もくじ
ー トヨタ記者会見 よく出る質問
ー 「全固体電池」とは一体なにか
ー 「全固体電池」のメリットとは
ー 量産に向けた研究は「これから」
世界初 3Dプリンターで作ったクルマ 2019年にデビューへ
トヨタ記者会見 よく出る質問
「全固体電池の実用化はいつですか?」
これは、トヨタに対して記者が良く聞く質問だ。
新型プリウスPHVや、トヨタとパナソニックの協業など、トヨタの次世代車技術に関する記者会見での質疑応答で参加した記者から豊田章男社長や内山田竹志会長に対して「全固体電池」に対する質問が飛ぶ。
こうした記者の頭の中には、EV(電気自動車)の開発競争で決め手となるのが全固体電池であるとの認識が強いのだ。
とはいえ、記者の中には工学系出身でないひとも多いので、「全固体」という意味を正確に理解しているひとがどれだけいるのかは、少々疑問だ。
では、「全固体電池」とは一体なにか? 読者の皆さんは、説明できるだろうか?
「全固体電池」とは一体なにか
愛知県豊田市のトヨタ本社に隣接する、トヨタ会館。この中にある博物館では、全固体電池の実物が展示されている。
大きさは、AppleのiPadくらいで、銀色のカバーで密封されている。
その隣になる説明パネルには、こうある。
「全固体電池はリチウムイオンが移動する電解液を固体電解質に変えた電池です」
そう言われても、なんだかピンと来ない方が多いだろう。順を追って説明しよう。
まず、リチウムイオンとは、電池の中にある正極と負極の間を移動するもの。この移動が起こることで電流が流れる。スマートフォンやパソコンのほとんどが、こうしたリチウムイオン電池を採用している。
正極と負極に使う材料の組み合わせによって、三元系とかリン酸鉄系といった正式名称がある。また、電池の形も、円筒型や角形など数種類ある。リチウムイオン電池はEVやプラグインハイブリッド車でも使われいて、テスラは円筒型を数千本も搭載する仕組みだ。
次に、電解液について。これは正極と負極の間にある液体のことだ。全固体電池では電解質が液体から固体に変わる。そもそも正極も負極も固体なので、これで電池の中身の全てが固体になる、という訳だ。
「全固体電池」のメリットとは
では、全固体のリチウムイオン電池には、現在使われているリチウムイオン電池と比べてどのようなメリットがあるのか?
まず、充電や放電の際のリチウムイオンの伝達の効率が上がることで、より多くの電流を安定的に得ることができる。
また、電池の中で何らかの障害が起こり加熱した場合、液体の電解液は燃える可能性があるが、固体の電解質でのその危険性が一気に下がる。
そして、トヨタ会館の展示パネルにも記載があるが、電解液がなくなることでより複数の電池をコンパクトなレイアウトで搭載することができる。
EVの技術課題として、電池が大きくて重くなり、クルマとしての運動性能が低いという点がある。これを、サイズがコンパクトで高性能な全固体電池が解決してくれる可能性があるのだ。また、充電の効率が上がることで、充電時間の短縮もEVにとっての大きなメリットになる。
量産に向けた研究は「これから」
期待が高まる全固体電池だが、実用化の目途はまだたっていないのが実情だ。
前述のトヨタに対する記者からの質問に対して、トヨタ側も「できるだけ早い時期に」と、はっきりとした時期を示さない。
なぜならば、全固体電池の固体電解質については、まだ基礎研究の段階であり、構造や材質などで様々なオプションがあるからだ。
初期段階としての量産化は2020年代前半に可能かもしれないが、量産型EVの多くが全固体電池を標準装備するのは2020年代後半以降という見方が、電池の専門家の間では一般的だ。
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