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モデル廃止か正常進化か? 揺れるHVミニバン「プリウスα」の現状と未来

掲載 更新 18
モデル廃止か正常進化か? 揺れるHVミニバン「プリウスα」の現状と未来

 プリウスαは先代プリウスをベースに2列シートのステーションワゴン、3列シートのミニバンをラインナップ。

 そのプリウスαはデビューから丸9年が経過しようとしていて古さは隠せず、それは販売台数にも表れている。

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 プリウスαの販売台数は2019年の累計は1万1490台(月販平均957台)、2020年1~3月は2270台(同756台)となっている。ちなみにプリウスが2019年の累計で10万4530台だったから、ほぼ10分の1となっている。

 9年も経過するモデルが月販平均で1000台近く販売しているのは凄いことで、安定した需要を抱えていると言えるが、かつての人気から考えると寂しい限り。

 次期モデルが存在せず消滅の可能性が高いと言われ続けているプリウスαの現状と今後について遠藤徹氏が考察する。

文:遠藤徹/写真:TOYOTA、HONDA、SUBARU、DAIHATSU

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モデル廃止が既定路線か!?

プリウスαは2011年にデビューし、2014年にマイチェン。バンパー形状が大幅に変更されて精悍な顔つきとなって現在に至る

 トヨタはプリウスを2015年12月9日にフルモデルチェンジし、3年後の2018年12月17日に比較的大掛かりなマイナーチェンジを実施した。

 前モデルのステーションワゴンバージョンである「プリウスα」は2011年5月13日に発売し、すでに9年が経過しつつあるわけだが、引き続き継続販売しており、モデル変更の情報は流れていない。

 トヨタの場合、量販新型車の投入スケジュールは約1年前に販売店向けに通達されるが、2020年ぶんのラインアップには入っていない。

 そればかりではなく、「そもそも次期型の開発プロジェクトは稼働しておらず、モデルは廃止になるのではないか」(首都圏トヨタ店営業担当者)という見方もある。

プリウスは2015年にフルモデルチェンジし、2018年にビッグマイチェン。これをベースにしたプリウスαは現状では開発されていないもよう

 トヨタは2025年までに2018年に対して国内で販売する車種を約半分に削減する方針を明らかにしている。そして2020年5月にはトヨタ4系列店でのトヨタブランド全車併売とする予定である。

 1系列店での扱い車種数が格段に増えるので、各店舗の扱いモデル数を減らした方がセールス効率はよくなるという事情もある。したがってこうした方針の中にプリウスαの存在がどうなっているかを見れば、同モデルの今後の動向が読めてくるはずである。

新型の登場を切望する販社も存在

 ところが首都圏を中心に各系列店を回り、営業担当者のプリウスαに対する見方を聞いて見ると、さまざまな意見に出くわす。

 実際の売れ行きは頭打ち傾向の一途で存在価値が低下し、モデル廃止しても差し支えないといった見解のほうが多いように思える。

プリウスαはプリウスよりもユーティリティ面で優れている。特に荷室部分が広いため、個人ユースのほかビジネスでも活躍している

 そのいっぽうで違った見方もある。

「プリウスαの存在価値は捨てがたい。プリウスの前モデルをベースに全長&ホイールベース、トレッドを延長拡大することで広い荷室スペースを確保している。ゴルフバックは普通の大きさなら横に4個入るので使い勝手もいい。今、売れ行きはよくないが、フルモデルチェンジして現行プリウスベースで世代交代すれば人気は復活するはずだ」(首都圏トヨペット店営業担当者)

 というように次期型の登場を切望する声も意外に多い。

一度消滅して復活する可能性もある

 開発するメーカーのトヨタがこうした販売店の声をどう受け止めて対処するかである。

 2列シートのステーションワゴンはこれまでマーケットニーズがないということから、相次いで生産中止になり、現在トヨタではプリウスαとカローラツーリングだけになってしまった。 

プリウスαは2列シート5人乗りと3列シート7人乗りをラインナップ。ただ3列目シートはエマージェンシー的でミニバンに比べて快適性に劣るのが不評の要因

 3列シートはプリウスαだけだが、売れ行きは圧倒的に2列シートのほうが多いから、次期型を開発するとしたら、3列シートは廃止になる可能性がある。

 3列目のシートは狭くて厚さが薄いので使い勝手はよくない。購入しても実際は倒して使い、存在価値はなくなっているからだ。

 トヨタはこれまで生産中止して復活させた車種がいくつかある。シエンタ、ハリアー、RAV4、スープラなどである。

 マーケットニーズは時代とともに変化するという考え方からである。プリウスαももしかしたら一旦モデル廃止して、数年後に復活させる手を使うかも知れない。

シエンタは先代モデルで一度生産中止となったがすぐに復活。フルモデルチェンジした現行はハイトワゴンとして驚異的な人気を誇る

現行モデルの買い得感は高いが納期は長い

 首都圏にある某トヨタ店で売れ筋のG(車両本体価格=311万800円)に有料色のホワイトパール、フロアマット、グラスコーティング、サイドバイザー、ETC、ドライブレコーダー、バックガイドモニター、9インチナビなど50万円弱のオプション&付属品をつけて弾いてもらう。

 法定、法定外費用を含めてトータル390万円強と出た。値引きは28万円程度と提示された。古いモデルだけにかなり買い得になっている。

 納期は3カ月待ちとなっている。受注がある程度まとまった段階で生産し、納車する方式にしているためだ。

プリウスαは2列シートモデルがニッケル水素バッテリーに対し、3列シートモデルはトヨタ車ではいち早くリチウムイオンバッテリーを搭載

証言1:首都圏トヨタ店営業担当者

 プリウスαはモデルが古くなり、売れ行きはますます頭打ち傾向にある。たまに数台ずつ買うお客さんがいる程度だ。

 4月末にオーダーした場合の納期は2列シートが7月、3列が8月となっている。それほど売れていないのに待たされるのはある程度台数がまとまってから生産し納車する方式を取っているからだ。

 今後どうなるかはまだ正式な情報は入っていないが、もしかしたら次期型を開発せず生産中止となる可能性があると予想している。

基本的には先代プリウスのインテリアを踏襲するプリウスαのインテリア。今見ても特に古臭さは感じさせない

証言2:首都圏トヨペット店営業担当者

 プリウスαの売れ行きが不振状態にあるのはモデルが古くなってもモデルチェンジしないからだ。新型に切り替え、いまのニーズに合わせた改良をすれば、人気は復活すると思う。

 クォリティが高く、走り、燃費もよい。荷室スペースは普通サイズのゴルフバックが横に4個収納できるスペースを確保しているので、使い勝手はよい。

 プリウスの足りない部分をカバーする役割を果たしている側面があるため、販売会社にとっては貴重な存在だ。

プリウスαには現行プリウスにラインナップされていないGR SPORTが設定されている。5人乗りが341万3300円、7人乗りが362万2300円

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みんなのコメント

18件
  • 前期から後期に乗り換えました。
    エンジン同じなのに燃費ガタ落ちです。
    個体差?なのでしょうか。
    年間通しての総合燃費
    前期 リッター21km
    後期 リッター17km
    もちろん乗り方や環境は同じです。
  • カローラツーリングで狭くなったラゲッジ。
    プリウスαはCセグワゴンHVとして旧フィールダーHVの後継的に出せば…いや出してくれれば欲しい。

    今のツーリングは荷物積んでの使い方がしにくい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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