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トヨタ「ハイエース」とフィアット プロフェッショナル「デュカト」。日本とヨーロッパを代表する、キャンピングカーのベース車を比べてみる

掲載 更新 9
トヨタ「ハイエース」とフィアット プロフェッショナル「デュカト」。日本とヨーロッパを代表する、キャンピングカーのベース車を比べてみる

ヨーロッパにおける小型商用車のベストセラー モデル、フィアット プロフェッショナル「デュカト」が、FCAジャパンにより日本への正規輸入が開始される。メインターゲットはキャンピングカー市場ということなので、日本のキャンピングカーのベース車として最も人気の高い、トヨタ「ハイエース」と概要を比べてみよう。

プロフィール:ともに長い歴史で日欧の商用車を代表する
ハイエースは、トヨタの1ボックス型ワゴン&バンだ。このカテゴリーでは、日本はもちろん海外でも人気を集めている。初代は1967年に誕生し、現行型は2004年に登場した5代目だ。ちなみに海外向けには2019年に6代目が登場しているが、これは日本では「グランエース」としてワゴンタイプのみが販売されている。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

ハイエースのバリエーションは豊富だ。カテゴリーではバン/ワゴン/コミューター(マイクロバス)の3タイプ。ボディ形状はロング/スーパーロング、ボディ幅も標準/ワイド、ルーフも標準ルーフ/ミドルルーフ/ハイルーフがある。エンジンに関しては後述するがガソリンとディーゼルがあるから、カタログで確認すると50グレード!もラインナップされている。

いっぽう、フィアット ブランドで小型商用車を製造するフィアット プロフェッショナルが日本に送り込んだデュカトは、初代が1981年に登場し、現行型は2006年に発表された3代目だ。日本仕様ではキャンピングカーのベースとして未架装状態のスペックしか公表されていないが、標準ホイールベース/ロングホイールベース/ロングホイールベース+ハイルーフの3グレードが設定されている。

ここでは、キャンピングカーのベースとして、個々の概要を比べてみたい。そのため、ハイエースではさまざまなグレードからスペックを紹介する(ひとつのグレードではない)点は、御了承いただきたい。

サイズ:ハイエースよりひとまわり以上大きいデュカト
ハイエースの外寸は、全長4695~5380×全幅1695~1880×全高1980~2285mm。ホイールベースは、2570~3110mm。デュカトは、全長5413~5998×全幅2020×全高2524~2764mm、ホイールベースは3450~4035mm。(デュカトの数値は欧州仕様参考値)。

明らかにデュカトのほうがひとまわり以上大きい。ハイエースのスーパーロングでもデュカトの標準ホイールベースより小さい。グランエースでも全長5330×全幅1970×全高1990mm、ホイールベースは3210mmだから、デュカトの大きさが分かろうというもの。

もっとも、ハイエースは日本の街中でも扱いやすい商用車として作られたサイズだし、ヨーロッパ大陸を走りまわるためのデュカトとは、そもそものコンセプトが異なる。ハイエースをベースにしたキャンピングカーではサイズ的に物足りないという、個人ユースよりは法人ユースなどをデュカトはターゲットにしているのだろう。

パワートレーン:キャンピングカー用にはディーゼルターボか
ハイエースのエンジンにはガソリンとディーゼルが設定されているが、キャンピングカー用は2.8Lの直4 ディーゼルターボとなるだろう。最高出力は151ps、最大トルクは300Nm。組み合わされるトランスミッションは6速ATで、駆動方式はRWDと4WDが設定されている。

デュカトの日本仕様は、2.3Lの直4 ディーゼルターボで、最高出力は178hp、最大トルクは450Nm。組み合わされるトランスミッションは9速ATで、前輪を駆動する。(パワースペックは欧州仕様参考値)

キャンピングカーの場合、架装によって車両重量は大きく変わるから、どちらがパワフルとかはいえないが、いずれもディーゼルらしい低速トルクで十分なパフォーマンスを発揮してくれるだろう。

装備:いずれも基本的な安全&快適装備は充実
デュカトは商用車ながら、本革巻きステアリング、フルデジタルのインパネ、電動パーキングブレーキ、10.1インチのタッチスクリーン、ナビゲーションシステム、運転席&助手席キャプテンシート(180度回転可能)など、快適装備は充実している。しかも日本仕様は右ハンドルという点は、FCAジャパンの良心を感じさせる。

安全装備も、スピードリミッター、予期せぬ障害物に遭遇したときのブレーキ制御、クルーズコントロール、レーンデパーチャーウオーニング、デジタル ルームミラーなど、商用車ながら乗用車セグメントに準じるパッシブ&アクティブ セーフティ機能を搭載している。

ハイエースもワゴンならば、オプティトロンメーター、スマートエントリーシステム、オートエアコンなどの快適装備は標準で装着されており、カーナビやオーディオなどはオプション設定されている。安全装備では、トヨタ セーフティセンスは全グレードで標準装備され、ワゴンではパノラミックビューモニターやインテリジェント クリアランスソナーなどはオプション設定されている。

安全&快適装備は両車とも基本的なものは充実している。あとは、自分の好みでオプションを装着していけばいいだろう。

まとめ:使い方や予算で最適な1台を選びたい
2022年2月に幕張メッセで開催されたジャパン キャンピングカーショー 2022に出展された車両を見ると、ハイエースをベースにしたモデルが数多く見られた。FCAジャパンが、この会場でデュカトの正規導入を発表したのも、多くのキャンピングカー ファンや架装業者を意識してのものだった。

個人でデュカトのキャンピングカーを購入しようとする人は少ないだろうが、かなりのキャンピングカー経験者だと思われる。おそらく、ハイエースのキャンピングカーなども使ってきて、デュカトにたどり着くのではないだろうか。

サイズ的に大きいデュカトのほうがキャンピングカーとしては余裕があるが、使用目的や使い勝手、そして保管場所などを考えると、ハイエースでも十分と思う人もいるだろう。また、キャンピングカーは使い方に合わせてカスタマイズするモデルだから、基本の車両価格だけで高いとか、お買い得とかは評価できない。使い方や予算などを考慮して、自分の理想のキャンピングカーを手に入れたいものだ。

また、デュカトはキャンピングカーだけでなく、物流やお客の送迎などといった用途のモデルも用意されている。輸送業界のイメージアップ用や、リゾートホテルの送迎用などにデュカトを使うと、ちょっとオシャレな雰囲気が漂いそうだ。(文:Webモーターマガジン編集部 篠原政明)

■トヨタ ハイエース バン DX スーパーロング ワイド ハイルーフ 主要諸元
●全長×全幅×全高:5380×1880×2285mm
●ホイールベース:3110mm
●車両重量:2020kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:2754cc
●最高出力:111kW(151ps)/3600rpm
●最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1000−3400rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:RWD
●燃料・タンク容量:軽油・70L
●WLTCモード燃費:11.3km/L
●タイヤサイズ:195/80R15
●車両価格(税込):318万1000円

■フィアット プロフェッショナル デュカト L2H2 主要諸元(欧州仕様参考値)
●全長×全幅×全高:5413×2050×2524mm
●ホイールベース:3120mm
●車両重量:1975kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:2287cc
●最高出力:130kW(178hp)/3500rpm
●最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1500−3000rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:軽油・75L
●EU総合燃費:10.1km/L
●タイヤサイズ:225/75R16
●車両価格(税込):469万円~

[ アルバム : ハイエースとデュカト はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

9件
  • ハイエースのモッサリ感とかトヨタらしいとこだねw
    確かに実用性はあるが運転する楽しみはゼロだよw
  • 肝心の走行性能について言及がない。
    エンジンの上に座るハイエースと違って、デュカトは乗用車と同じくボンネットにエンジンが収まっている。乗りごごち、快適性、走行性能 全てにおいて、デュカトが優れている。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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