY)』です。
コーギーとはもちろんウェールズ原産の犬種からの命名。かのエリザベス女王の愛犬としても知られており、そこには英国を代表するミニカーブランドたらんとする意気込みも感じられます。そんなコーギーの、初めてのミニカーが登場したのは1956年7月のこと。記念すべき第一作目は、英国フォードのコンサルでした。
先行するブランドに対し後発組となるコーギー
イギリスをはじめとする欧州のダイキャストミニカーの市場では、すでに最大のライバルとなる『ディンキー』や、ちょっと小さな『マッチボックス』のミニカーが好調なセールスを記録しており、それら先行するブランドに対し後発組となるコーギーは、差別化を図るために当初から透明なプラスチック製のウィンドウを装着するなど、よりリアリティを追求した作りを目指していたのが特徴でした(初期のディンキーやマッチボックスには、まだウィンドウは装着されていませんでした)。
トラディショナルな作風のディンキーに対し、革新的なアイデアで勝負のコーギー、といった両社の歴代製品の印象はそんな異なる出自の所為かもしれません。
といった事情はオトナになるにつれわかってきたことであり、自分が少年時代のコーギーといえば、他ブランドの輸入ダイキャストミニカー同様、ただただ『誕生日やクリスマスなどの特別な日にしか買ってもらえない、憧れの超高級精密玩具』でした。そんなコーギーのミニカーの中でも、特に忘れられないのが今回ご紹介するこちらの2台です。
まずはコルティナ・エステート
1台目は440番の英国フォード・コンサル・コルティナ・スーパー・エステート。もう1台が341番のミニ・マーコスGT 850です。
まずはコルティナ・エステートについて。こちらはワゴンのモデルらしくテールゲート開閉のギミックを備えていますが、このモデルの肝はなんといってもその付属アクセサリー。ご覧の通り同スケールのゴルファー、キャディの少年、ゴルフバッグのフィギュアが付属しており、パッケージもゴルフ場を再現したジオラマ仕立てになっています。
ウッドパネルのエステートを駆って優雅にゴルフを楽しむ英国紳士というシチュエーションに、まだワゴン(=エステート)とライトバンの違いすらあやふやだった当時の日本の少年は、大いなる彼我の差を感じたわけであります。
もう1台はミニ・マーコス
そしてもう1台がミニ・マーコス。こちらも英国車好きにはお馴染み、英国の小規模スポーツカーメーカーであるマーコスがミニのコンポーネンツを流用して仕立てた小型FWDスポーツカーです。
こちらのミニカーには『golden jacks』と名付けられたギミックが仕込まれており、シャシー裏のピンを立てるとタイヤを外すことができます。4本のピンを全て立ててタイヤを外して展示すると、あたかもウマに載せられ整備中のような佇まいに。
このギミックを備えたミニカーは他にも何車種かありましたが、ミニ・マーコスのパッケージにはサーキットかヒルクライムか、出走を前にタイヤ交換をしている様なイラストが描かれており、このクルマのキャラクターには特にふさわしいギミックといえましょう。
ちなみにこのミニ・マーコスはボンネットとドアも開閉可能。ボンネットの下にはSUツインのAタイプ・エンジンも再現され、室内のシートは前後にスライドするといった芸の細かさです。コルティナ・エステート、ミニ・マーコス共には1960年代半ばから後半、コーギーが最も脂の乗った時期にリリースされたモデルです。
というわけで、今回は個人的に思い入れの強い2台の1960年代コーギー製ミニカーをご紹介してみました。少年時代に出会った『佳きもの』は歳をとった今でもなお、当時の記憶と共に変わらず『佳きもの』であり続けているようです。
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