ホンダは2024年6月13日、新型軽商用EV「N-VAN e:」を発表しました。発売は同年10月10日を予定しています。ここではその実車の写真とともに、発表されたN-VAN e:について詳しく解説します。
WLTCモードで245kmの航続距離を実現する
2018年に登場した軽商用バンであるN-VANですが、今回それをベースにした電気自動車として登場したのが「N-VAN e:」です。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
N-VANがもつ高いユーティリティをそのままに(むしろ向上!)、電気自動車ならではの静粛性や給電機能といった付加価値が魅力となります。
電気自動車で気になる航続距離ですが、WLTCモードで245kmを実現しています。たとえば先に登場している軽商用EVである三菱ミニキャブEVや日産クリッパーEVの航続距離は180kmですし、軽乗用EVである三菱ekクロスEVや日産サクラの航続距離も180kmですから、N-VAN e:の航続距離はかなり優秀な数値と言えます。
さらに充電性能も実用的で、充電残量がゼロの状態から6kW出力の普通充電で約4.5時間で満充電、50kW出力の急速充電で30分で80%まで充電することができます。またバッテリーが苦手とする冬季における充電・航続性能も、出発前にバッテリーを加温する機能を有することで、性能低下を大幅に低減してくれます。
サスティナブルを意識させる世界でひとつだけのフロントグリル
エクステリアデザインを見てみると、ガソリンモデルのN-VANとフロントマスクを中心に少し印象を変えていることがわかります。
まずフロントグリルは、リサイクル材を用いた専用デザインを採用しています。あえて廃材の細かな粒を残すことで、仕上がりがひとつひとつ異なるようになっています。すなわち、同じデザインがふたつとないユニークな意匠を獲得しているのが興味深いですね。
またそんなサスティナブルを意識させるフロントグリル内には、左側に普通充電リッド、右側に急速充電リッドを用意しています。(急速充電口はタイプ別設定)
さらにフロントバンパーもe:専用デザインで仕上げられており、新型N-BOXにも似た存在感のある四角いデザインでまとめられているのが特徴です。なにより、商用バンに見えない高品質さがいいですね。
ちなみにリアのコンビライトはクリアタイプが全グレードで採用されており、ガソリンモデルとの差別化を図っています。ただしこれは2021年に廃盤となった「N-VAN +STYLE COOL」と同じクリアタイプのものが採用されていますので、その見た目上の違いは最小限と言えます。
実はガソリンモデルとかなり違うインテリアに注目
「N-VANのパーツをそのまま取って付けたEVでしょ?」と勝手に想像していた筆者にとって、N-VAN e:のとくにインテリアの仕上がりには驚きました。
まずインパネ全景を見てみると、一見「なにが変わったの?」感はありますが、よくみると実は全然ガソリンモデルと異なるデザインになっています。
まずハンドルデザインとメーターパネルは新型N-BOXで採用されたものと同じ2本スポークタイプと、7インチのTFTフル液晶メーターが装備されています。
またエアコンの操作パネルも新型N-BOXと共通する新世代デザインを採用、さらにシフトレバーはアコードやオデッセイなどの上級モデルでも用いられるボタン式になっています。
さらに助手席側はガソリンモデルに比べて薄型化され、よりシンプルな形状となっているのが特徴です。といったように、ガソリンモデルと大きく異なり、かつ新世代のデザインが採用されているため、その仕上がりたるやガソリンモデル以上の質感と言えるでしょう。
今回N-VAN e:に用意されるインテリアカラーはグレーとアイボリーの2色で、ガソリンモデルに用意されるブラックはありません。かなり明るいインテリアに仕上がっている印象でした。
ちなみにドアパネルはユニークな専用デザインが用いられており、エクステリアデザイン同様のコンテナビードをモチーフにした縦ストライプが特徴です。この細かい話をすると、実はこれデザインだけではなく削ったことによる軽量化にも寄与しているそうです。
広さを極めたラゲッジルームはガソリンモデルを一部凌ぐ?性能
さて商用バンとしてもっとも性能が期待されるラゲッジルームですが、そのサイズはガソリンモデルとほぼ同様の数値を記録しています。
たとえば電気自動車ですが荷室高はガソリンモデルと同じ1370mmを確保し、助手席を倒した際の最大スペース長に限っては、インパネまわりの形状変更によりガソリンモデルよりも10mm延伸した2645mmを実現しています。
N-VANの特徴である助手席側ピラーレス構造や、助手席・リアシートをダイブダウンすることでトランクルームとフラットになるユーティリティもガソリンモデルと変わりません。しかも車両の最低地上高もガソリンモデルを凌ぐ165mmを確保しています。
したがって、一体どこにバッテリーは積んであるの?と言いたくなるような非常に実用性の高いユーティリティを確保しているのがポイントです。
さらに電気自動車ですから、外部給電機能を用いれば、クルマのバッテリーを使用して電力供給を行うことができますので、災害時はもちろん日常的にクルマから電気を使うことができるのはEVならではと言えます。
重量はガソリンモデルの200kg増。タイヤサイズもアップした
電気自動車となったことで気になるのはその重量です。最上級グレードのFUNの場合、その重量差は200kgに及びます。といってもN-VAN e:FUNの車両重量は1140kgにとどまりますので、走行に関わる影響は最小限であると推測されます。
ただしN-VAN e:は商用バンとして多く使われるため、さらに300kgを上限とする荷物が積載されることとなります。そこでガソリンモデルで使用されていた12インチホイール内に収まるブレーキシステムでは、その重量増を安全に賄いきれないと判断され、e:では13インチが採用されました。
開発責任者の坂元隆樹氏によると、13インチにサイズアップしたことでタイヤ空気圧を12インチよりも乗り心地に関してプラスに働くセッティングが可能になったとのこと。さらに最適なサスペンション設定をしたことで、重量増によるネガは払拭されているといいます。
EVモデルでしか叶えられない162Nmという大トルクを実現
気になる動的スペックですが、29.6kWhのバッテリーを搭載しています。最高出力は軽自動車規格に合わせて64psとされますが、最大トルクは162Nmを実現しています。
660cc上限の軽自動車にとって、過給機を用いたとしても得られる最大トルクはせいぜい100Nm程度ですから、その力強さたるや電気自動車ならではと言えます。
ただしあくまで商用バンとなりますので、そのトルクの扱い方にはこだわっています。というのも、2023年からヤマト運輸とタッグを組んでN-VAN e:の実証実験を行っていました。そこで得られた「電気自動車特有のガツンとくるレスポンスで荷物が崩れた」などの意見を参考に、トルク特性の最適化を図ったといいます。
つまり、余裕のトルクを扱いやすくチューニングしたと言えますから、その仕上がりは相当に期待できるでしょう。
事業者の補助金を使えば200万円切り?
今回はN-VAN e:の発表に際して、実車の写真を通して解説をお届けしました。最後に気になるN-VAN e:の価格ですが、法人向けの最廉価モデルで243万9800円から、乗用向けの最上級モデルで291万9400円からというプライスタグを掲げています。
ですが、こちらを商用利用(すなわち黒ナンバーを適用)する場合、事業者用補助金が約100万円出ます。したがって、最上級グレードの場合でも補助金を利用すれば200万円を切る価格からN-VAN e:を手にすることができます。
一方、一般使用の場合においても軽自動車の最大補助金である55万円を適用すれば、250万円を切る戦略的な価格で手にいれることができます。
この価格、ガソリンモデルと約100万円の価格差がありますので、補助金を利用すればその差はほとんど埋まる計算です。となると、このN-VAN e:の価格はかなり魅力的に映ります。
また法人向けにリース販売も行っているとのことで、事業者にとっても非常に可能性の広がる選択肢としてお勧めできる軽バンEVだと思います。
2025年には乗用車モデルとして軽EVをローンチする予定のホンダ。今後のEV戦略に向けた着実なステップを踏み出す第一歩として、N-VAN e:の登場は大きなトピックとなりそうです。
N-VAN e: FUN 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1960mm
●ホイールベース:2520mm
●車両重量:1140kg
●パワートレーン:モーター×1
●最高出力:47kW(64ps)
●最大トルク:162Nm(16.5kgm)
●バッテリー総電圧:358V
●バッテリー総電力量:29.6kWh
●駆動方式:FF
●WLTCモード一充電走行距離:245km
●タイヤサイズ:145/80R13
●車両価格(税込):291万9400円
[ アルバム : ホンダ N-VAN e: はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
サクラもそうだが四駆モデルが無いのは残念ですそ^^