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「う…この兵器もろくない?」トランプの発言で話題“弱体化”を施した兵器は存在した?

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「う…この兵器もろくない?」トランプの発言で話題“弱体化”を施した兵器は存在した?

「モンキーモデル」の意味とは?

2025年3月21日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が次期戦闘機の名称をF-47とし、同盟国に売却する際は機体の性能を「10%程度トーンダウン」つまり性能を低下させる意向を示しました。これは、同盟国が将来的に敵対関係になった場合を想定しての処置だそうですが、歴史上これと同じようなことをさらに広域でやった国がありました。東西冷戦時代のソビエト連邦が輸出用として作った「モンキーモデル」です。

【正規品でも同じ運命に?】ウクライナの戦場で撃破されたロシア戦車ほか(写真)

「モンキーモデル」とは、もともとアメリカを中心としたいわゆる西側陣営の国々が1980年代初頭から、一部の輸出用ソ連兵器を指して呼んだ名称です。西側に亡命した情報将校がその存在を紹介したといわれています。

当時ソ連は、ワルシャワ条約機構に入っている同盟国の軍隊にはオリジナルモデルを、それ以外の国向けには、意図的にスペックダウンやデチューンを施した兵器であるモンキーモデルを供給していたと噂されています。

その品目は戦車や戦闘機、攻撃機など様々だったようですが、特に地上兵器に関してはモンキーモデルの存在がほぼ確定的になった事件がありました。1991年に勃発した湾岸戦争です。

同戦争でイラク軍はT-55、T-62、T-72などのソ連製戦車を投入していました。そのなかで最新だったT-72に関して、アメリカ軍が開戦に先駆け、エジプト軍の装備していた車両をテストしています。

その結果、主砲の有効射程がソ連のカタログスペックよりも短くなっていたそうです。さらに装甲についても、塔前面などに封入されていた複合装甲がなく、その部分は単なる鋼板だったということが明らかになりました。

ほかのT-55、T-62に関しても、それ以前の中東諸国とイスラエル軍の戦闘においてモンキーモデルの可能性が指摘されており、クウェートおよびイラクで行われた地上戦では、アメリカ軍のM1A1「エイブラムス」やイギリス軍の「チャレンジャー1」など、多国籍軍の主力戦車に対し、ほぼ一方的に撃破されることになりました。

ウクライナ戦の戦車はモンキーモデルなの?

なぜ、ソ連がモンキーモデルを供給していたかについては、ソ連時代に一切明言されることがなかったので定かではありませんが、戦闘による鹵獲のほか、輸出国や操縦者の離反などで、アメリカやイギリスといった西側諸国に自国の先端技術が流出するのを防ぎたい狙いがあったといわれています。まさに今回のトランプ大統領の発言と同じような内容です。

なお、現在、ウクライナの戦場でロシア、ウクライナ両軍が使っているT-72は、もともと両国とも旧ソ連の構成国なのでモンキーモデルではありません。ただ、対戦車ミサイル「ジャベリン」や、車両上部を狙った自爆ドローンのトップアタックなど、開発当時にはなかった戦法で被害が続出したため、「モンキーモデル」と揶揄する意見も出ています。

ちなみにソ連崩壊後にその多くを引き継いだロシアは、T-72の後継戦車となっているT-90に関して、ソ連製の戦車が大きく信用を落としたことで「モンキーモデルは作らない」と明言しています。ただ、2004年からロシア軍で導入されているT-90Aの輸出版であるT-90Sは、T-90Aに搭載されている赤外線防護システム「Shtora-1」が未搭載で、モンキーモデルほどはひどくはありませんが、若干のデチューンを施したモデルとなっています。

とはいえ、このデチューンはそれほど大きな問題はないようです。事実ロシア軍は、本来インドやベトナム向けに製造されたT-90Sをウクライナの戦場に投入しており、一部車両はウクライナ軍が鹵獲しこれまた使用しています。

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みんなのコメント

24件
  • jrh********
    しかし太平洋戦争中、大日本帝国が友邦のタイ王国に供与していた「一式戦闘機 隼」は自軍仕様とまったく同スペックだった、とのことです。
    大日本帝國は友達思いだね。
  • ねこにごはん
    イランみたいに敵になることもあるからな。日本も英国の敵になったし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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