【ニューテクノロジー】新しいブレーキシステム登場 サプライヤーのボッシュが革新的なブレーキシステムを開発 その画期的な仕組みとは？

ボッシュが新しいブレーキシステムを発表：「ブレーキ バイ ワイヤ（Brake-by-Wire）」が自動車の油圧ブレーキに取って代わる。サプライヤーのボッシュが革新的なブレーキシステムを開発した。これはブレーキペダルとブレーキを電気的に接続するもので、ケーブルや油圧ホースはもはや必要ない。しかし、危険ではないのか？

ボッシュは、人間とブレーキの間の機械的なリンクを切断しようとしている。今年末までに、ボッシュは最初の「ブレーキ バイ ワイヤ（Brake-by-Wire）」ブレーキシステムを自動車メーカーに納入する予定である。足とブレーキディスクの間に機械的な接続がない最初の車が市場に登場することになる。ボッシュの革新技術では、この役割はリモートコントロール式ブレーキアクチュエーターが担う。これは電動モーターが回転するブレーキディスクにブレーキパッドを押し付ける。コックピットとはワイヤで接続されている。

ボッシュの「ブレーキ バイ ワイヤ」システムでは、ペダルとブレーキを接続するのはデータケーブルだけだ。Photo: Bosch老舗メーカーは、このシステムの多くの利点を強調している。例えば、油圧システムが不要なため、設置スペースを大幅に削減できる。ホース、リザーバー、ブレーキシリンダー、制御ユニットも不要になる。また、従来のブレーキシステムと比較して、重量を25％削減できる。軽量構造は、電気自動車では特に重要な要素だ。1gでも軽量化できれば、車両の航続距離が延びる。

ブレーキペダルが運転席により近づく事故研究家のジークフリート ブロックマン氏は、人間工学の改善によるさらなる利点があると指摘している。「コックピット内の位置を『調整』できるようになりました。ブレーキペダルを運転席により近づけることができるのです」と、AUTO BILD誌の取材に答えて同氏は語った。これまで、特に小柄な人にとっては、ブレーキペダルやアクセルペダルに届くようにするには、ステアリングホイールやダッシュボードに近づき過ぎなければならず、危険だった。正面衝突の際の負傷リスクが高まるのだ。「今ではブレーキペダルを好きな場所に置くことができます。」

ブレーキアクチュエーターはホイールに取り付けられた小型の電動モーターで、ブレーキパッドをディスクに押し付ける働きをする。画像：Bosch欠陥のリスクについてはどうだろうか？ボッシュによれば、このシステムは「冗長性」を考慮して設計されており、つまり、配線や制御ユニットは二重化されている。減速を担うアクチュエーターも2セットあり、1つは「ブレーキ バイ ワイヤ」技術用、もう1つはESP用だ。残存リスクについてはどうだろうか？「この技術を恐れるのであれば、飛行機にも乗らない方が良いでしょう。商業用航空機には長い間、ワイヤーベースの制御装置が搭載されてきました」と、ジークフリート ブロックマン氏は言う。

ボッシュは次のように述べている。「すべての経路を確保するための高度なモニタリングコンセプトは、バイワイヤシステムの安全な運用に不可欠な基本要件です」 メーカーは、デカップリングシステムとしてすでにこれらの要件の多くを満たしている「インテグレーテッドパワーブレーキ（IPB）」の数年にわたる経験を活かすことができる。

走行中に電源障害が発生し、システム全体が停止した場合、どうなるのだろうか？これは確かに起こる可能性は低いものの、全くあり得ないというわけではない。ボッシュは、尋ねられた際には、システムの冗長性により、ケーブルが切断されるなどの機械的な損傷から保護されると説明している。停電が発生した場合は、サプライヤーは次のように自動車メーカーに言及している。「OEMは冗長性のある車載電気システムを提供することに責任があります」と、ボッシュの広報担当者は我々に語った。

北極圏への日産リーフでのテストドライブボッシュは最近、このシステムを搭載したプロトタイプで、ヨーロッパを3,300kmにわたってテストドライブを成功裏に完了した。この長距離ドライブでは、開発チームはハイルブロンからハンブルク、コペンハーゲン、ストックホルムを経由した。北極圏への短い寄り道を経て、テスト車の「日産リーフ」は、最終的にスウェーデン北部のヴァイトゥッデンにあるボッシュの冬季テストセンターに到着した。

包括的な安全コンセプトに基づき、ボッシュはテスト車両を複数の国で登録するよう申請し、承認を得た。サプライヤーは、2025年秋に初めてシステムを納入する予定だ。すでに複数のメーカーが発注したと言われている。ボッシュは、2030年までに世界で550万台以上の車両に「ブレーキ バイ ワイヤ」を搭載することを目指している。

Text: Roland Wildberg